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警察不信  作者: 山本正純
Episode 3  幻影の娘
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Side.077 新たなる事件の幕開け Opening of a new incident

 午後1時須田哲夫は公園で愛澤春樹と会っていた。須田は愛澤に報告書を提出する。

「例の不正アクセス事件の被疑者を逮捕しました。彼のパソコンに保存してあったファイルΩは完全消去しておきましたよ」


 須田哲夫からの報告を聞き愛澤は頬を緩ませる。

「そうですか。化け狐は逮捕されましたか。それでハッカーさんの身柄はどこにありますか」

「組織犯罪対策課ですよ。彼には覚せい剤の取引の仕事もさせていましたからね。都合がいいでしょう」

「全くですよ」


 そして須田は愛澤にある質問をした。

「それで不正アクセス事件はやっぱり隠蔽しますよね」

「もちろんです。裁判をするということはあの機密ファイルの存在を世間に公表するということになりますから。事件ごと握りつぶした方がいいでしょう。すべては国家を守るためです。では最後にこちらから質問します。あの犯行声明が嘘だとしたら、なぜあなたたちは佐藤真実を監禁しているのですか。あなたたちは犯行声明を出さず、ただインターネットを使い監禁場所の生中継映像を公開しているだけ。この監禁事件は何か別の目的があるのでしょうか」


 愛澤の質問に須田は大笑いする。

「犯行声明は最初から出すつもりはありませんでした。でもこれだけは言えますね。化け狐が犯行声明を出した後に我々が本物の犯行声明を出せば、捜査は撹乱することができるが、値上げ競争のように、要求が上がって行くだろう。競争だけは避けたかった。値上げ競争は身の破滅をもたらすこともあるからね。組織はこの一件を受けて辻褄合わせのために犯行声明を出すことにしたそうです。もう時期発表されると思います」

 

 その時須田の携帯電話に一本の電話が届いた。

「須田です。何ですか」

『それが大変なことになりました。久保田太郎の自宅からトカレフが見つからないのです。流星会から盗まれた拳銃はトカレフもありましたよね』

「はい」


 須田の脳裏に一つの疑惑がよぎった。

 


 その頃牧田誠は自分の部屋でワイドショウを見ていた。

『私は今横浜オリエント観光バスに乗っています。このバスの路線は神奈川県内の観光名所を一周できるようになっています』


 リポートを見て牧田は微笑んだ。そんな彼は机の上に置いてあるトカレフを手に取る。

「小早川せつな。俺はお前を許さない」

 牧田は復讐に燃えている。事件はまだ終わらない。



 午後3時警視庁とマスコミ各社に退屈な天使たちの犯行声明が届いた。喜田参事官は刑事部長室にいる千間刑事部長にこのことを報告する。喜田はポケットから紙を取り出し、千間に彼らの新たなる犯行声明を聞かせる。


「昨日の犯行声明の要求を変更します。ご迷惑をおかけしてすみません。要求は47億なんていらないから、流星会幹部勝部将太を探し出し、怪物たちが蠢く夜が終わる1分前に東京クラウドホテル屋上に連れてくること。彼には身代金十万円を持たせておいて。それと身代金は一円玉じゃないと受け付けないから。それではゲームを楽しもうよ」

 


 佐藤真実救出のため千間たちは取引を呑むことにした。千間たち警視庁は一丸となり、佐藤真実救出へ挑む。こんどこそテロ組織退屈な天使たちに勝つため彼らは団結する。そんなときも佐藤真実の命のカウントダウンはゼロに近づいている。


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