シン
トントン……。
ノック?
「どうも、こんにちは。俺の名前はドランって言う。とりあえず、よろしく。」
「………………………。はい。」
急に入ってきた人は、ドランさんと言うらしい…。
何となく、凄そうな名前だな…とぼんやりと考えた
「とりあえず、名前を教えてくれないか?」
「……………シンです。」
「シンか。可愛い名前だな。」
誉められた…?
私は今になって顔をあげ、そこにいる人物に目を向けた
「お父さんとお母さんに名付けてもらいました。」
「そうか。大事な名前なんだな。」
「はい!!…………大事、です。」
私が、貰った名前、私だけの名前……
大切な、名前………。
「私を買いに来たんですね。無理です。」
「どうしてだ?嫌か?」
「買えません。私にはとても高い値段が付くそうです。」
ここに連れてきた人が、高いからこの部屋だ……と案内した時に言った……
金貨が何百枚の値段がつくって……。
「なんで、私にこんな高い値段が付くんですか…。なんで 私に、私に、私!!まだ、お母さんに…………。」
まだ、何もしてない!!まだ足りない!!
私はまだ、まだやりたいことが有るのに…。
自分が、とても可愛そうに思えてきた
涙が出る
嫌、嫌、嫌………。やりたいことが、……。
「ひとつ、聞きたい。俺と一緒に来れるとしたら、俺の言 ったことを守れるか?」
男の人が、そう聞いてきた
変な質問、私は奴隷なのに……。
「………。買えたら、ですけどね。」
「どうなんだ?」
「守ります、奴隷ですから。」
もう、私はやりたいことは出来ない
私には、もう、何もない……。
「解った。今日の夜、また会おう。その時に細かいことを 話そう。」
男の人は、それだけを言うと部屋から出てしまった
「まだ……。やりたいことが、……。」
もう、寝よう…。
携帯が見つからない……と思っていたら、スクール鞄の外側ポケットに入ってた…。うどんの時に入れたままだ……。
ごめんなさい。また頑張ります




