保存食作り2 魚の干物
僕は干物を作りに、にゃん娘達を連れて海岸へと向かう。
「本当は塩が有ればここでも作れるんだけど、今は塩が無いので海まで行って塩の溶け込んでる海水を使います」
「王様考えましたね」
「だろ? 塩を作るのは火が無いと作れないからな。それの代わりさ」
僕はにゃん娘を連れて海へ来た。
「今度はこの開いた魚を海水に浸けて洗います。そうしたら、村に帰って小屋の屋根に載せてこれを干します。乾いたら完成です」
「それだけでいつでもお魚が食べれるようになるのか?」
「そうだぞ」
「王様は天才だ!」
「王様凄いにゃ。天才だにゃ!」
「王様はやっぱり王様だな!」
夕焼けと天色は、何時でも魚を食べれると聞いてテンション上がりっぱなしだ。
ま、本当の事を言うと、海水の塩分濃度だと一回ぐらいの海水浸けだと塩分濃度が足りなくて長期保存には向かないので、少なくとも三回は海水浸けやらないとダメなんだろうけど、それは漁の前の空き時間に僕がやることにした。
「ふー。今日も楽しかったなー」
「王様来てから毎日が楽しいにゃ」
「そんじゃ寝るかー」
にゃん娘たちは寝息を立ててすぐに眠った。
その日の夜、また雨が降った。
干物は夕方に月夜が「今夜も雨が降りそう」と僕に教えてくれたので、倉庫の中に移して陰干しして置いたから被害は無かった。
きっと雨季なんだろう。
夕焼けに言わせると雨がこれだけ降るのはこの時期と秋だけらしい。
雨は翌日の昼を過ぎても降り続いていた。
雨のせいで川が濁り、当然の如く魚が取れなかった。
空腹のせいか、にゃん娘達の表情が曇る。
「今日も0匹か……参ったな」
「お腹空いたにゃー! 空いたにゃー! 空いたにゃー!」
「じゃあ、昨日の干物食べるか」
「お! そう言えば昨日干物を作ったんだったな」
「じゃあ、今日は二匹づつ食べよう。少ないけど食べないよりはマシだろ?」
「二匹も食べれるなら十分にゃ!」
僕は倉庫の中の枯草の上に並べた干物を取って来ると、一人二匹づつ配る。
「ちょっとだけ硬いけど、おいしいにゃー!」
「まさか、雨の日に魚が食べれるとは思ってなかったよ」
「ですね。王様も少しづつ役に立つ様になって来ましたね」
普段褒めてくれない月夜に褒められるのが嬉しかった。
「おいしかったにゃー!」
「いつもと違って塩辛くておいしかったな。まだお腹は空いてるけど、死ぬほどじゃないな」
「この小屋の中は雨に濡れなくていいけど。外で遊べないから暇にゃ。早く晴れになって外で王様と遊びたいにゃ」
「そうだな。色々な事やって、この村を大きな国にしようぜ!」
「「「おー!」」」
少しばかりだけど食べ物を摂った事で、にゃん娘たちの表情が明るくなっていた。
にゃん娘達の笑顔は僕が守る。
そう決意した雨の日の午後だった。




