兆候
少しずつ・・・。
潮目が変わり始めたのは、4年目過ぎたこの頃でしょうか。
相談所のおっちゃんに、
「山本君、もう2年過ぎとったね。貰っとらんやった、会費3000円ちょうだい」
「はあ、そうでしたか」
私は2年も経とうとしているのに、今更と思いつつ、会費を渡します。
「あのさ、飲み会にいかない?」
突如、おっちゃんからの誘いでした。
「飲み会ですか?」
と、気乗りのしない私に、
「女の子誘うから、男3女3それとワシ、なっ」
「はあ」
用は個人的主催婚活飲み会でした。
「行くよ」
「分かりました」
私はおっちゃんの厚情に感謝しつつ、その日を迎えます。
とは、いえ、その日は仕事があって気乗りもやっぱりしなくて、お酒は飲まないと決めて、八女から少し離れた柳川の焼き鳥屋へと車でむかいました。
焼き鳥屋に着くと、もうすでに始まっていました。
「おーきた、きた」
おっちゃんが手招きをします。
テーブル席に男性3人とおっちゃん、向かいに女性3人という配置だったっけ。
女性陣は看護婦さんとか医療系の方々、男性陣は・・・覚えていないなあ(笑)。
おっちゃんが上手く間に入ってくれて会話もはずみます。
焼き鳥も美味しく、こんなフランクな感じいいなあと思いました。
そこそこに盛りあがり、おっちゃんが宣言します。
「よっし、スナックに行くぞ」
「へ」
シラフの私には、ちときついお達しでしたが、乗った船は最後まで行くべきです。
「おーっ!」
と、乗り気のみんなに混じって、
「おー」
と、やややる気のない私でした。
スナックでは、ウーロン茶で我慢、我慢、カラオケがありましたので、得意曲で盛り上げ役を調子よくやっていました。しかし、最後の3曲目に何故かその時流行っていたファンモンの「LIFE IS A PARTY」を、よく聴いていただけというのに、選んでしまい、上手く歌えずダダすべりしてしまい、意気消沈で帰る私なのでした。
成果?気乗りが無く知りすごみする奴なんかに明日は来ませんよ(汗)。
だけど、少しずつ出会いの機会が増えていきました。
ある日のこと、
「ほら見て」
おっちゃんが、写真を見せてきます。
「可愛い。外国人のお子さんですね」
「ワシの孫」
「へ?」
「娘がフランス人と結婚したんよ」
「へー」
「諦めちゃ、いかんよ」
「はあ」(なんのこっちゃ)
「そうそう、この娘なんてどう?」
おっちゃんは、ファイルの中から女性を見せてきます。
「そうですね」
「じゃ、書いてみて」
「?はあ」
私は、その方に会いたい希望を書いて、応募箱に投函しました。
そして・・・。
何かが・・・。




