大自然飢えぇぇぇ!10 マイルストーン
その日の朝まで雨が降り続いた。
僕はにゃん娘たちと小屋の中で寝転がりながら、今後の事を色々と考えていた。
やはり何をするにも火は必要だ。
火が有れば今まで食べれなかった物を食べれる。
食べ物が増えれば飢える事が無い。
飢えなければ餓死の恐怖から解放される。
それに火が有れば鉄が作れる。
鉄が作れれば道具が作れる。
道具が有れば今まで以上の事が出来る様になる。
木材を加工し、柱や板が出来る。
柱や板が有れば家が作れる。
今の原始時代の様な生活レベルから一気に江戸時代、いや明治時代の電気が普及する前のレベルまで生活レベルを押し上げられる。
やはり火が文明の発祥発展にとって一番重要なファクターで有るのは間違いない。
何とかして火を確保せねばならない。
そう言えば月夜は言っていたな。
あれは月夜が寄こしてくれた最大のヒントに違いない。
あの山に行けば火打石を手に入れられると。
火打石さえ手に入れれば、火を起こす事が出来る。
月夜はこうも言っていた。
あの山までは往復一週間掛かると。
そこまで行くのには最低限一週間分の食料と飲み水を確保せねばならない。
もちろん、道中で現地調達と言う事も出来るだろうが、それだと確実性の無い命を賭けての冒険となってしまう。
僕だけならともかく、同行者となる仲間のにゃん娘たちには飢えと生命の危険を強いたく無い。
食料と水の確保。
まずはこれをやるべきだ。
僕は当面の目標としてこの二つを念頭に置く事にした。
*
その日、朝まで降った雨で川の水は増水し、昼の漁では魚が一人二匹しか取れなかった。
「今日は二匹……少ないにゃ……」
「これだけ水が濁ってて二匹取れるなら、まだマシな方なんじゃないかな?」
「そう言われるとそうだよな……去年の秋なんて、雨が続いて一週間ぐらい何にも食べれなかったしな」
「一週間? そりゃ大変だったな」
「夕焼けなんて、お腹が空き過ぎてしっぽ切って食べるとか言い出してたし。あれを止めるのは大変だったな」
「お腹が空いてみんな死にそうでしたね」
「じっさい、わたしはお腹すき過ぎでほとんど死んでたにゃ……」
「そりゃ大変だったんだな。今日みたいな雨の日でもお魚食べる方法が無くも無いんだけどな」
「本当かにゃ?」
「嘘じゃないよ。ただ、色々と準備が要るんだ。みんな手伝ってくれるかな?」
「おう!」
「もちろんにゃ!」
「はい」
「ありがとう。じゃあ、もう一つ小屋を作ろう。まずはそこからだ」
僕らは新しい小屋を昨日作った小屋の横に作ることにした。
今度は浸水しない様に事前に排水溝を掘り、地面より高くなるように床となる土台の部分に河原から持って来た砂利を敷いてから作り始める。
二軒目だけあって、作るのに慣れて来たのか割と簡単に仕上がった。
ついでに一軒目の小屋も大改修。
床に砂利を敷いて土台を作ったり、トンネル状の入り口を追加して雨が入り込まない様に改良を加えた。
「ここも家かにゃ? もっともっとふやして一人一軒分までに、ふやすのかにゃ?」
「違うよ。ここは倉庫って言って、食べ物を貯めとく場所なんだ」
「そうこ?」
「僕らはいつも、お魚を採れただけ食べてしまうじゃないか。これからはそれを止めて、多く取れた時は、ここに保存しておくんだ」
「でも、お魚を置いておいたらすぐに腐っちゃうにゃよ?」
「大丈夫。僕に任せて!」
「王様にまかせるにゃ!」
僕の言葉を信じられないにゃん娘たちであったが、僕を信じてついて来てくれる事になった。




