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にゃん娘と作る文明開化  作者: かわち乃梵天丸
第二章 火打石入手への旅路
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旅の支度3 カゴ作り

 背負いカゴってどうやって作ったのかな?

 昔話に出て来るカゴって竹を編んで作ったカゴだろ?

 竹そのままじゃ無く、薄く削いだ竹を使ってたよな?

 でも、石のナイフで竹を薄く削ぐのは無理があるな……。

 薄い竹の加工には鉄のナイフが無いと無理だ。


 じゃあ、どうする?

 月夜が言ってた様にもう少し作りやすい他の素材を使かわないとダメだな。

 出来ればそのままで使える素材で……。

 カゴと言えば藤のカゴだな。

 つるならどうだ?

 それならいける!

 いけるはずだ!


 いいぞ!

 蔓でいこう!

 僕は干物作りを終えたにゃん娘たちを集めると、蔓の採取に向かう事にした。

 蔓は南の森の奥にたくさん生えているのを見た事が有る。


「これは何の蔓かな?」

「これはクズの蔓ですね」

「クズ?」

蔓草(つるくさ)と言えば大抵はこのクズの事を指すぐらいの有名な草ですね。道具無しで加工するならこの蔓が手頃でしょう」

「そうか。じゃ、みんな、この蔓を集めてくれ」


 ニャン娘たちの元気な声が返ってくる。


「おう!」

「わかったにゃ!」

「はい!」


 葛を採取してみるととんでもない量が生えていた。


「いっぱいあるにゃー」

「すごい量だな」

「取っても取っても取りきれないぐらい有るな」


 クズは密集して生えてたので、一〇分も集めたら山の様に取れた。

 高さ二メートル位の山が出来るほどの蔓が集まった。


「よしこれぐらいでいいかな」


 僕らは、それを持って村に帰る。


「これをどうするのかにゃ?」

「これの葉っぱを取って、紐の様に加工するんだ。そうしてカゴを作る」

「カゴ?」

「食べ物をいっぱい積める入れ物のカゴを作るんだよ」

「そうにゃのか」


 食べ物と聞いて、夕焼けが急に興味を持ちだして僕のやってる事を真似しだす。

 僕が蔓の葉や根を落とすと夕焼けも真似する。

 夕焼けがやってると、天色まで真似する。

 三人でとりかかってたのであっという間に蔓の加工が終わった。

 二〇メートル位の蔓紐が二百本以上出来上がった。


「この後、どうするにゃ?」

「まず、カゴの柱となる骨を作るんだけど、地面の上に縦横十字になる様に蔓を置いて、更に斜めにも置いてこんな感じで一〇本ぐらいが中心で交差する様に蔓を置くんだ」


「なるほどにゃ」



 地面の上に直線状の蔓を交差させた。



「そうしたら、その蔓の骨の交叉した部分を始点にして横糸の蔓を二本置く」


「置いたにゃ」


「そうしたら、横糸の一本は骨の下を通し、横糸の一本は骨の上を通し、通し終わったら

今度は横糸の上と下を入れ替える。こんな感じで編んでいくんだ」

「王様のを真似すればいいんだにゃ?」

「そうそう」


 僕は、交差部分を取り囲む様に丸い円盤を作る様な感じで蔓を編みこむ。

 横糸を編みこんでると、徐々に鍋敷きや座布団の様な丸い円形の底が出来て来た。

 見ると夕焼けと天色も僕を真似して綺麗に編み込んでいた。

 この二人は見掛けによらず結構器用なのかもしれない。


「このぐらいの大きさになるまで、今の作業を続けてくれな」


 僕は地面に七〇センチメートル位の円を描き、それを指さしながらそう言った。

 横で月夜も編み込みを始めてたが、二人と違って意外と不器用で非常な残念な出来だ。

 ぼくは月夜の手を取り、それを手直ししてやった。


「王様、編めたにゃ」


 月夜の手伝いをしていると、夕焼けから声が掛かった。

 僕より先に七〇センチメートル位の大きな丸い底が出来ていた。


「じゃあ、今度は今度は壁を編んでいってくれ。同じように編んでいけばいいんだけど、今度は縦の方向に編んでいってくれ」


 口で説明しても解りにくいので、僕は地面に完成イメージの絵を描いて説明した。

 それを見てどんなものを作るか理解した夕焼けと天色は作業を続ける。


「わかったにゃ」


 夕焼けと天色は器用にカゴを編む。

 既に僕よりもずっと先の部分を編んでいた。


「楽しいにゃ」

「俺も楽しい」

「王様来てから毎日楽しい事ばっかりだにゃ」

「前はやる事無くて暇だったもんなー。俺も王様来てから楽しいよ」


 二人は楽しみながらカゴを編んでいる。

 カゴはあっという間に編み上がり、縁の折込処理をして出来上がった。

 カゴはかなりしっかりしているようだ。

 僕と月夜は、どうにか底が編みあがってやっと壁の下の方に取り掛かったと言うのに……。


「これで完成かにゃ? 食べ物入れていい?」

「まだ肩ひもを付ける作業が有るんだけど、僕らの方はまだまだ時間掛かるから、海岸に行ってそのカゴいっぱいにヤシの実を取って来てくれないか?」

「わかったにゃ」

「おう」


 二人はカゴを持って大喜びで海岸へと向かった。

 僕らがカゴを編み上げたのはそれからちょうど一時間後ぐらいだった。

 すると、しょげた顔をした夕焼けたちが戻って来た。

 夕焼けたちになにか問題が起こったようだ。

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