エビフライ
ギルドから出たら、家に戻るだけ。
足取りは軽く家に帰って、いつもの様に。
「ただいま」
「おかえりなさい」
色々と話したい事はあるのですが、やっぱりこの挨拶。
この挨拶だけで家に帰って来たという実感が。
「聞いていたよね?」
「ええ。説明を自分でもしていた事をすっかり失念していました」
「そういう事もあるよね」
「ええ。因みに夕飯は決まったのです?」
「勿論。というか、今回ダンジョンに入って今夜の夕食はこれって感じでもうピーンと来ていた感じだよ」
「そんなにですか」
「うん。ちょっと贅沢に見えるけど、実はコストだけだとそれほどって言うまあ、手間は少しかかるけどいつものお昼と大差ないと考えれば簡単なはずだよ」
「それは凄く楽しみですね」
家に着いての会話はそんな感じ。
手を洗って、まずはアイテムの保管から。この前の回復薬の隣にもう一本回復薬を置いて、青のビンもラベルが付いているのでそのまま一緒に保管。それと、ガラスの腕輪を置いてその上に中の魔石を置くとやっぱり据わりが丁度いい感じです。
付けている腕輪を外して、今回拾った木漏れ日の腕輪と間違えないように魔石の近くに置いたら木刀も念のため確認。
柔らかい木で作った木刀は食べられてしまいましたが、何本も作っているので困ることなく。重たい木や硬い木で作ったものも傷などの問題も全くなく。使い勝手もしっかりと振れたので次に潜るときはどうするか少し迷う所。ただ、今回の一件があったので絶対に武器は二つ以上持っていった方がいいことを実感はしたので、その辺りも考えないといけないのですが、拾った剣は悩むところ。
木刀とはやはり違って重さもあるのでコレを使う気にもなれず、この後の食事で精霊とどうするか決める方向で。
そして、アイテムの片付けも終わって最後にローブを脱ぐとクロウが掠った辺りを確認して見るのですが、どうにも傷が見当たりません。
「精霊、ローブにクロウの攻撃で傷出来ていたよね、アレどこらへんだっけ?」
「えーと、そこの右腕と体の間の腰の辺りだったと思のですが」
言われた通りの場所を確認してみますが傷は見当たりません。
「見当たらないね?」
「そうですね。となると後は機能の一つでしょうね」
「機能?サイズ調節だけじゃないの?」
「サイズが自動にという事が出来るという事は、修復も自動という事のようですね」
「そんなズルい……」
「だからこそダンジョン産のアイテムが重宝されるのです。流石はドラゴンローブですね」
そんな一言で済ませていいのかと言いたいところですが、ひっくり返しても普通に見直しても新品同様に綺麗に戻ってしまっているので、傷は見つかることがありません。
道中の攻撃などもかなり防いでくれて、凄くありがたいアイテムでしたがこんな効果まであると凄さを更に実感するところ。
意味があるかどうかは分かりませんが、ローブを置いてねぎらいとばかりに「ありがとう」と声を掛けて、とりあえずは一段落。
このままゆっくりしたい気持ちもかなりあるのですが、どうせお腹も減ります。
夕飯を作ることに。
と言っても、あるおかずを一品だけ作る形なので少しの気合で何とかなるはず。
「よし、やるか」
精霊と自分の分だけですが、ご飯を今日はちょっと多めに炊くことに。
お味噌汁も折角なので先に作ります。
入れる具材はタマネギとジャガイモ。実はこの二つだけのお味噌汁かなり好きでコレだけでも十分おかずになる様ないい味に。
タマネギは適当にスライスでオッケーですし、ジャガイモは皮を剥いて細く切るだけ。
タマネギの甘さが際立つお味噌汁を作ったら、メインをパパッとやっていきましょう。
「おや、ソレは」
「うん。見ていたら食べたくなってね」
「なるほど。美味しいですものね」
「まあ、ちょっといつもと違うけどそれがまたいいんだ」
「ちょっといつもと違うのですか?」
「そう。あ、そうだ食べる時に聞こうと思っていたのだけど、剣どうしよう?」
「あー、雅は木刀がありますし、普通に売ってしまっていいのではないでしょうか?まぁ、ゆっくり食べ終ってからこの話はした方がいいみたいですね?」
精霊に言われて頷くのは、今やっている作業がちょっとだけちまちましているから。
今日のメインは剥きエビ。コレを大量に使って作るのでヤルことは簡単なのですが結構喋るよりも手を動かすような感じ。
剥いてあるエビですが、食べやすさを追求する為にも尾っぽの殻を取ってしまいます。すべてとり終えたら、次に使うのは包丁。
背中に切り込みを入れて背ワタを綺麗に取ってあげてすべての下準備が終ったら軽く塩をしてお酒をかけて臭み飛ばし。
もしもっとしっかりと臭みを飛ばしたければ最後に小麦粉をかけてからそれごと流水で洗い流せばいいのですが、それほどの臭みではなかったので今回小麦粉は使わず綺麗に流水で洗ってからしっかりと水気をふき取ります。
「よし、後は揚げるだけだけど、キャベツの千切りぐらいはつけようか」
「いいですね。コレは楽しみです」
精霊も楽しみになるのが頷けるようなものが目の前にどんどん準備されていきます。
千切りキャベツをお皿に用意して、小麦粉の入ったボウル、卵を溶いたボウル、パン粉の入ったボウルの三つを準備して、油を多めに入れた鍋を火にかけて油の温度は170~180℃に。
エビをもう一度しっかりと水分を拭ってから、小麦粉、卵、パン粉の順番でくぐらせたら準備完了。
一気に入れると油の温度が下がるので入れる量は毎回固定で六匹前後。
ジュワァといい音でエビフライが揚がっていきます。
後は油を切って、出来上がり。
「おおお、エビフライが一杯ですね。ただ、ちょっとアレですね」
「そう思うかもしれないけど、逆にこれがいいんだ」
「そうなのですか?」
「まあ、食べていくとわかるかも」
というのも、お店で出すときと今日は結構違いが多くあります。
お店で出すときはエビのスジをしっかりと断って、エビをピーンと一本長くして場合によっては衣を二度付けにしてふっくらとボリュームたっぷりにエビフライをするのですが、今回は量を優先の手を抜いた感じ。
なので、出来上がりのエビフライは全部クルンと丸まっている状態。家でやった感じ満載で、すこしエビフライも焦げている様な色になっていくものまである始末。
ですが、尻尾の殻も無くそのまま口に放り込めます。
「ご飯をよそって、お味噌汁を用意してすぐ食べよう」
炊き立てのご飯と好物のお味噌汁を用意したら、
「「いただきます」」
とりあえずメインも沢山あるのでまずは一口で。
エビフライに少しだけソースを付けてパクリ。
「んん。美味しい」
「エビフライが一口でいけるのはイイですね。うん、うん、なるほど。いくらでも食べられる感じですね」
「そう。一本のしっかりしたエビフライもいいけど、このエビフライばかりを沢山パクパク出来るのが家のエビフライの良い所」
「ダンジョンで倒したリバーシュリンプと似た形と言うのがまたなんともですが、パクパク食べるエビフライと言うのは嬉しいですね」
精霊も気に入ってくれた様子。
二人でご飯をおかわりしながら、パクパクとただひたすらにエビフライばかりを食べる夕飯。
ダンジョンの疲れも取れて、明日からまたお店でお昼を作る気力がわいてくるいい夕食になりました。
今回も読んでいただきありがとうございます
目に見える形の評価やブックマークそして感想もかなり嬉しいです
誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません
改めてありがとうございます
毎日投稿頑張ります




