★ダンジョン11
九階に落ちてすぐ、今までと違う事は無いように感じていたのですが、後ろの方から殻を引きずる音が聞こえて、後ろを向くといきなりの殻を投げつける攻撃が襲ってきます。
「うぉっと、危ぶなかったぁ」
ギリギリで避けることが出来たのでそのまますぐに腰の木刀を引き抜いて一撃入れると、モンスターは小さな魔石を落とします。
「いきなりだったね」
「ですね。階段の時と違い、落とし穴だと降りてすぐの判定が無く最初からそこに居たという判定かもしれませんね」
「なるほどね。その通りかも」
落とし穴の利点と欠点が何となくみえてきた感じがしますが、新しい階なのでまた少し楽しみな感じでダンジョンを散策し始めたのですが、今までの階層には無い不思議な匂い。
「ねぇ、精霊。なにか甘い香りの様な、不思議な匂い?香り?がしている気がするんだけど、何かわかる?」
「えーっと、今は九階ですよね。それでしたらモンスターのせいだと思います」
「モンスターのせい?」
「ええ、もう何個か部屋を回れば敵が出て来ると思いますので、歩いているうちに説明することになると思いますが……」
精霊の言葉通りで、通路を抜けた先には今まで見たこと無い敵がいました。
その形は、キノコでしょうか?
「アレが敵でいいのかな?」
「ええ、初心者殺しで有名なきのこお化けです」
「初心者殺しで有名なの?」
「距離をしっかり取ってくださいね!来ますよ!」
その声色は多少の焦りを含んでいるようなので、見た目通りというわけではなさそう。
ただ、見た感じは両手と両足の生えた子供ぐらいのキノコ。顔つきはおっさんっぽいので、可愛さなんて全くなく、単純に敵とすぐにわかるのがありがたい感じ。
そのキノコが左右に揺れると胞子を出しているのかキノコの上には煙の様なモノが。
「下がって、避けてください」
「わかったっ!」
バックステップで後ろへ下がって避けたつもりだったのですが、胞子は思っていたよりも距離を飛ばす様で顔にかかってしまいます。
「うっ、これ……は……」
襲ってきたのは急な眠気。それもかなり強く目を開けていられなくなるような意識をいきなり失わせるようなかなり強いモノです。
なすすべもなく、僕はそのままバタンと前のめりに倒れてしまいました。
「雅っ!起きてくださいっ!雅っ!!!」
小さな衝撃を受けると、今までの眠気がまるで嘘だったかのように目が覚めます。
ただ、寝起きの様な感じで少し頭がぼーっとしているのですが、
「雅っ、起きたなら一度退避を」
「あー、うん」
眠気が覚めても、怠さがあるので素早くは動けませんでしたが、とりあえず通路に逃げる事が出来ました。
「初心者殺しだね。あの攻撃は」
「言ったじゃないですか。三、四発頭を踏みつけられていますが、ダメージはどうです?」
「あー、そんなにないかな。頭防具は付けていないけど痛みなどは無いよ」
「ならよかったですが、状態異常攻撃はやはり強いですね」
「うん。抗えない眠気って怖いね」
「トラップにもコレがあるので普通はトラップを踏まないようにするべきなんですよ」
「実感してみるとよくわかるよ。コレは怖いわ」
「足は御覧の通りあまり早くないのがせめてもの救いでしょうか。遠距離攻撃の魔法などで倒してください」
「分かった」
念のためでもう一歩後ろへ下がって距離を取って、木刀を引き抜いてちょっとだけ集中をして、
「風っ」
木刀を横へ一閃すると、風の刃がきのこお化けをスパッと真っ二つに。
小さな魔石は変わらずで、それを拾ってやっと一段落。
「精霊、ありがとう」
「いえ、先に伝えておくべきでしたね。この階にはもう一匹厄介なモンスターが居ますから、先に伝えますね」
「もう一匹いるんだ」
「ええ。それが花もどきです」
「花もどき?」
「そうです。花が動いているように見えるのですが、本体は根っこなので花をいくら攻撃しても倒せないという厄介なモンスターです」
「あー、まんま花の生態っぽいね」
「ええ。そして厄介なのが、花はトカゲの尻尾と同じで自分で落とせるようなのですが、それには甘い匂いがしてモンスターが集まるという習性があるのです」
「それはとても厄介だね」
「倒し方は……」
「自分で考えてみるよ」
正解を精霊が教えてくれそうでしたが、聞かずに自分でやってみたかったので考えると伝えます。
「どうしても危なくなったら、伝えますからね」
「うん。その時はよろしく」
「さっきの落とし穴といい、雅は結構怖いもの知らずですね?」
「いやー、ほら何でも楽しんだ方がいいじゃない?ダンジョンなんて地球には無かったし、魔法も勿論なかったから。いのちをかけているのは分かるけど、やっぱり少しゲーム気分が抜けてないのもあるかもしれない」
「ほどほどにして下さいね?」
「んー、まあ善処する」
「それって、何もしない人のよく言う言葉ですけど?」
中々辛辣な精霊の言葉に苦笑いをして、ダンジョンの探索再開。
ハーミットクラブやリバーシュリンプがちょくちょく攻撃をしてきますが、問題なく捌いて、道中で何本か緑のビンも拾います。
二つほど部屋を抜けて、通路を歩いているとさっきと似た甘い匂い。
「この匂いは、居たかも?」
「ですね。先に居ます」
花もどきと言う名前なので大した花ではないのかと思ったのですが、結構綺麗な黄色い花を咲かせているモンスター。
ですが、結局モンスターなので黄色い花に蔦で出来た手と足があって微妙な速度で動いているので、花以外を見てしまうと綺麗とはお世辞にも言えません。
「さてと、倒してみるか」
分かってはいるのですが、とりあえず物理的に一発。
腰から木刀を抜いて、縦に一閃。
花はつぶれて、ぐぎゅぅとあまり聞かない音というかモンスターの悲鳴でしょうか?
しかし、倒したときにでるような煙が出る事は無く、花だけがそのまま落ちて蔦だけが結構早い速度で逃げていきます。
「ダメだったか、っとにがさないぞ」
急いでその蔦だけになった花もどきを追いかけて、もう一度縦に木刀を振りぬくと倒せたようで、煙と小さな魔石が。
「一撃目は絶対に倒せないとかそういう感じかな?」
「おー、雅は流石ですね。その通りです。もし一撃で倒すのであれば、キノコお化けと一緒で魔法でですね」
「そう考えると、魔法って本当にダンジョンにとっては大事だね?」
「ええ。魔法が無くても一応武器や防具に属性が付けられるみたいなので、そういう対策をすれば何とかなるかもしれませんが、かなり高いですからね」
「それはお金がかかりそうだ」
そんな感じで話をしていると階段発見。
十階に降りながら、休憩をもう一度しっかりとりますかね。
今回も読んでいただきありがとうございます
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誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません
改めてありがとうございます
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