門番の日常
一兵士である青年………とは言えなくなった年齢の男性は空を見上げながら呟いた
「…………。平和だなぁ……。」
空は澄み渡り、鳥以外に姿はなく、ただただ雲が流れるばかり
ここは、王都東口の門前
出世コースとは無縁の彼は、いつもの通り相棒と入ってくる人達を見つめ続ける
べつに彼らの仕事はただただ突っ立っている訳ではない
仕事は簡単で、盗賊などが襲って来たとき、一瞬の盾になること
と言っても、堂々と入り口から入ってくる盗賊たちはここ数年いない
たとえ盗賊でも、笑顔を振り撒きながら普通の服で、普通のしゃべり方をしたら、入れてしまう
入れるかどうかを決めるのは、彼らの仕事ではない
やっぱり、仕事がない2人だった
「なぁ、相棒。お前の娘さん、何歳だっけ?」
相棒が暇になったので話しかけてきた
最初は真備目だった2人も、何年もただただ突っ立っているだけの仕事では、話すネタはとうに尽きてる
「今年の冬で3つだ。可愛いぞ。」
「あぁ、この間見せてもらったからな。お前にになくて良かったな。」
「なんだと?っと、言いたいとこだが、全くのその通りさ。妻ににてかわよい。」
愛妻の妻と、自分の娘の顔を思い浮かべるだけで、自然と笑顔になれる
「良いなぁ……。俺も良い加減結婚したいよ。お前さんの娘が多きかなった時、ください。」
「黙れハゲじじい。寝言は死んでいえ。」
「ハゲてねぇよ!!まぁ、お前の娘さんが大きくなる頃には、ハゲってかもな。」
「それまでには結婚しろよ。」
2人はまた空を扇ぐ
「なぁ、…………。相棒。」
「ん?どーしたよ。」
何時になく、真面目な顔でしゃべる仲間をみた
「俺さ、来年までには結婚するんだ……。」
「死ぬのか?」
真面目な話かと思えば……。
「俺、この仕事が終わったらさ……。飲み屋のお嬢ちゃんに告白するんだ…。」
「やめとけ、他の仲間に殺されるぞ?」
「そしたら、2人で休暇を貰って、…………。ダメだ。なんも思い付かん。」
「そんなもんだよ。人生って。」
「そんなもんかぁ……。」
また、空を扇ぐ
「…………………………。あのさ。」
「なんだよ?」
男が指で空をしめす
「………………。こっちに来てね………?」
「そーーーだな。来て…………る!?」
何かがとてつもないスピードで飛んでくる!!
「モ、モンスター!!門を閉め………。」
門を閉めろ!!と、叫ぼうとしたときには、もう遅い
目の前に、赤………というにはあまりにも濃い、紅色のしたドラゴンがいた
『グルルルル。』
青年は、死を覚悟した




