回鍋肉
「今日のお昼はなにかなー?」
「こんにちは、いらっしゃい。お席へどうぞ」
いつものやり取りで今日もお客さんが来てくれます。
「精霊がそわそわしているようだけど、なにかあった?」
がーさんが精霊の不審な動きを気にしてくれましたが、
「大丈夫ですよ。お昼の試食が無くてそわそわしているだけです」
「そっか。今日も楽しませてもらうよ」
そんな会話をしたら、お昼のメインを作るとしましょう。
あの後、準備をしていたのはキャベツとピーマン、長ネギに豚バラ肉。
キャベツはざく切りで、ピーマンも少し大きめにキャベツ程度におおきさをそろえて。長ネギはみじん切りの準備をしたら、餃子でも使いましたが生姜をこちらも摩り下ろし。
メインの豚バラはキャベツと同じぐらいの少し大きめに切りそろえて準備はオッケー。
「精霊はどうする?」
「皆さんと一緒に食べます。お腹が減って減って」
「わかった。じゃあ、すぐに作るね」
同時作業とはいかないので、先に出す準備を整えるのはご飯とスープ。ご飯をよそって、スープも温めなおしから。
その作業を途中で中断するわけにもいかないので先に二つを客席へ。
「ん?ご飯とスープ?」
「ええ。メインを持って来た後にもう一品出しますね」
ソレだけ伝えると、メインを作りあげましょう。
フライパンにゴマ油を敷いて、長ネギ、すりおろした生姜、豆板醤を入れてから火にかけます。油が温まっていくと、いい香りがたってくるので香りを確認して、まずは豚バラ肉から投入。少し面倒かもしれませんが、一枚ずつバラバラの方が後で食べやすくなるので出来るだけ重ならないように入れて火を通したら、一気に作り上げ。
ピーマンを入れて同じく火を通して、もういいかなと言うタイミングになったらキャベツを入れて、酒、甜麺醤、醤油で味付けをしてシッカリ煽ったら出来上がり。
「お待たせしました、回鍋肉です」
「おおぉ」
「んー、いい香りだ」
「コレは、おかわりが必須だね」
皆さんも待っていたようで、出した後は餃子を焼きます。
こっちはかなり簡単に。
底がくっつかないように、油を敷いたフライパンに餃子を並べて火にかけます。底がいい感じに焼き色が付いて来たらお湯を入れて蓋をして蒸し焼きに。
最後に蓋を開けてお湯を飛ばしたら、ゴマ油をフチから入れて餃子の皮の底をパリっとさせたら出来上がり。
「餃子です。醤油やお酢にラー油も用意してあるのでお好きにどうぞ」
お客さんに出し終えたら、やっとここで一段落。
もちろん同じメニューを精霊にも出しているので、精霊もいい勢いで食べています。
お客さん達も流石、回鍋肉だけあってご飯のおかわりもどしどし来る感じ。
同じようなペースで精霊もおかわりをしてくるのですが、餃子を前にピタリと止まります。
「どうかした?」
「この餃子、そのままでもすっごい美味しいですね」
「ありがとう。ちゃんと味付けはしてあるからね」
「ですが、客席の皆さんは色々と掛けているようですが、いいのですか?」
「んー、餃子ってそういうモノだからね。餃子のタレがいい人、醤油だけがいい人。お酢と醤油なんていうのがかなり多いのかな?詳しくは知らないんだけどテレビで、シロー?ゴロー?さんって一人ご飯が好きな人がお酢とコショウで食べるのを流行らせているって聞いたけど、あれもどれも正解でハズレは無いからね」
「そういうモノですか。それでしたらピリッと少し味変化をしてみます」
「ああ、ラー油だね。それを入れるとピリッとするからまた食欲が刺激されるよ」
「ほほぅ。良い事を聞きました。ちょっと試してみます」
そう言うと、精霊は小皿に結構たっぷりとラー油を入れて、そこにお酢とコショウ。
確か自分の周りのお酒を飲む人たちが好んでいた食べ方だなとちょっと懐かしい思い出を思い出すような食べ方。
「んー、ピリッピリッとコショウとラー油の違う辛味の後にお酢がさっと流してくれていいですね。というか、あれ?もう餃子がありませんね?」
「そりゃあ、一人三つだから。食べれば無くなるよ?」
「追加を要求したいのですが?」
「お客さんから要望があったらだよ。餃子は使い勝手がいいから、スープに入れればそのまま具材にもなるし、何も作りたく無いときは鶏ガラスープにコレを入れてご飯と卵を溶けばそれだけで栄養たっぷりのおじやにもできるし、ストックしておくに越したこと無いんだから」
「その食べ方もおいしそうですね。うーん、悩ましい……」
精霊がうーんと唸りながら悩んでいると、客席から声が。
精霊はそのままにして、客席に行くと皆さん回鍋肉をしっかりと食べてご飯もおかわりしていたはずなのに、スープもしっかり飲んでいるはずなのに伺うような顔。
「おかわりですか?」
「うん。ご飯と回鍋肉は十分堪能したから、もう少し餃子をね」
「同数でいいですよね?」
「ああ。そのぐらいが丁度いい。ただ、皆の分もね」
その言葉に皆さんが頷いて、おかわりを作る事に。
「皆さんおかわりだって。精霊の分も焼く?」
「ええ。お願いします」
餃子をもう一度焼くことに。
やり方はさっきと変わらないので、時間も一緒。
そんな感じで一人餃子を焼いていると、精霊が聞いてきます。
「色々言っていましたけど、雅はどういう風に食べるのです?」
「あー、僕は基本そのまま。タレが出るお店はタレで。父さんやお酒を飲む人と行っている時は酢コショウ。って感じで、コレって決めているわけじゃないんだよね」
「どれもこれも美味しいという事ですね?」
「だね。因みに精霊は?」
「色々と試している感じですけど、お酢と醤油がいいですかね。タレはまだ知らないので」
「あー、そうだね。お店が無いからがーさんにタレは相談しないといけないかな」
そんな会話をしながら、餃子を焼いて皆さんに提供するお昼。
今日もみなさん楽しい食事を出来たそうです。
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