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にゃん娘と作る文明開化  作者: かわち乃梵天丸
第二章 火打石入手への旅路
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火打石への旅路1 旅の始まり

 朝日が昇ると共に、僕達は旅に出る事にした。

 旅の目的はもちろん火打石を手に入れる為である。

 まだ辺りは薄暗く朝焼けで赤く染まっている。

 小屋の中で眠ってるにゃん娘達を僕は揺り起こす。

 月夜を起こそうとしたら、既に起きていた。

 僕は座って俯いていた月夜に話し掛ける。


「もう起きてたのか。眠れなかったのか?」

「今日旅に出るせいか道中の事が心配になって眠れなくて、結構早くから目が覚めてしまいました」

「月夜は遠足の前日は眠れなくなるタイプだろ?」

「そうですね」

「僕もそんな感じで色々と心配になってあんまり寝れなかったんだよな。でもあれだけ準備したから大丈夫さ。それとも何か心配が有るのか?」

「…………いいえ」

「じゃ、心配するな。きっとうまく行くさ」

「ですね」


 僕は特に根拠も無く笑顔でそう言った。

 月夜もそれにつられて微笑んだ。


「天色、起きてくれ。出掛けるぞー」

「お……もう朝か! おう!」


 天色は飛び起きる様に身を起こした。

 そして夕焼けは……。


「おい、夕焼けー。起きてくれー」

「神様だめにゃ。今日は忙しいから無理にゃ……ムニャムニャ」

「僕は神様じゃないぞ。王様だぞ。起きてくれー」

「今日は旅とか言うものに出るから無理にゃ……ムニャムニャ」

「むぅ……起きないな」


 僕が寝ぼけて起きない夕焼けを起こせずあきらめ顔でいると、天色が大声で叫んだ。


「夕焼け! ごはんだぞ!」


 それを聞いた夕焼けが飛び起きた。


「ご、ごはんにゃ!?」


 目を擦りながら夕焼けが飛び起きた。

 辺りを見回してご飯が無い事に気が付いて怒る夕焼け。


「また騙したのかにゃ?」

「本当にごはんだぞ」

「こんな起きてすぐなのにかにゃ?」


 僕はそういうとまだ少し寝ボケている夕焼けを肩に担ぐ様な感じで外に連れ出す。

 夕焼けは小柄な見た目以上に体重が軽いんだな……。


「じゃあ、天色。悪いんだけど出発前に漁を頼む」

「お、おう!」


 天色は僕らが河原に着いて準備OKの合図の手を上げると、大岩を川に投げ込んだ。

 水柱が高く上がる。

 水柱は朝日を浴び赤く染まった。

 そして川面には予想よりも多くの魚が浮いた。

 まだ魚が寝ているうちに不意うちの衝撃波が襲ったせいだろうか?

 いつもよりも気絶してる魚が多かった。


「お魚いっぱいにゃ!」

「すごいな!」


 大慌てで魚を集めるが取りきれなくて半数ぐらいが下流に流れてしまう。

 それでも、いつもよりも多くの魚が取れた。

 約六〇匹だ。

 一回の漁では最大の漁獲量だ。


「すごいにゃー! こんなに食べきれないにゃ!」

「じゃあ、俺にくれるか?」

「僕にもくれよ」


 そう言われた自分がうっかりとした事を言ったのに気がつき、夕焼けは慌てて発言の訂正を入れる。


「う、嘘にゃ! ぜ、全然足りないにゃ! もっと食べたいにゃ!」

「はははは、冗談だよ冗談。僕のも食べていいよ」


 僕らは獲ったお魚を平らげると背にカゴを背負い、立ち上がる。


「みんな、準備はいいか?」

「おう!」

「大丈夫です」

「準備出来たにゃ!」


 僕は火打石の山を指さして声を張り上げる。


「旅に出るぞ!」


 僕らの人生を変える旅に向かって!

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