サイド:宇宙コロニー軍⑩最終決戦、エセル視点
今回、あえて短めです。
ご了承ください。
『各機! 敵陣営を確認した! 用心せよ! 特に……エセルバート少尉! くれぐれもな!』
隊長であるナフムからの指示に、エセルは一言だけ返事をした。
「了解」
(あのしつこい機体とも、ここでおさらばだ……)
今自分達が辿り着いた場所の把握をする。ここが、あの二体のガイノイド達がいる場所であること、そして、覇権を得るための場所だとすぐに認識したエセルは、他のメンバーと共に、ゆっくりと進んで行く。
この最奥部は、とても広く、そして暗い。
頭部のライトをオンにして、索敵を行う。そうしていると、別ルートからだろう。
すっかり記憶してしまった、敵の反応を感知した。
――火星連合軍の精鋭部隊だ。
おそらく、自分を狙ってくるだろう、あの忌々しい銀色の機体に備えて、エセルは機体の状態を再確認する。
(いけるな。近接に持ち込まれたとて、俺ならば!)
この日のために、対策を練って来た。調整もしてきた。
全ては、任務のため。
自分にとって、地球などどうでも良い。だが、ここで死ぬのは少々不服だ。
せめて死ぬのなら、ここじゃない場所がいい。
そうしていると、件の敵機が向かってくるのを感知した。
「やはり来るか、イカレ野郎……」
エセルは、愛機のゴルドラーベ・グルートの主武器、デスサイズガンを構え、備える。
だが……その時。
――聞きなれない声が響いて来たのだった。




