★ダンジョン10
宝箱モンスターを目の前にしてはいるのですが、身体強化で無理矢理口を開けさせてもそれほどダメージが通った感じもしなかったので、結局諦めることに。
一歩下がって攻撃が来ない事を確認してから、身体強化を解いて一息。
「また落ちているかもしれないから、その時ににしよう」
「ですね。あ、でも報告はした方がいいでしょうね」
「だねぇ」
宝箱モンスターだけあって、その場から動く事は無いようなので離れてしまえば問題も無くこちらに近づいてくることもありません。
「それにしても強かったね。木刀も一本やられちゃったし」
「ある程度調べているのでああいうモンスターの情報はあるはずなのですが、うーん、まだまだでしたね。すみませんね、雅」
「いやいや、ダンジョンについては精霊のおかげで助かっているし、役立っているからそんなこと無いよ」
「そう言ってもらえると嬉しいものですね」
本音を言えば倒したい気持ちはあるのですが、さっきも精霊に言ったように木刀の一本がやられてしまっている事も自分としては困り処。前回は楽だと言われていて一本でダンジョンに入りましたが、今回は試しの気持ちで三本持って来ていて本当に良かったと思う所です。
その二本もいつも振っているモノではないので、いつも通りからは少し離れているので撤退の選択にしました。
その後はいつも通り。たまに湧くモンスターを退治して、小さな魔石を手に入れて落ちている薬品をリュックに入れて。ダンジョン探索しているうちに階段を見つけます。
「やっとあったね」
「ええ、この階は広かったですね」
「丁度いいから休憩をしようか」
「ですね」
精霊と頷き合って、階段に入ってすぐに腰を落として休憩を。
軽い休憩なので、水筒から水を飲もうと思ったのですが、ちょっと閃きが。
「そうだ、精霊緑のビンの飲んでみない?」
「緑のビンですか?」
「うん。確か回復薬か水か塩水だったはずだから、人体に影響はないハズだよね?」
「あー、言われてみればそうですね。どんな味なのか気になりますね」
言ってみると、確かに気になります。
宝箱モンスターが居た階は結構広く入ってすぐの階でも緑のビンは何本か見つけていたので、早速試してみることに。
「凄い色ですよね。この蛍光色の緑」
「だよね。でも開ければ無色になるからね。よし、まずは一本開けてみるよ」
コルクの様なモノを抜いてキュポンといい音。すると色がスーッと抜けて無色透明に。
「塩水の可能性もあるみたいだから、ちょっとずつにするよ」
「ええ。味見ですね」
ビンを傾けて下をペロッとしてみると、うん。コレはハズレ。
「塩水だね」
「ですか。あ、一応イイですか?」
「どうぞ」
精霊に渡して精霊も少しだけ飲んでみたようですが、塩水で変わりなく。
「結構辛いですね」
「うん。コレ、塩水っていうか海の水かもしれない」
「海の水ですか?」
「うん、かなり塩分濃度が高く感じるし、海の近くの匂いがする気がする」
「海、というのはあまり詳しく知りませんが、魚が居る所ですよね?」
「だねー。さ、ハズレは置いてもう一本いこうか」
「ええ。ポーションが気になります」
残りは三本あるので、次へ。
「あー、これはただの水だね」
そんな感じで緑のビンをどんどん開けてみるのですが、水と塩水ばかり。水は本当にただの真水っぽいので、そのまま飲んで水分補給。塩水は勿体ないのですがそのまま捨てることに。それと面白かったのが、ビンの中身が無くなるとビンは自然と消えてしまうという事。
「階段だからかな?」
「どうでしょう?モンスターも倒すと煙になって消えるのでそう言うのと一緒なのかもしれませんね」
「あー、言われてみればそうだね。宝箱も開けたら消えたもんね」
「ですね」
そんな感じで会話をしながら、最後の一本。
ペロッと下で舐めてみると、甘いっ!!
「回復薬だと思う」
そう言って、精霊に渡すと僕の言葉を信じ切っているのか半分一気に飲みます。
「美味しいですねコレは。この間のスムージーの時の味に似ていますね」
精霊の言葉に頷けるほどは飲んでいないので、残りをもらって飲んでみると、知っている味にそっくりです。
「うん、これリンゴジュースだね」
回復薬はリンゴジュースと聞くとちょっと不思議ですが、実際多少の疲れもとれている気がするので、回復薬に違いありません。
そんな感じで水分補給も出来たので、軽く干し肉をお互いに齧って、休憩終了。
「次の階にいこうか」
「ええ。あ、次の休憩はバーを食べたいです」
「そうだね。進んでからね」
階段を下りると、八階です。
出て来るモンスターはさっきの階層と変わらずで、バランスのいい感じに敵が出てきます。
「あのコンボはちょっと面倒だね」
降りて少し経った頃にとある部屋に入ったのですが、ラットが左右からと正面にハーミットクラブが居て急いで通路へ逃げる様に下がろうとしたのですが、それが逆に仇となってハーミットクラブの殻投げが当たってしまいました。
大したダメージではなかったのですが、その後の行動がちょっと驚く感じで。
一匹のラットが僕に当った殻を齧り後ろに放り投げるとハーミットクラブが山なりに攻撃してくるのです。
二度目の山なりの攻撃は後ろに下がって避けることが容易だったので、攻撃を避けながらラット二匹を倒してから、殻のないハーミットクラブを倒して事なきを得ましたが、モンスターといえど、知能は結構高いようでまさか協力してくるとは思っていなかったので驚愕です。
「ですね。ですが、下の階層はもっとそう言った知恵を駆使してくる敵も居るようなので、やはり油断は禁物ですね」
「だね。っと、この罠はかなり強い感じの真っ赤だなぁ」
そんな会話をしていると、腕輪のおかげで色が濃い赤のトラップを見つけます。
色の薄い普通の赤いトラップはあれからも何度も見ているのですが、コレはかなり濃い赤。
「ダメージ、状態異常、落とし穴、転移トラップだっけ?」
「ですね。色が濃いという事は後者の可能性が高いと思われますね」
「因みに、落とし穴ってどういう感じなの?」
「詳しくは知りません。抗う事が出来ずに落ちるという事しかしりませんね」
抗う事が出来ずという事は、手持ちにはありませんがロープなどで補助していてもダメという事でしょう。
「もう八階だし、落とし穴だったら九階に落ちるって事だよね?」
「そうですね。一階分しか落ちないはずです」
「折角だから、落ちてみようか」
「転移トラップの可能性もありますよ?」
「でも、ほら楽しそうじゃない?」
「……まぁ、そうですよね」
精霊も初めての事はやはり楽しみな様で、一緒に楽しんでくれそうです。
八階に入って数個しか部屋は抜けていませんが、折角なので試してみることに。
「よし、覚悟を決めて踏んでみるよ」
「ええ、お願いします」
前回ダンジョンに入った時は足元にライトをつけて踏まないようにしていましたが、さて、どうなると踏んでみると、踏んだ瞬間にカチッといい音。
「あっ」
出る言葉はそれだけで、浮遊感の様なモノは無く少し覚悟していた落下ダメージも無い様子。
「落ちたのかな?」
「多分。あまり変わりがないので分かりませんね」
「だよねぇ。でも、トラップではあるけど階段を探さないでもいいって考えるとちょっとしたショートカットにはなるかな?」
「そうですね。あー、でも十一階でコレを使っても脱出のクリスタルの部屋へ行けないと思うので、やっぱりトラップはトラップですね」
「言われてみれば。そうだね。この腕輪はやっぱり当たりだね」
「ですね」
そんな感じで僕達は落とし穴を楽しんで九階へ降りてきました。
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