《ドラン》面倒な事になった
面倒な事になった
正直なところ、それしさ思い付かない
先程殺し…てはいないか、あの男のかけた呪いかは知らないが、黒犬の記憶が改竄されたようだ
「おい、アリス、さっきまで何を食ってた?」
「?ケーキだよ。それでドランにも食べさせようと思ったら仕事に行くって言ったから、ケーキはアイテムボックスの中にしまったよ。あとで食べさせてあげるからね!!」
「昨日は何をしてた?」
「隣町から移動したでしょ?」
やっぱりか…
「お前は何処出身だ?」
「解らない、私はドランに拾われたんでしょ。思い出したくないよ。」
それからも幾つかの仕事をした
その結果、黒犬の記憶はこのようになっていた
産まれてすぐに捨てられ、奴隷として売られた
それを7歳の時に俺が買った
すぐに奴隷を解放して、学校に通わせてくれ、家を買った
その家から学校に通わせてくれて、ドランが親代わりになった
3年間の学校を卒業した
その時が11歳の誕生日前で、二ヶ月ほど前に11歳になった
ドランは冒険に出掛けると言うので、一人で暮らすように、っと言われたが無理矢理着いてきた
半年ほど旅をして、冒険者じゃないと不便になった
ので、今日取得して試しに外に出た
ドラゴンにあった
そして攻撃を受けて、倒れた
そして今に至る
完全に都合よく改竄されているな…
記憶を治すには…、
俺はアリスの胸に手を当てた
「えっ!?ド、ドラン?」
「静かに、」
再度天才を使い、記憶の直し方を探る
俺のスキル、《天才》は最高の知能と技術をもったスキルだ
俺が今までにみた本は全て暗記している
本だけではない、地図、設計図、建物の見取り図、このスキルを取ってから今まで食べたパンの数も覚えている
そして、このスキルの最大の特徴と言えるのは、自己対話解決と言うスキルだ
《記憶の直し方》
《記憶、上書きされた場合、元の記憶は、元に戻せません。》
『直せない?俺は天才だろ?』
《ひとつ、黒犬としての記憶は、別の世界に移った模様です。》
『別の世界?転生でもしたってのか?』
《可能性はあります。但しその世界が人間が住める場所とは限りません。》
『まぁ、彼奴なら太陽のど真ん中だろうが日の当たらないブラックホールの中だろうが笑ってるだろうな。』
《同意します。そして、必要になってくるのは、この体の保持です。》
『保持?』
《あの人のスキルなら、暫くすれば帰ってこれるでしょう。しかし、体の器を探す必要があります。その少女は元々彼の体でした。取って置きましょう。》
『わかった。それだけだな?』
《はい。あと、2つ警告です。》
『なんだ?』
《まず、彼女の精神はアリスとして存在します。つまり、黒犬としての性格や、記憶はありません。ちゃんと一人の女として扱ってくださいね。》
『まぁ、そうだろうな。』
《そして2つ目、その少女の胸を鷲掴みにするのはどうかと…。》
俺は意識を現実に戻す
目の前に、気の毒なほど顔を赤くした少女の顔
《グッドラック。》
『おい、待て。助けろ。》
《記憶に御座いません。》
使えないスキルを止め、少女の胸から手を離す
「大丈夫だ。問題はなかった。」
必殺、話題を変えるを使う
「はっ、はい……。」
アリスは体を布団で隠しながら小さく項垂れる
あっ、そうか。服がねえのか。
先程血だらけでボロボロになってしまったので、地面に放り捨てた服を見る
あとで買って来ないとな…
「………………あっ、あの!!」
「んっ?」
俺がこれから服を買いに行くときの難易度の高さに絶望していると、アリスが顔を先程よりも赤くしながら
「私、いつでも準備出来てますから!!」
「……………、いや、服がねえだろ?」
「ふっ、服を着ながらするのですか…?」
「……………………、はぁ?」
俺は顔を布団で隠しているアリスに聞く
「そ、その、………。夜の…。」
「待て、それ以上は言うな。」
やっぱり、面倒な事になった
その内、キャラクター別に分かりやすいサブタイトルに変えておきますね。




