旅の支度5 最後の漁
僕は旅への準備を着々と進めている。
旅で必要な物は、
・食料七日分
魚の干物
・飲料七日分
ヤシの実
夏みかん
・カゴ
蔓のカゴ
すべてのパーツが揃った。
後はそれらを用意するだけ。
その日、一日を掛けて用意する事にした。
日が昇ってすぐに行動に移す事にした。
「みんな、聞いてくれ。ちょっと集まってくれないか?」
「なんにゃ?」
それを聞いたにゃん娘たちが集まって来た。
「明日から、火打石を手に入れる為に皆で旅に出たいと思う」
「この前取れなかった石かー」
「お日さまいっぱいの石にゃ」
「そう。あの石を遠い山まで取りに行く事にした。往復七日間の旅を経て手に入れたいと思う」
「わーい、旅にゃ旅にゃ!」
夕焼けは四つん這いになって小走りをして大喜びだ。
「そんなに旅が嬉しいのか?」
「嬉しいにゃ! ところで旅って何にゃ?」
「おいおい」
旅と言う言葉を知らないで喜んでたのかよ。
「旅って言うのは、この前、上流の平野に小屋の枝を取りに歩いて行っただろ? あれのもっと距離が長いものだよ」
「どの位の距離なのかにゃ?」
「そりゃ、お日様が昇って、お日様が沈んで、また昇って、沈んで、また昇った位でやっと着く距離だ」
「それは、すげーな、おい! 俺ワクワクして来たぞ!」
「そんなに歩くのかにゃ、楽しみにゃー!」
「物凄い距離を歩くから、その間の食料を今日一日掛けて集めたいんだ。今日はみんな手伝ってくれ」
「わかったにゃ!」
「おう! 任せろ!」
「はい」
「ありがとう。じゃあお願いなんだが……今から三回程漁をして、半分を干物にしたいと思う。天色には少し悪いんだが石投げを頼んでいいか?」
「おう! そんな事は俺にとったら簡単な事だ」
すると、夕焼けが普段は出さない大声でそれを止める。
「王様、ダメにゃ! 連続で岩を投げ込んだら魚が居なくなるにゃ! 漁は一日一回ってルールを作ったのを破ったらダメにゃ!」
「大丈夫だ。魚の事は心配しなくていい。僕たちはこれから往復七日間の旅に出る。今日多めに採っても村に居ない七日の間、川の資源を寝かす事になるから元どうりに復活するさ」
「なるほどにゃ。わかったにゃ」
夕焼けが俺の説明を聞いて納得してくれた。
「漁をしていいのか?」
「ああ、いつもどうりやってくれ」
「おう!」
天色が大岩を川に投げ込む。
一回目の漁で三一匹。
三〇分空けた後の二回目の漁で二〇匹。
更に三〇分空けた後の三回目の漁で一一匹。
合計六二匹だ。
さすがに三回連続で大岩を投げ込んでも一回目の三回分の釣果にはならなかった。
「六ニ匹ですね……足りますか?」
「大丈夫。干物の持ちを考えれば二日ぐらいが安心して食べられる限度だと思うから、この六十二匹の半分の三十一匹を干物にしたいと思う。後はみんなで食べよう」
「やったにゃ!」
夕焼けは大きい魚を見て舌なめずりをしている。
「あ、大きいのを干物にするから残してくれな」
「えー」
夕焼けは大きなお魚を食べれなくて不満げだった。




