《ドラン》狩り
キリキリと弓を引き絞り、放つ
ヒューーンッ!!…………メチャ!!
「よっし!!当たった!!」
「良い腕だ。」
今、俺達は町から少し離れた森のなかで狩りをしていた
獲物は、よくわからない鳥
『天才』も鳥としか認識していない、驚異レベルの低い生物だ
そいつが頭に矢を受けて墜ちている
「はい!!本日4匹目!!」
「こんなもんで良いか?もう帰ろう。」
「えぇー!!まだ始まってから半日もたってないよ!!」
今日は朝日が上る前から狩りに出て、もうすぐ太陽が真上を通りすぎる時間だ
「帰る時間を考えろ。夜になるぞ。」
「うぅ……。わかった………。」
「素直でよろしい。」
アリスは鳥を素早くアイテムボックスに収納し、使った矢をへし折ってから棄てた
「でも、ドランは何もやってないよね?」
「やってただろ?周辺警戒。」
「嘘!寝てたじゃん!!」
寝てねえし。横になって目をつぶっただけだし。
アリスは弓を構え、アイテムボックスから追加の矢を矢筒に入れた
「準備完了!!さっ、帰ろ!!」
「あぁ、帰るか。」
今日は朝からさんざんな目に遭った
朝、ゆっくり寝ていたところをアリスに襲撃される
華麗に避けて布団に潜ると、至極真面目そうな顔で
『いつまで引きこもりするの?働こうよ!!』
っと、言ってきた
心外だ。メッチャ働いてるのに
一日のうち25時間は働いてるぞ?
しかし、実際問題、お金が無いのも事実
当たり障りない程度のお金ならいくらでも作れるが、今はちょっと問題がある
言わずともわかると思うが、アリスだ
下手な行為は不信感を募らせるし、罪悪嫌われる
好感度を適度に保たねばならないとは、なんと言う恋愛ゲーム?
………………。好感度、か………。
「アリス、明日から王都へ向かうぞ。服買いに。」
「えぇ!?急に!?」
ハルナ達も見たいし。あと、ずっと同じ服を着るのもな…。特に俺
「なに、お祝いだ。初冒険者の狩りの成功祝い。」
「えっ………。あ、ありがとう……。ドラン。」
「まだ早いぞ。まぁ、先に帰ろう。」
俺達は狩り場から撤収した
ドランは嘘をついてません。正直者です。《ドラン》狩り




