餃子スープうどん
「いやぁ、美味しかった」
「ですねー」
「うんうん」
「最高だった」
「……(無言で高速に頷く)」
「このタレ、いいわー」
「美味しかったです」
皆さん満足して貰えた様で、お昼も終わっていつもであれば解散となるのですが、やっぱり気になるので、一応聞いてみることに。
「あのー、精霊について少し聞きたいのですが」
「ん?なんだい?」
「かなり食欲が旺盛なのですが、抑える方法とかあります?」
「……あぁ。精霊の食欲かぁ」
肩を落とすようにがーさんが首を下げて、それに習うように皆さんも肩を落とします。
「基本的には、難しいかな。一応できない事は無いんだけど……効果は薄いかもしれない」
そう言って、視線を少し彷徨わせたので視線の先を追おうとしてみたのですが、分からず。
薄いかもしれないという事は、ゼロではなさそうな感じにも聞こえますが……。
「私は今成長中ですからね!食べられなくなるのは困ります」
「だってさ」
厨房で食べていたはずの精霊が、ネギ塩ダレをぺたっと付けたまま登場。
この前もでしたが、綺麗に食べる方法も教えた方が良さそうかなと、また別の事にも思考が移ります。
「因みに皆さんが肩を落としているのは何故です?」
一応聞いてみると、盛大な溜息。
「その様子じゃ、そちらも?」
「同じくですか?」
「ですねぇ」
「……(無言で頷く)」
「ちゃんと相談すれば、まあなんとか」
「うちもそんな感じですねぇ」
あぁ、なんというか皆さんも大変そうな空気。
でも、二人は相談をすればいいような感じに言っていますが?
「あの、相談するというのはどういう事です?」
「そのままだよ。別に飴と鞭のように使い分けろという事ではないが、量はここまでにして欲しいと相談するわけだ。その代わりその量は絶対に出すけどね。まあ、ご飯の話はみんな大変だよね」
「うちもそんな感じよ。まぁ、最初に言われた時はビックリしたけどね」
皆結構大変な模様です。
「雅、量の相談を私とするのは難しいと思いますよ?」
「え、なんで?」
「お昼の試食や食事とは別のモノをちょちょっと作るのを見ていて、食べないなんてできません」
「ん?試食とは別のモノ?」
精霊との会話に割り込むように入って来たのはがーさん。
「そうです。今日もお昼まで私が我慢できないといったら、もやしと豚肉のネギ塩ダレをかけた賄の一品も出してくれましたし、ちょっと前で言えばハッシュドビーフをオムライスの様にしてもらいましたし?」
「ほほぅ、それはまた美味しそうなものを色々と作ってくれているようだね?」
「なっ、今日のネギ塩ダレにそんな使い方もあったのか」
「ハッシュドオムライス!?」
「そりゃぁ、美味そうだ」
「美味しそう(かなり小声)」
視線は何故か一気に自分に。
確かにこの話をし始めたのは自分ですが、まさかの事態。
「あくまで賄いですからね。お客さんには出せませんよ?」
一応釘を刺す様に言ってみたのですが、
「客としてじゃない状態で来ればいいという事だね?わかったよ」
一人が何の気なしに言うと、皆さん雷にでも撃たれたかのような様子。
場が一気に静かになったので、これ以上墓穴を掘る前にお帰り頂くとしましょう。
「今日もお粗末様でした。また三日後にお待ちしています」
それだけ言って、さっさと食器類を片付ける様に厨房に持ち帰ります。
お客さん達はお客さん達でなにやら相談のような感じで話をしているようですが、聞かなかったことにして、片付けをさっさとしますかね。
「皆さんああは言っていたけど、食べ過ぎたら怒るからね?」
「ギリギリを攻めさせてもらうつもりですが、怒られない様に気をつけます」
「ギリギリを攻めないでほしいけどねぇ」
厨房に戻りながら精霊に言うと、あまりうれしくない返事。
まあ、返事が何もないよりはましと思って片付けを済ませましょう。
いつもと同じ程度の時間で片付けも終わったら、今日は木刀を磨く予定。
「精霊、いける?」
「ええ、勿論です」
という事で精霊といつも通りに南の扉を抜けて草原へ。
今日はいつもの人が居なかったので、軽い挨拶だけで南の草原に着いたのですが、木刀は二本。重たい物と硬い物。両方持つと結構いい重さがありますが言っても二本。何とかなります。
「じゃあ、昨日言っていたように手伝ってもらえる?」
「そのために来たようなものですからね。では、先に私の方から」
そう言って精霊が土のやすりを作ってくれます。
それを右手に持って左手はまず重たい木で作った木刀を持って、自分も確定させる言葉を。
「身体強化!」
コレの恩恵はダンジョンでも、ダンジョンに行く前のアイスクリームを作った時にも感じています。
体の内から力が湧いてくるようなそんな不思議な感じを全身に纏って、とりあえずやすりで削っていくと、中々凄い光景に。
普通でも結構な速さではあったのですが、更に強化されているので手が二本しかないのに四本や六本に見えるほど。そして、コレは現実ではあり得ないと思えるのが削りかすがあまりに早すぎて少し煙い程。
「……煙い?」
自分の手には異常が無いので少しゆっくり磨くようにしてみたのですが、木刀の一部が黒く見えます。
もしかして、摩擦熱?いや、でも熱は感じないんだが……。
危ないかもしれないと思って、緩めたまま精霊に聞いてみると、
「あまりに早すぎて、熱を持ってしまっていますね。早すぎても問題があるとは思いませんでした」
「だよねぇ。っていうか、摩擦熱が感じられないけど?」
「一応私が作った土のやすりが間にありますからね。熱を感じない程度には頑丈なやすりをつくりましたよ?」
なるほど。それで熱くないのね。
ただ、まばらに黒くなっている木刀はちょっと見た目がよくありません。
磨くのが目的なのですが、色を統一したくなってきたのでちょっと早くしてもう一度頑張ってみることに。
やってみるとわかるのが、真ん中あたりは結構簡単に色づくのですが、端の方は中々難しく、色も弱め。
それでも、いつもの半分程度の時間で磨きは終ったので、一度魔法を解いてから、色の薄い部分に火の魔法で周りと同じ程度に色付けをして完成。
同じ失敗をしないように、精霊にもう一度やすりを作ってもらって身体強化を弱めに使って硬い木も磨いてしまえば、いい感じに木刀が出来上がります。
「よっし、これでいいかな」
「提案したのは私ですが、思っていた以上に出来るものですね」
「だねー。ケガの功名で重たい木がいい感じに黒く焼けて区別もつきやすくなって。良い事ばっかりだね」
「それは良かった。見ているこちらとしても煙がでたり、白い粉で覆われたり、木刀を磨くというよりは別の何かを見ている感じで楽しかったですよ」
それはソレでどうなのだろうと思いながらも、やろうと思っていた二本を磨き終えたので、あとはいつも通りに夕飯を考えないと。
帰り道で浮かぶといいのですが、こういう時に限って何も思い付かない事が多く困ったもの。結局何も思い浮かぶことが無いまま家に着いてしまいます。
「ただいまー」
「おかえりなさい」
いつもの様に挨拶をして、出来立ての木刀を置いたら手を洗って厨房に。
思いつかないときは全然思いつかないモノで。
いつもと一緒で冷蔵庫を開けて食材を見て、何か思いつかないかなとバタバタとしているのですが、いい物が浮かぶわけも無く。
いつまでたっても決まらないので、こんなにすぐに使うのはちょっと勿体ない気がしますが、この間作った餃子のストックを早速使う事に。
「おや、夕飯が決まりましたか?」
「うん。この間のストック餃子を使おうかなって」
「なるほど。楽しみです」
主食も欲しいので、お湯を沸かす鍋は二つ。一つでうどんを茹でている間に餃子を使ってスープを作ります。
といっても、やることは殆ど無く。沸かしたお湯で麺を茹でている隣で、同じように餃子を茹でるだけ。茹でる時に、スープに入れたい具材も一緒に入れるのですが、面倒だったら何も入れなくてもオッケー。ただ、今日は少し具が欲しいので、お昼同様もやしを足して、ついでに卵を溶いておきます。
まだスープは餃子から染み出た程度の味しかないので、しっかりここで味付けを。
鶏ガラスープを入れて、塩とオイスターソースをちょっとと醤油でさっぱり目にしたスープを作れば完成。
お好みでお酢やラー油を入れれば酸辣湯のような味にも出来るし、少し薄いぐらいの方がアレンジしやすいので、味はそこまで濃くしないのもコツ。
味を決めたら、最後に糸状にして卵を入れて卵に火が入ればスープの完成。
茹であがったうどんと合わせて出来上がり。
「ストック餃子を使った、餃子スープうどんの出来上がりっと」
「美味しそうないい香りですね」
「「いただきます」」
ズルズルと、うどんを啜るとちょっとしたコクはオイスターソースからで、全体的な味は優し目。うどんの食感にフワフワの卵、そしてもやしもシャキシャキといい感じ。
ゆっくり夕飯を食べたら、精霊と話をして明日からのお休みを楽しもうと思います。
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