★ダンジョン13
モンスターハウス、それはゲームでも危ない場所として有名な場所の一つだ。
更に言うなら危ない場所と同じぐらいアイテムにあふれている場所としても知られていたりするのだが、どうやらここはそう言う場所ではない模様。
「かなりの量のモンスターが居るけど、コレ倒し切れるの?」
「倒さない限り部屋から出られない仕掛けのはずなので、倒せない事は無いハズです」
そんな返事が返ってきて、自分の数分前の行いを反省したいところではあるのだが、今はそんなことをしている場合でもなくて、囲まれている状況。
ただ、身体強化をして動き回ってみるとこっちの素早さの方が上なのか、一応避けながら動き回ることは出来ている状態。
「地道に一匹ずつ、やっていくよ」
「ええ、頑張って倒してください」
精霊の応援を背負って、両手の木刀を振り回し続けている状態。
スクワラルは前歯が弱点と分ってはいるのだが、攻撃方法の一つは尻尾での一撃。これが意外と重たく、捌くと体勢を崩されるのだ。
ただ、聞いたばかりの投げつけてくる攻撃が無いだけかなりまし。
寄ってくるスクワラルの攻撃の二撃目は大体前歯による齧りつきなのでそれにカウンターを合わせる様に殴り飛ばして何とか事なきを得ている状態。
ブンブンと木刀二本を振り回すと全体的に一歩下がってくれるので、何とか距離を取っていられるのが救い。
「思っていたより減らないなぁ」
「モンスターも馬鹿じゃないみたいですね」
「本当にね」
けん制で振り回す木刀二本に衝撃があったのはそのすぐ後。
適当に振っているとはいえ、当たる事は無いだろうと思っていたのですが、運よく軽く当たった模様。
当たった先を確認すると、どうやらクロウに一撃が当たったみたいなのですが、煙が出ないのを見ると倒しきれてはいなかったようで追撃をするか、目の前に居るスクワラルと戦うか少し迷ってしまいます。
「雅っ、来ますよっ!!」
「え!?」
精霊の声に反応して、視線を向けるとニヤリとスクワラルが笑います。
その顔は凶悪そのものであり、意地悪な顔にみえます。
そんな顔に見えるスクワラルが投げてきたのは今さっき一撃が当たったばかりのクロウ。
両手で包むようにクロウを持って、サッカーのスローインの要領で嘴をこちらに向けて投げてきます。どうやらモンスター同士が協力し合っての攻撃の様で、クロウも羽を伸ばして勢いを更に付けてこちらへ向かってきます。
だが、こっちも身体強化中。
身体強化が無ければ当たっていたと思われますが、視力も悪くないので何とか攻撃は見えているので咄嗟に回避行動をとります。
シュィィィィィ
少しローブに掠ったようですが何とかモンスターの攻撃は避けられたのですが、かなりの速さ。そのままモンスターは壁に激突すると煙がでて魔石がコロンと落ちたようです。
「今のは危なかった。でも、マジかー」
「マジみたいですね。魔石もまた別のクロウが取っていきましたね」
「それも早く回収しないと怖いよね」
決して軽く見ているわけではないのですが、今の敵の行動から考えると、中途半端に瀕死のモンスターを作ると投げつけて来る可能性があるので、逆にそれはソレで怖い所。
少し奥の方から投げられたら行動が見えない可能性もあるので、的確に一匹ずつ倒さないと危ない事も分かったので確実に倒すしかありません。
「身体強化を解除して、魔法をぶつけるのもいいかなとか思ったんだけど、どう思う?」
「追い込まれたらいいかもしれませんが、さっきの様に避けられなくなると危ないかもしれないので、あまり勧められる行動にはなりませんね」
「あー、そうだよね」
身体強化のまま魔法が使えれば万事解決ですが、出来ない事をすることは無理なので結局一匹ずつ確実にやっていくほかありません。
ただ、けん制の木刀を振り回す行動をするとクロウが寄ってくるように行動が変わってきているので、けん制もし辛くなってある意味ジリ貧になってきている部分はあるのですが、同じ勢いで一匹ずつ確実にスクワラルも減っているので、どっこいどっこい。
「パッと見える量は減って来たね」
「ええ。ですがクロウは全然減っていないのでまだ危ないままですね」
「因みにクロウはどうやって倒すのがイイの?」
「魔石などを落としてそれを狙うのが一番簡単な方法のはずです。あとはバットと変わらず魔法ですね」
「なるほど。もう少し減ればいけるかもしれないかな」
部屋の中のスクワラルも多少減ってきて、足場も増えてきているのでワザと魔石を落とし、それを罠に一撃が出来る余裕ももうすぐ出てきます。
なんとか振り回しをクロウに当てず、前歯へ一撃を当ててスクワラルの数を減らしていたのですが、どんどん前へ自分が出ていたのを自覚できていませんでした。
「雅っ、後ろから来ています!!」
いきなりの言葉で視線を向けようにも首が回る量はそれほど大きくなく。
後ろを向くことは出来ずに、背中の辺りに結構威力のある一撃を食らってしまいます。
「つぅぅ、痛ぁ」
「大丈夫ですか?」
精霊の言葉に反応するより先に、今の一撃を与えたモンスターを確認してみると、そこに居たのはクロウ。
羽音が多くて後ろに居るのに気が付けませんでした。
そしてやられた一撃は嘴による一撃。刺さることはありませんでしたが、石で殴られたような結構な痛みです。
その一撃でポケットに入れていた魔石の一つが落ちたのですが、それを取るようにクロウが下を向いていたので、左手の木刀をそのまま振り下ろして一撃。
すると煙になって魔石をコロンと落とします。
その二個の魔石を奥に居るクロウが我先にと取りに来るので、スクワラルの動きを見ながらけん制しつつ、下を向いているクロウを狙うように叩きつけ。
ただやっている事は何となくもぐら叩きの感じ。二本の木刀で寄ってくるクロウを倒していけるので一気に部屋の中のモンスターが減っていきます。
どうやら精霊の言う通りでクロウはこちらよりも落とし物の方が反応を示しやすいようで、こちらへの攻撃よりも拾い物が優先の様子。そして殆どのクロウが居なくなって羽音がかなり聞こえなくなってきたころ、スクワラルも同じ行動になっているのに気が付きます。
「流石にそれは当たらないよ」
スクワラルも落ちているモノが優先の様で、拾ってからそれを投げるのですが極小の魔石をスクワラルが拾って投げてきても、大きさも無いので威力も無く。
クロウを投げてきたのが一番怖かったぐらいで、こうなってしまうとワンサイドゲーム。
最後のスクワラルを倒して、床に転がっている魔石を一気に回収しながらまだ数匹残っているクロウの羽音に耳を傾けます。
落ちているモノがなくなるとこちらへ来るので、全部拾ってわざと落とすとクロウも残り二匹。
そのまま一匹を倒して、もう一匹が魔石を銜えて何処かへ逃げるので追いかけてみると部屋の端っこにはちょっとしたアイテムの山。
「もしかしてコレ、この部屋のアイテム?」
「ですね。おかしいと思っていましたが、なるほどクロウの習性ですね」
「習性?」
「ええ。クロウは落ちているモノを拾ってどこかにある巣へ集める習性があるのです。本来モンスターハウスはモンスターとアイテムが大量にある部屋なのですが、この部屋はアイテムが全然見当たらずモンスターばかりでしたが、クロウが集めてしまっていたようですね」
「ってことは、この山は全部この部屋に合ったアイテム?」
「ですね。最後のクロウを倒してアイテムを取ってモンスターハウスはクリアですね」
精霊の言葉に頷いて、最後の一匹のクロウと対峙。
流石にもう怖くないので、身体強化を解除して木刀も一度腰に戻して右手を付き出して、
「風っ」
魔法でクロウを真っ二つに。
アイテムの山の中には結構魔石も落ちているのですが、どうにも計算が合わない感じ。明らかに今回の量だけではありません。
「あ、コレ……」
そこには見たことのない剣が。
「モンスターハウスですからね。仕方ない事もあると思います」
「そう、だよね。とりあえず持って帰って報告かな」
「ですね」
結構な量のアイテムですが、敵も居ないので安心という事で風呂敷を一度広げてゆっくりアイテムを回収。
腕輪が二本にビンが数本。見たことのない剣と沢山の魔石。
極小の魔石も量があると結構嵩むもので。ただ、ポケットに入れるよりはいいかなと全部まとめてリュックへ。
少し重たいから休憩もしたいのですが、一応モンスターハウス内という事でまだ気を張っています。
すると部屋のちょうど真ん中に青い魔法陣が。
「どうやらあれに入れば戻れるようですね」
「なるほどね。戻ってからタイミングがあれば休憩、なかったらさっさと脱出しようか」
「それがいいでしょうね」
とりあえず何とかモンスターハウスをクリアできたようです。
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