コミカライズなど決定記念「ベルプペ世界にハロウィンがあるのならば」
キャラデザ・挿画担当者様が決定&コミカライズ決定のお祝いとお礼を兼ねてのSSです。ハロウィンに何もできなかったので、ハロウィンネタで。一カ月たってないのでセーフだと思いたい。
「ハロウィン?」
レティシアは首をかしげた。
フォコンの手にはふさふさの耳がついたカチューシャが二つ握られている。
「国外の祭りだな。この時期になるとあの世とこの世の境界があいまいになって、死者の魂が現世に現れる。そのため悪霊から身を守るために仮装をするそうだ。世界各地で広がりを見せ、ロスマンでもこの時期になると軽い仮装をする者が増えてきているな」
「さすがジルベール様。博識!」
「アリーシャ達の店はこういう祭りに積極的だからな」
確かにアリーシャ達が耳を付けたら、その愛らしさに集客アップは間違いないだろう。
よし、一度顔を出してみようか。レティシアのまま行けばさすがに目立つが、竜帝に反転すれば店に出入りしても違和感は――そう考えたところで「レティ?」という訝しげなジルベールの声に引き戻された。
「さすがに今日ばかりはキミの考えが分かるぞ。それは店が大変な事になるからやめなさい。どうしても行きたいなら俺と一緒に裏手からだ」
「はは、確かにそうだな。その時は一緒に挨拶しに行こうか。それで、フォコンが持っているものはそのハロウィン関連なんだな?」
「市街に出たらこれが売ってたので、姫様ならば絶対に似合うと思って買っちゃいました!」
手渡されたのは犬の耳がついたカチューシャだ。銀の毛並みは確かにレティシアの髪に近い色をしている。ぴんと立ち上がった三角形は愛くるしさを誘うだろう。
「まぁいつも頑張ってくれているお前の頼みならば断わらんよ。かしてくれ。……ところで、お前も付けるのか?」
「まさか。髪の色が合わないじゃないですか。こっちは勿論ジルベール様です!」
黒猫の耳がついたカチューシャをジルベールに手渡すフォコン。この密偵、やりたい放題である。少々自由に育てすぎたかもしれない。
レティシアは軽く頭を押さえた。しかし当のジルベールは興味深げにくるくるとカチューシャを眺めている。怒っている様子はない。
「ジルベール様?」
「まぁ、そんな事だろうとは思ったよ。レティとお揃いなら悪くない」
そして当たり前のようにそれを頭につけた。
「にゃあ。……ふふ、なんてな。似合っているか?」
レティシアに顔が良く見えるよう屈み、少し頬を赤らめながら悪戯っ子ような笑みを向けてくる。もちろん右手は顔の隣で猫の手のポーズをとっていた。
ぴしりと全身に雷が走ったかのような衝撃が走る。
レティシアは自身も手早くカチューシャをつけた。犬だ犬だと思っていたが、この白銀色は別の生き物なのかもしれない。
納得だ。そういう事だったのか。
「まるっと理解した。私に狼になれという事だったのだな。承った。全力で遂行しよう」
「え? ちょ、レティ!?」
レティシアは軽々とジルベールを抱き上げ、フォコンに微笑んだ。それはベル・プペーの微笑みには程遠く、獲物を狩る狼そのものだった。
ある意味、その耳が何よりも似合っている。
「ご苦労だったフォコン。旦那様は貰い受ける」
こうなったレティシアを止めるすべはない。
フォコンは「お楽しみくださーい」と手を振った後、脱兎のごとく逃げ出した。
キャラデザ・挿画担当者様が決定&コミカライズ決定については、活動報告の方に長々と書かせていただいたので、よければそちらもご覧くださいませ!
大好きな先生にどちらもご担当いただけて本当に幸せです!
応援してくださる皆様のおかげです。本当にありがとうございます!
(こっそり)
実はジルベールの髪が長髪ではなく襟足長めの黒髪短髪系にかわり更に私好みのエッッッ!なお兄さんになって顔が良すぎて良すぎて本当に語彙力溶けるくらいヤバいので表紙でたあとにこれを読み返せばきっと破壊力3億倍に増えると思います。ぜひお楽しみに!!





