表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/29

サイド:火星連合軍⑦狂気の狼

 出撃したナイトメア小隊は、地形を生かして進軍して行く。

 火星は地球と同じように、地形が存在している。だからこそ、慣れているとも言える。

 そこで摩希人(まきと)は、見つけてしまった。

 ――あの金色の機体を。


「やっと会えましたね! 行きますよぉ!!」


『待て!』


 隊長であるスヴェトの引き留める声が聞こえたが、摩希人は無視して敵である宇宙コロニー軍の精鋭部隊へ突撃して行く。相手も気づいたらしく、すぐに迎撃体勢へ入るのが見えた。

 金色の機体は、おそらく銃と鎌が合体しているのであろう武器を構え、摩希人の乗る銀狼幻月(ぎんろうげんげつ)と対峙する。その対応に、摩希人の口角が自然と上がる。


(いいですね! 相手になってもらえると、()()()()楽しみが増えますよ!)


 どこまでも歪んだ感情を隠す事無く、摩希人は銀狼幻月の刀の内、打刀の破月刀(はげつとう)納哭(なこく)を抜刀して構える。どうやら、一騎打ちに出たらしい相手を確認すると、摩希人が先に動く。

 全力で、刃を振るう。

 相手の金色の機体は、それを鎌の刃部分で受け止めたり、受け流したりしている。

 一進一退の攻防だ。

 今の摩希人に、周囲等一切見えない。

 だから、他の隊員達がそのフォローに回っている事にも、気づいてない。後から間違いなく怒られる上、処罰も当然あるだろう。だが、それすらどうでも良いと言わんばかりに攻撃していく。

 全て己の欲望のために。

 一心不乱の刃を振るう彼の姿は、狂気そのものだろう。

 相手もそれを理解しているのか、スキを見せる様子はない。むしろ警戒しているからであろう、攻撃の仕方だった。


(ははっ! 生きているって感じがして、堪りませんね!)


 昔からの、性分だった。

 彼の狂気に気づいた両親も、親族も……いつからか彼を畏れ、遠ざけるようになった。もっとも、摩希人はそれに興味を持たなかったが。

 今もそうだ。

 配布されたアニマロイド狼型のマカミも、いくらAI搭載された自律型とはいえ、摩希人に対し物申す事をしなくなった。初期の頃は、動きで摩希人を制するような動作があったが、今ではただのペット……いや、そばにある便利なツールくらいの印象だ。

 摩希人を止められるものは――もう誰もいない。

 一度決めたら、徹底的にやりたがる。

 だが……その特性を含めての配属であるがために、隊長のスヴェトもあまり言えないという事を本人は知らない。

 二機の攻防戦の果てはいかに――?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ