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警察不信  作者: 山本正純
Episode 4  ミステリファンなら必ず分かる。だから安心してサスペンスに集中できるバスジャック事件
88/106

Side.088 恋 Love

 午後6時10分。横浜オリエント観光バスのドアが開き、中から江角と東條と小早川の三人が出てきた。その後にバスジャック事件を起こした牧田と吉野が警察官たちの前に現れた。刑事が牧田に手錠をかけると、隣にいた吉野も手を差し伸べた。

「私はこのバスジャック事件の共犯者です。それとまだあのバスの中には4人います。彼らは別のバスジャックグループのメンバーです」

 

 吉野智子と牧田誠は逮捕された。その後バスの中で気絶している4人も逮捕された。その後の捜査でグループのボスも緊急逮捕された。

 解放された江角千穂は宮本栞と一緒に近くの駐車場に駐車していた青いジャガー・Eタイプに乗り込む。その車はサマエルの物だが、運転しているのは青いネクタイの鴉だった。


 運転手は二人が車に乗り込んだことを確認すると車を走らせる。運転をしながら鴉は呟く。

「それにしても凄いですよ。影の協力者サマエルさんがいなければ逮捕されていたのですから」

 東京スカイツリーに到着した直後から警察はバスの音声を傍受していた。あの爆弾発言連発の交渉術を警察は傍受しているはずだが、サマエルは警察が傍受した音声データを広い、別の音声データに偽装したのだ。これで自白ともとれる交渉を警察は知ることはない。

 このことを知ったハニエルは首を傾げる。

「でもその方法をするには、東京スカイツリーから半径1キロ圏内で盗聴するしかないのではないですか。サマエルには佐藤真実の監禁場所にいるというアリバイがあるから不可能でしょう」

 何も知らないハニエルの言葉を聞き青いネクタイの男は笑う。

「衛星ですよ。衛星を経由して佐藤真実の監禁場所から偽装音声データを流したそうです」

 ウリエルはこの説明では勘違いするだろうと思い補足する。

「衛星と言っても宇宙に飛んでいるようなものではなく、とある人物の携帯電話のことですよ。あの方はあなたを救出したいとは思っていなかったそうです。本来はレミエルがライフルで暗殺を作戦にする予定でした。しかしあのバスには彼がいた。彼からの連絡があったから回りくどい作戦にしたのです」

「彼とは誰でしょう」

 ハニエルからの質問にウリエルはさらりと答える。

「サラフィエル」


 その頃東條はパトカーの大群から離れた位置で携帯電話を取り出して、電話をした。

「バスジャック事件は解決されたで。こっちも退屈しそうにないなあ。ラグエルはん」

『そうですか。それではフォローをお願いしますね。あなたと一緒に事情聴取を受けることになるあの2人は・・』

 東條は頬を緩ませる。

「偽者やろ。でもな。一つだけ分からんことがあるんや。江角千穂って何者なん。偽者用意するちゅうことは組織の構成員やと思うけど」

『そういえば紹介していませんでしたね。彼女は8月にメンバー入りした新メンバーです。驚きましたか』

「なるほどな。あのかわええ姉ちゃんが噂のハニエルちゅうことか。ハニエルって好きな女おるんかな」

 いきなり恋の話題になりラグエルは目を点にする。

『それは分かりません。彼女のプライベートを知る術はありませんから』

「なんやねん。組織の構成員の情報ならなんでも知っとるんとちゃうんかい」

『まさかサラフィエル。あなたはハニエルのことが好きになったのですか』

「そうや。一目ぼれちゅうやつやな。あのかわええ姉ちゃんのためならフォローはするで」

『ありがとうございます』

「たぶん事情聴取は2時間くらいで終わると思うねん。せやから終わったらあんたらのテロを見学してもええかな」

『ご自由にどうぞ。ただし邪魔だけはしないでくださいね』

 東條は電話を切り、事情聴取を受けるためにパトカーの大群に戻る。

 彼はラグエルが欲している人材サラフィエルだ。



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