オークション
オークション会場へやって来た
「開始まであと30分ほどですね。先に席にでも座りますか?」
「いや、そこの売店見てくる。」
「わかりました。」
オークションは、言わば金持ちの道楽だ
何も買わなくてもオークション参加費で金貨を持っていかれる
しかし、その文見ごたえのある物を作ると言うことで、言わばショーもかねているのだ
だから売店も有る
暇なので少しばかり購入しておく
ポテトチップス的ななにかと、ミックスジュース的な何かだ
それを脇に抱え、映画でも見るように軽い気持ちでドアを開く
中は正に映画館
上へと徐々に上がる階段とイス
そして一番低い位置には少し開けた広場が有る
その開けた辺りで奴隷を見せながらオークションをするわけだ
「ドラン様。こちらへどうぞ。」
「ありがと。」
男にとっておいてもらった席に座る
上から少し降りた辺りで、見やすく良い席だ
席にどっしりと腰を下ろし、ポテトチップス的な何かを隣の席に置く。
「あと数分かな…………。」
「君、時間あるかな?」
席に座ってすぐに、見覚えのあるおっさんが俺の席に来た
帰れよ。めんどくさい
「いや、見ての通りとても忙しい。」
「そうか。なら手短に話そう。お前が狙ってる奴隷……諦めた方がよいぞ?」
「ご忠告どうも。」
そんなこったろうと思ったよ。
「忘れてはいないと思うが、ここのオークションでは落札できなくても最後に指定した金額は払わなければならない。自分に見有った額で程ほどにしておけよ。」
「それゃど~も。」
おっさんはそれだけ言い残し、去っていった
思ったより軽いな。てっきり激怒すると思ったが。
しかし、そうか。奴隷オークションでのルールを思い出した
奴隷をオークションで買う。
その為には落札金を指定して、宣言する必要がある
して、その金額が最も高いものが落札する……ここまでが一般的なオークションだ
ここのオークションは、落札するときに示した金額は払わなければならない
つまり、落札できなくても、落札の意思を示した人は金を払わなければならないと言うわけだ
つまり無駄金を使うわけだ
それが、嫌だからドンドン値段が上がる
それを避けるための牽制か……。
「ドンマイ、おっさん。」
そもそも戦いにならないんだよ。




