お友達
ご飯をモグモグしながら、相手を伺う
食べているのは、魔王とウンディーネの2人だけ
ウンディーネは、お淑やかに綺麗に食べるし、魔王もウンディーネ程ではないが、綺麗に食べてる
むしろ、食べれてないのはこちら。
「エル!こぼれてるこぼれてる!」
「あっ、……。ごめん、なさい。」
上手くフォークを使えないのか、ポロポロと刺したハンバーグからソースが垂れて、服を汚してしまう
「(浄化)……っと。もう少しお皿を前に出しましょ?」
「うん。………ありがとう。」
あぁ、良いぃ……じゃなくて!
「すみません、エプロン……有りますか?」
「えぇ、少々お待ちください。」
ウンディーネが立ち上がり、隣の部屋へ向かった
ご飯中なのに、申し訳ない
「2人は……仲が良いのだな……。」
「えっと……お騒がせして申し訳ありません……。」
「謝ることは無い。仲が良いのは良いことだ。少し羨ましくも有るよ。」
そう言って、こちらを見ながら魔王は話した
「産まれてすぐにここに来たわけじゃない。最初は母上や父上とも暮らしたし、来るまでには兄上も居た。仲は悪くは無かったが、そこまででも無かった。」
「はぁ……。」
「ここに来てからは、本当に退屈していたんだ。誰も訪ねて来ないし、有るのは書類仕事ばっかり。うんざりしてたところに君たちが来てくれた。」
兄が居たのか……それも有るが、思っていた以上に普通の人なんだな……この魔王
「その、嫌なら別に良いのだが、……私の、友達になってくれないか……?」
「勿論です。優しくしてくれた人に冷たく当たる必要は無いわ!ね?エル?」
「んっ……友達、になる。」
「そ、そうか……。ありがとう。」
本当に、何が起こるのか分からないのが人生なんだなぁ……
魔王とお友達になった!




