道
「大丈夫か?」
「はぅ……。ごめんなさい……。ダメです………。」
完全に腰が抜けたようだ
地面にぺったり腰を下ろし、涙目で上目使い。ふむ。
「仕方ない。背負うから背中に乗れ。」
「えっ!?は、はい………。」
黙って背中に乗るシン
早めにここを去らないと、色々厄介そうだしな……。
「ま、待ってください!!」
「なんだ?まだやるのか?」
「ちっ、違!!違います!!」
健気に地面に転がったまま、上目使い。うむ。苦しゅうぞ。とっとと失せよ。
「まだ私は貴方の名前も聞いてません!!」
「ドランだ。んじゃ、そう言うことで。」
とっとと名前を名乗ってエスケープだ
思い出してみれば、ここは町の道……。それもかなり大きな大通りだ
今は人気が無いが、いつ来るかは分からない
注目されるのは避けたいところだし。まぁ、もう無理か?
とぼとぼゆっくりシンを背負いながら道を歩く
話すこともないので、適当に雑談でもするか
「明日は洋服やその他色々買うからな。今日はとりあえず我慢して寝てくれ。」
「っ………。はい……。」
はい。雑談終了
本当に続かないな…。
「あの、ドランさ……ん。」
「なんだ?」
良かったことに、シンから話を振ってくれるようだ
「あの、…………。私、人狼です。」
「らしいな。」
「恐くないんですか?」
「全く。」
むしろ面白い
「前々恐くない。」
「………………ありがとうございます………。あの、ドランさんは私をどうするのですか?」
どうって………。まぁ、護衛?
「さっきもいった通り、護衛だよ。」
「でも、私なんかが居なくても、さっきみたいに……。」
「俺が居ないときも有るだろ?」
これは本当。俺が居ないときの重石だし。
「私に、あんな価値は無いです………。」
「価値が有るかどうかは俺が決める。少なくともあのおっさんや女よりはマシな生活を送らせてやる。」




