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にゃん娘と作る文明開化  作者: かわち乃梵天丸
第二章 火打石入手への旅路
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旅の支度2 運搬装備

 火打石入手の為の旅の食料の入手については大体目途がついた。

 食料として魚の干物となつみかん。

 飲料としてヤシの実だ。

 現状これ以外の選択肢は無い。

 特に飲料のヤシの実は、現状の僕らの技術では水樽や水筒を作れないのでこれ以外の選択肢は無い。


 後は『これをどう運ぶか?』だ。

 僕は昼食後に、にゃん娘たちと保存食の魚の干物を作りながら必死に考えていた。

 木で箱を作るのは道具が無いから今は無理だろう。

 木の箱の発展形である台車やリヤカーなんて物は絶対に無理。


 じゃあ、どうする?

 荷物運びなら、両手が自由になるリュックサックが理想だ。

 それは解る。

 でも布なんて物は無い。

 将来的には布を織って服も作りたいが、織り機を作る道具も時間も無い。

 布は簡単には作れる代物では無い事は薄々わかる。

 もっと簡単な方法で簡易的な布を作る。

 もしくは布を使わずリュックサックを作る。

 それをどう実現するかだ。

 僕は干物となる魚を海水で洗う為に、海岸へとにゃん娘達と歩きながら色々と考えた。

 僕は傍らに居た月夜に聞いてみる。

 月夜の事だからどうせ聞いても答えを教えてくれないのは解っている。

 聞いたのはあくまでも自分の考えを頭の中で整理する為だ。


「なあ月夜。火打石を取りに行く時に七日分の食料と飲み水を持って行かないといけないんだけど、それを持って行くリュックを作らないといけないんだ。でも今の僕には布なんて作る事は出来ない。そこでいいアイデアが有ったら教えてくれないか?」

「どのような物を作ろうと考えてますか?」

「ジーンズの生地みたいな帆布はんぷと呼ばれる様な厚手の木綿の布でリュックを作りたいと考えている」

「木綿の布を作る事は不可能では無いですが、その長旅を耐えられる品質のものを、いきなり素人が作るのは無理でしょうね」

「やはり難しいか」

「もう少し作りやすい他の素材を使った方が賢明かと思います」

「どんな素材を使って作ればいいんだ?」

「それは王様ご自身でお考え下さい」

「それが解らないからお前に聞いてるんじゃないか。なんで教えてくれないんだよ。お前は答えを知っているんだろ?」

「人に聞いてる様ではダメです。ご自身で考えてください。私なら道具の無かった昔の人になりきって考えますね。昔の人が生活の中で物を運ぶ時、どのような物を使っていたか考えます」


 それ以上、月夜は僕にヒントをくれなかった。


「昔の人か……」


 昔の人と一括りに言ってしまうと漠然過ぎるな。

 昭和の人でも昔の人だし、原始時代のマンモスを追いかけて狩猟をしていたような人も同じ昔の人だもんな。

 もう少し、時代を限定してみよう。


 明治の人なら?

 現代とあまり変わらずに、リュックを使っていたな。

 この時代は参考にならないか……。


 江戸時代の人なら?

 江戸時代だと、結構木工の技術が発展してたのかな?

 木材加工全盛の時代だろうな。

 小物だったら着物の袖に物を入れていたイメージだ。

 時代劇で有名な印籠も元々は木製の小物入れみたいな物だったしな。

 もしくは大泥棒みたいに、風呂敷に小判を詰め込んで運んでいたイメージか?

 風呂敷は布だから作るのは厳しいだろうな。


 もう少し時代を遡ろう。

 もっと昔……戦国時代、いや昔話の時代なら?

 これならイメージ沸き易そうだな。

 荷物の運搬か……。

 お弁当はおにぎりで、竹の皮に包んでわらで縛って、飲み物はひょうたんや竹筒に入れて、風呂敷に包んで肩に掛けたり手に持つ。

 たぶん、こんな感じ。


 じゃあ、おにぎりの材料となるお米は?

 お米は米俵こめだわらかな?

 あれは藁でゴザを編んで筒状にした物だよな?

 藁だけで作れそうだからかなり難易度が低そうだけど、取っ手が無いから持ち歩きにくそうだよな?

 お米を入れた俵は台車で運ぶイメージだな……。

 台車は流石に作るのは無理か。

 この方向に話を発展させるのはダメそうだ。


 他には何かないか?

 昔話と言えば山に芝刈り、川に洗濯だな。

 昔話の中だと、おじいさんが山に芝刈りに行くと、まきを拾って背中に背負ってるよな。

 あの薪を背中に載せる木の枠組みってなんて言うんだろ?

 背負子しょいこか。

 たしかそんな名前。

 でも、薪じゃないからあれに載せるのは無理だな。

 僕らが持って行くのは棒じゃ無くて球の様なヤシの実やなつみかんだから、背負子に積むのは無理だ。

 なら、もっと簡単に積めるカゴみたいな物を……カゴか!!

 背負いカゴを作ればいいのか!

 カゴを作ればいいんだ!!

 カゴなら肩ひもさえ付ければ簡単に背負えるからリュックの代わりになる。

 それにカゴは編んで作るから、工具は要らない。

 僕はどうすれば背負いカゴを作れるか考え始めた。

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