シーン7友人。
私は天高く、そびえ立つ巨大な塔を見上げていた。
「ここは僕達、この地で暮らす者からは…神が建造したと言われる最古の神の塔と呼ばれる塔です…噂ではここを守りし門番がいるとかいないとか……実際最上階にドラゴンが棲みついたという話もあり……この塔へドラゴンが飛んでいったという目撃情報があったのです…そしてそのドラゴンはあの爆炎のドラゴンという話……爆炎のドラゴンは今は無き竜人族との噂も聞きつけており……魔王討伐に協力が願えないか?という希望も兼ねて、こうして足を向けたのですけどね。」
ロイズはそう語る。
すると…話に割り込むドワーフ王。
「まあ、そんなだからこの塔には、これまで誰も近づく事もなく…噂の一人歩き状態だったのだがな…。」
そして、エルフィーナが肩を叩いてくる。
「さっ…入りましょうかラブラちゃん!?」
「うんっ!!」
私達四人は……こうしてこの塔に入る事になったんだ。
改めて塔の門前に立つ私達。
巨大な扉の内部からはピリピリと張り詰めた空気を感じる。
「いい?開けるわよ?」
「ああ…………………………」
魔力に耐性のあるエルフィーナが扉に手を当て魔力を込めていく。
すると…彼女の足元に魔法陣が現れる。
魔法陣から光が放たれ扉へと働きかけていく。
そして。
ゴゴゴ……とゆっくり巨大な扉が開いていく。
「おおっ!?エルフィーナお姉ちゃん……凄い。」
私は思わず見とれてしまう。
するとロイズが声を上げる。
「いいかい?ラブラちゃん……彼女…エルフィーナは魔法に秀でているんだよ?僕は知識を使う…そしてあのドワーフ王は戦いに秀でているんだ……。」
「へえええ………そっかあ………。」
私はその言葉に頷く……するとドワフロスが口を添える。
「そうだ……これから、あの魔王ゼルドリスと戦って行く為には勇者という偉大なお前の力も必要だ……だがな…戦いというのは一人の強者の力だけでは勝てない事もある……その為に『友』という、いざという時頼れる者が必要となる……分かるか?ラブラ?」
「ふむふむ……友達………か。」
ドワフロスの言葉……何となく……そう今は何となくしか分からない私。
すると……塔の扉がゴゴゴと音を立て徐々に開いていく。
「「おおっ。」」
私達は思わず声を上げる。
すると目の前には一階層の内部が見えてくる。
薄暗い内部だったが最奥の方に薄らと灯りの様なものが微かに見えている。
その時…扉を開けたエルフィーナが口を開く。
「あの灯りがきっと上への階段かも知れないわね?」
「そうかもしれないね……でも門番らしき魔物もいると聞いていたのだが…………。」
エルフィーナに対してそう返したロイズだったのだが………その時。
最奥の光が赤く燃え上がって見えた気がし た。
すると……。
背後から大声が聞こえる。
「いかん!?あれがこの塔の門番だ!!??」
声の主のドワーフ王が剣を構え立ち向かっていく。
ダッと加速し走るドワーフ王。
「「ドワフロス!!???」」
「!?」
二人は叫ぶ。
すると最奥から見えてきたのは巨大な身体に大斧を振るい咆哮するその姿。
それは牛の顔に人間……いや……筋肉の鎧を持つ魔物………。
「「ミノタウロス!?」」
『ぶふうううぅぅぅ………………………。』
臭い息を吐き、ヨダレをたらし大斧を振り回すミノタウロス。
「牛……………………………………?」
「そう…アイツは牛の頭を持つ魔物……ミノタウロスっていうの……塔、それにダンジョンなんかに巣を作り暴れ回ると聞いているわ。」
「大丈夫……私なら簡単に倒せるよ……任せてよ…………。」
私の声に驚きの表情を浮かべるエルフィーナ。
「ラブラちゃん……何……言ってるの?あの魔物はこれまでの魔物達とはケタ違いなのよ?あなた一人では無理よ?」
「大丈夫だよ!!私は勇者なんだもん……きっと勝てるよ?」
私は感じたまま…そういってみる。
「………相手は魔王までとはいかないけれどボスクラスの魔族よ!?あなたが勇者だっていうのは分かるわ……そしてあれだけの力があなたにある事は分かる……でも一人で戦おうとしないで!!!!!」
これまでになく、もの凄い剣幕のエルフィーナにおされる私。
「ちょっとーーー!痛いってば。」
「いい?ラブラちゃん?!!私達精霊だってヒューマンだって魔族に、もの凄い迫害と被害をうけてきたの!!だから魔王だって絶対倒すの!それでもあなたを頼ってこうして召喚して来てもらった……でも…あなた一人で戦おうとしないで!!!」
エルフィーナはここまで私の事を考えてくれてるの?……必死な表情に私は実感する。
だけど……私は勇者なんでしょ?
きっと今までのように精霊さんがいればきっとなんとかなるよ。
すると。
「うあっ!?」
「くっ!?」
そこには武器を弾かれ片膝をついているロイズとドワーフ王の姿だった。
「二人とも!?」
そこへ駆け寄るエルフィーナ。
すると背後にはあのミノタウロスが大斧を振り上げ構えていたんだ。
やばい!!???
その時。
私の脳裏に働きかけてきた声。
そう……私の戦闘時に声をかけてくれる精霊さんの声だった。
『勇者………ラブラ。』
『えっ!?あなたは精霊さん?』
『そうだよ…僕は君の半身である精霊…君にはこれから修行をしてもらうよ。』
『修行!??』
『そう!君はこれからもっと強くなる為…頑張ってもらわないといけないからね?』
『私はどうすればいいの?』
『まずは君が僕抜きで、あのミノタウロスを倒すんだよ?』
『ええっ!?私一人で!?そんなの無理だよ!』
私はそう言葉を返す。
『これまで君を僕が操って戦ってきただろう?それを思い出すんだよ……。』
そういった精霊さんの声は聞こえなくなったんだ。
その時。
私の目の前にはピンチのエルフィーナ達。
そして私の感情と身体が動いた。
『守らなきゃ………』
『私がまもるんだーーーーーーーーーーーー!!』
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