表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
警察不信  作者: 山本正純
Episode 3  幻影の娘
71/106

Side.071 物的証拠はおまかせで It leaves and comes out of physical evidence

 昼休憩に宮本栞はいつものようにイタリアンレストランディーノで食事を摂ることにした。店のカウンター席では神奈川県警の刑事に変装した組織のメンバーが座っていた。男はウリエルに話しかける。


「やあ。ウリエル。約束通り捜査資料を見せる。だがその前に一つ報告をしておこう。先ほど化け狐の野郎が盗んだ過去10年分の犯行声明データをインターネット上にアップロードしやがった」

 

 その事実を知りウリエルは驚く。サマエルはノートパソコンを開き問題のサイトをウリエルに見せた。

『馬鹿でも書ける犯行声明教室』

 

 これがサイトのタイトルだ。内容は過去10年間の退屈な天使たちの犯行声明を全て公開した上で、どのようにすれば劇場型犯罪らしい犯行声明が書けるのかといった解説するというものだ。

 そのサイトを見たウリエルは微笑んだ。

「なるほど。インターネット上に組織の犯行声明を全文公開することで組織の模倣犯を増やし、捜査を撹乱するつもりですね。分かりました。サマエル。あの作戦を実行してください。午後5時くらいから始めてもいいから」

「了解」

 


 ウリエルはスパゲッティを注文すると、刑事から受け取った捜査資料を読んだ。捜査資料には萩原聡子の司法解剖で発見された銃弾の写真や萩原の死体の写真が載っている。これらの写真を見てウリエルは刑事に確認した。


「犯人が使った拳銃はスターム・ルガー。銃弾がこの拳銃と一致するから間違いないでしょう。この拳銃を使ったことから犯人はアマ。それも射撃の初心者ということでしょうか。それと気になっていることがあります。なぜ犯人は態々射殺という殺害方法を選んだのかです。刺殺や絞殺。毒殺など様々な殺害方法があるのに、なぜ犯人はこの方法を選んだのか。分かりますか。刑事さん」

 

 いきなり質問をぶつけられた潜入捜査中の刑事は目を点にしながら答える。

「それはきっと射殺にすることで犯人にとってのメリットが得られるからではないですか」

「やっぱりあなたもそのように考えますか。私も同じことを考えていました。それだけの推理力があれば名刑事さんになれますよ。本当はその理由も分かっています。でも証拠はこの捜査資料にも載っていませんでした。ということで作戦変更」


 ウリエルはポケットからスマホを取り出し、電話を始めた。

「もしもし。少し確認してほしいことがあるのですが・・」

 

 電話での確認が終わると、彼女は刑事に報告をする。

「おもしろいことが分かりました。佐藤真実の自宅周辺にある流星会アジトから二丁の拳銃が盗まれたそうです。一つはスターム・ルガー。もう一つはトカレフ。拳銃が盗まれた日あの人が佐藤真実の自宅周辺にいたそうです。流星会の暴力団員が何人も目撃しています。物的証拠はおまかせします。サマエル」

「午後5時から始めるからな」

 

 ウリエルは確信した。あの人物が犯人であるということを。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ