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花園で笑う  作者: 宮澤花
第1部 千草
80/211

断章 妖精 -3-

 今の私はかりそめの。

 本当ではない俺の姿。

 誰もアタシを知らないの。

 僕の姿は誰にも見えない。


 どうしてアイツは知っていたのか。

 私の/僕の/俺の/アタシの秘密の姿を。

 誰も知らないはずなのに。

 誰にも見えないはずなのに。


 キライ/嫌だ/怖い/憎い。

 アイツもアイツも堕とさなくては。

 ブンブンブンブン飛び回られると。

 ノイズで頭がざわざわするの。


 重い体を引きずって。

 アタシは花園を進んでいく。

 誰も僕が見えないから。

 誰も私をあやしまない。

 

 さあ、おいで。

 贄は大地に横たわり。

 紅の花を咲かせながら、

 愚かな獲物がやってくるのを、

 青白い顔で待っている。



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