表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にゃん娘と作る文明開化  作者: かわち乃梵天丸
第一章 のほほんにゃんこ村
26/90

丘探索3 丘の大きさ

 丘を歩きまわってみると大体の位置関係が把握出来てきた。

 丘は東西に歩いておよそ一時間の距離、五キロメートル程の広さが有る。

 ちょっとした平野や平原のレベルである。

 僕がこの地に降り立ったのが、この丘の中央。

 芝の様な草が一面に生い茂る草原だ。

 海からの微風そよかぜが吹き込みとても気持ちのいい場所。

 小麦なんかの穀物を育てたらとてもよく育つ事だろう。


 丘の西……とは言っても正確な方角は解らないんだけど、太陽を南としてその西側にあたる一帯は切り立った崖になっていて、それ以上先に進めない。

 崖の上には竹の様な物が生えているのが見えるが、登れないので本当に竹かは解らず。

 崖は地層の様になっていて、様々な種類の土や石が層になって埋まっている。

 銅の鉱床らしい物も見つけたが、僕の知識ではこれが本当に銅なのかそうで無いのかは解らず確信が持てなかった。

 その銅らしきものの欠片を一つだけ手に取り、崖から立ち去った。


 北の方は何も無く、草原が続いていた。

 二時間ほど歩いても草原が続き、遥か先の方に森が広がっているように見える。

 きっと、この森は月夜が火打石が取れると言っていた山のふもとにまで続くのだろう。

 あまり先に進んでも日が暮れてしまうのでそれ以上進むのを諦め戻る事にした。


 そして草原の南だ。

 南端はやはり切り立った崖になっていたが、その崖の手前には様々な果樹や草など色々な食べられそうな植物が生い茂っていた。

 この前拾ったジャガイモもこの中から掘り起こした場所だ。

 きっと探せば色々な食べ物が有るんだろう。

 ただ、火が無いので殆どのものは加熱調理が出来ず食べられない。

 現状では果物以外は食べられない。


 まだまだ調べたい事は有ったが、もう時は既に夕暮れで日没まで時間が無いようだ。

 太陽はかなり傾いて山の裏に隠れようとしている。

 陽が沈む前までに村に戻れないと、星明り以外一切無く真っ暗の中に置かれることになる。

 闇の中で立往生たちおうじょうだ。

 最悪の場合、明日の朝まで一人で野宿する事になる。

 まあ、野宿するにしても今日探索した感じではこの草原には獣どころか小鳥一匹居なかったので外敵に襲われる危険は無さそう。


 逆にイノシシやウサギを狩って生活をするという事はここでは無理そうだ。

 とりあえず食べられそうなものと言う事で、枝豆の様な物を枝ごと十本ぐらい石のナイフでむしり取り、少し大きな真っ黄色なみかんの様な果物を四個ほど取り、急いで村へと戻る。

 村に戻ると太陽が殆ど沈みかけていて、心配そうな顔でにゃん娘たちが待っていた。

 夕焼けは僕の姿が見えると泣きそうな顔をしながら飛びついてきた。

 天色も心配そうな顔をして僕の元にやってくる。


「おうさまおうさま、帰るの遅いにゃ! 心配したにゃ!」

「王様! 帰りがだいぶ遅かったけど大丈夫だったか?」

「ああ、すまない。色々見て回る場所が有って遅くなってしまった。そっちの作業の方はどうだ?」

「坂道は完璧に出来たにゃ! 大雨が降っても砂利が流れないようにしておいたにゃ。もうだいぶ前に出来て昼寝して待ってたにゃ」

「夕焼けは昼寝なんてしてないだろ? 王様が帰るのが遅いから王様が居なくなったってついさっきまで大騒ぎしてたじゃないか」

「えー? そうだったかにゃー?」


 頭をポリポリ掻きながらしらばっくれる夕焼け。

 とっても可愛い。


「すまない。お詫びに果物取って来た。みんな一個づつ食べてくれ」


 僕は大きなみかんの様な物をにゃん娘達に配る。

 それを手にした夕焼けの顔が一瞬で泣き顔から笑顔に変わった。


「とってもいい匂いがするにゃー! いただきますにゃ!」


 夕焼けは皮も剥かずに、いきなりみかんの様な物にかぶりついた。


「おいしいにゃー!! すっごく甘いにゃ!」

「どれどれ? 俺も食ってみるか……こ、これは美味い!」


 天色も夕焼けを真似してみかんの様な物を皮ごと噛り付いていた。


「ちょ! 皮ごと食べるなよ! こうやって皮を剥いて食べるんだよ」


 僕が皮を剥いて食べると、にゃんこたちも真似する。


「この皮どうするんにゃ?」

「苦いから捨てる」

「えー! 皮も美味しいのに、もったいないにゃ!」


 物欲しそうに僕の剥いた皮を見つめる。

 結局、夕焼けは僕が剥いた皮も食べてしまった。

 ふと月夜を見ると、ちゃんと皮を剥いて食べていた。


「美味しいか?」

「ええ。これは夏みかんですね。とっても美味しいです」


 僕も夏みかんを食べる。

 口の中一杯に甘みと酸味が広がる。

 涙が出る程美味しかった。

 今までジュースやデザートが有ったから、果物を特に美味しい物とも思わなかったけどこんなにおいしい物だったんだな。


「美味しい……」


 思わず、言葉が僕の口から洩れた。


「美味しいですね」


 そのつぶやきに、月夜もつぶやくように返して来た。

 僕が夏みかんを食べ終わると、夕焼けが枝豆をみて声を掛けて来た。


「それは何にゃ?」

「これか? これは……今日はもう暗いから明日食べような」


 久しぶりに動き回ったせいで疲れ果てたよ。

 僕は枝豆を倉庫に置いて、小屋の中に入り寝る事にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ