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時の流れというのは、時として『面白い』

作者: 杞憂

時の流れというのは、『面白い』



 時として人の心は『面白い』。

 この『面白い』とはただ一時の楽しさだけを表現したものではなく、人の心の表現変化による様々な『面白さ』を内包したものだ。

 これから語られる物語は、その『面白さ』を求めた者の、とても興味深いお話である。




 私は面白いことが好きだ。

 ゲームや授業の単位を獲得した時の達成感、想い人と連れ添う仲になった充実感。

 空すらも優に飛べるとも感じさせるそれらからくる浮遊感。

 嗚呼、どうしてこうも人生とはこれほどまでに面白いものなのだろうか。

 人生とは何かを成功へと導くため与えられた面白い時間ではないのだろうか。

 そう考えれば私が生まれてきたことにも、私が成功し続けていることにも意味があるというものだ。

 しかし、この人生にも流れはある。

 それは私でも抗えないものだ。抵抗の仕様が無い。

 学校や会社で退学していく者、辞職していく者を何度も見てきた。私は多少なりにもその者達の気持ちを汲み、同情をしたこともある。だが、それは時の流れによる結果だ。私はそれを仕方の無いことだと、時が決めたことなのだと常に思い、面白がった。

 嗚呼、実に面白い。

 人の数だけ個性がある。

人柄の善・悪、秀才・凡才、才能・非凡――

例を挙げれば限がない。

これもまた面白い。

人は万物、何物何事にも比較が大好きなものだ。

斯く言う、私もそうだ。

出来の善し悪しで他人の存在理由を決め、私自身の成功へと導くのだから。

善は善、悪は悪なのだ。

失敗することに長けた人など私の成功には必要の無いものだ。

嗚呼、面白い。実に面白い。

こんな個性を生まれ持った私が、何よりも一番面白い。


だが、つまらないは一番嫌いだ。

私を成功へと導かない者、私を尊敬しない者、私の邪魔をする者――

私が一番嫌悪するものだ。

成功を掴むのに大切なもの、それは、それをどう面白くさせるかだ。

成功を掴み取ろうとする私がそんな下種に仕事を任してみろ、私は憤りを隠せなくなる。


だからこれは私にとっての罰なのである。

学生時代から確立されたこの個性は、時の流れに沿うように肥大化し、慢心と偽悪を産み続けた。そんな私が私を成功から遠ざけたのだろう。

 そして、コンクリートに覆われた箱庭で過ごすようになった今ではそれを反省させられた。

 退屈だ、つまらない。

 何度ぼやいたことか。

 だが、なかなかどうしてなのだろうか。

 嗚呼、時の流れというものは、面白い。




 今まで生きており、一番嫌いなものまでもが『面白い』と感じるようになったこの登場人物は、自分自身の慢心で身を滅ぼしたのでしょうか。

 それとも、あまりにも無謀な『面白さ』に挑戦したくなったのか。

 人の数ほど個性があると同時に、欲もある、ということなのでしょうか。


短編ものを即興で書くのが最近好きになってきた杞憂です

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