シン
最初に言わなければならないことはちゃんと聞いたし、練習した
「こ、この度はお買上いただきまことにありがとう、ございます。」
うぅ…かんだ…。
「あぁ、良いから良いから。そこに座れ。」
しかし、ドラン様は私に突っ込むことなく、私を座るように促した
素直に座り、ドラン様が喋るのを待つ
「先に聞いておく。奴隷になるのが嫌だろ?」
奴隷になるのが嫌か…と聞いているのかな?それは勿論、
「はい。」
嫌に決まってる。でも、もう決まったのだから仕方ないよね…。
「俺はお前を奴隷にしない。約束しよう。」
「えっ……?」
「名義上も何も縛らない。嫌になれば逃げ出しても構わない。俺はお前を縛らない。」
何を言ってるのだろう
私を、奴隷にしない?
それなら、何故私を買ったの?
するとドラン様は1枚の紙を差し出した
ドランとその仲間の護衛として雇う
毎月金貨15枚を給料とする
何かあればボーナス等もつける
衣食住はこちらがすべて用意する
満期になれば金貨500枚を支払う
「………………だ。これで良いならよろしく。嫌ならここでさよならだ。」
「こ、こんなに沢山…?」
「嘘はない。止めたければ止めたいときに言うか黙って消 えてもよいぞ?」
「……………………やります。お願いします。」
「んじゃ、よろしく。」
そう言うと、ドラン様はひとつの袋を私に投げ渡した
「……これは?」
「金貨が250枚入ってる。前金だ。これだけ有れば止めた くなったときにすぐに止められるだろ?」
中を見ると、本当に金貨が入っていた
驚く心を隠し、素直に受けとる
金貨250枚………た、大金だ…。
「ちなみに満期だが、とりあえず今は不明だ。明日かも知 れないし、10年後かも知れない。」
「わかりました。」
「まずは飯にしよう。」
「…………はい。」
本当に、奴隷にしないんだ…。
私は部屋から出てしまったドラン様を追いかけて部屋を出た




