白魔導師、魔法を教える
◇
食事を終え、森へと到着した俺達は、さっそく収納魔法の練習をすることとなった。
ユイ達には森で拾った木の枝を渡しておいた。
最初から大きなものの収納は出来ないため、小さなものから初めていかなければならない。
木の枝は練習にぴったりなサイズだし、これならばそこまで痛くないしな。
「ねぇ、ロイド。この木の枝をどうすれば収納出来るの?」
「そうだな……簡単に言えば、魔力で圧縮するようなイメージなんだが……」
「分かったわ……圧縮すればいいのね!」
「いや、まだ説明は終わっていないのだが……」
ユイが説明を聞かずに、木の枝を圧縮しようとする。
枝へと魔力が集まっていき、枝の形が変形していく。
あっ……これ、不味い奴だな。
ユイの木の枝が圧縮したかと思った、次の瞬間。
木の枝が粉々に砕け、木片が様々な方向へと飛び散った。
「うわっ!」
飛び散った木片が、ユイの肌にかすり傷をつけた。
避けようとしたユイがバランスを崩し、尻餅をつく。
まぁ、最初はこうなるわな……
「あくまでも圧縮するイメージをするだけだ。圧縮したものを取り込むような感じでやるんだ」
とは言え、そこが難しいんだがな。
収納魔法を習得する上で、俺も何度も経験したことだ。
実際に、圧縮するイメージをすると、自然とそうなってしまう。
やはり手本を見せた方がいいか。
俺は地面に落ちていた枝を右手で拾い上げた。
「ストレージ……」
詠唱し、収納魔法を発動する。
まるで、右手に吸い込まれるかのように、木の枝が消えて無くなった。
あえて詠唱した見せたのは、その方が多少難易度が下がると思ったからだ。
無詠唱は慣れてからでもいいだろう。
「とまぁ、こんな感じだ。やってみてくれ」
「よし、分かった……ストレージでいいんだよな?」
ダッガスの問いに、俺は無言で頷いた。
それを確認したダッガスが、収納魔法を発動しようと、詠唱した。
しかし、
「っ……ダメか」
ユイの時と同じく、圧縮された木の枝が砕け散ってしまう。
だが、ユイに比べれば魔力の扱いが上手くいっていた気がする。
「よし、私も……ストレージ!」
シリカが詠唱する。
すると、手の平に置かれていた木の枝が消えて無くなった。
それを見たシリカが、嬉しそうにこちらを見てくる。
「ロイドさん、やりましたよ! 私……」
「ちょっ、上! 上!」
俺よりも先に、違和感に気がついたクロスが叫んだ。
少し遅れて、俺も止めに入ろうとするが、その時にはもう遅かった。
「ん? 上……」
シリカが顔を上へと上げた瞬間、落下してきた木の枝が、顔面へと命中する。
「痛たぁ……」
木の枝が砕けることなく、上へと飛んだのだろう。
砕けることなく上に飛んだと言うことは、ユイ達に比べてイメージが弱かったのだようだ。
まぁ、どちらとも違うけど……
「大丈夫か?」
顔を両手で覆っているシリカのもとへと足を進めた。
ヒールをかけ、痛みを和らげる。
「あ、ありがとうございます……」
「気にするな。まぁ……繰り返しやれば、そのうちコツが掴めるさ」
「は、はい……頑張ります」
「念のため、防御力上昇の強化魔法をかけておく」
これで木の枝が当たっても、ダメージを和らげることが出来るだろう。
さて、誰が最初に出来るようになるか……
「おっ、出来た!」
「「えっ……」」
目を向けると、そこにはクロスの姿があった。
意外だな。
まさかクロスが、それも一回でやってのけるなんて……
「ユイ達の失敗みてたんだけど、こうすれば出きるかなって思ってさ」
クロスが落ちている枝を拾い、再び収納してみせた。
詠唱ありだが、確かに収納魔法を発動出来ていた。
「それで、収納した枝ってどうなるんだ?」
「それなら、収納の逆をイメージすればいい。魔法を放出するのに近いと思う。取り出したい枝をイメージしながらな」
「そうか……やってみる」
クロスが収納した枝を、放出しようと試みる。
また、そんなクロスの様子をユイが悔しそうにしながら見ていた。
「私もクロスに負けてられないわ。絶対にやってみせるんだから!」




