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警察不信  作者: 山本正純
Episode 3  幻影の娘
67/106

Side.067 なぜ彼女はテロ組織のメンバーになったのか? Why did she become a member of the terrorist organization?

 10月25日午前6時サマエルとラジエルは佐藤真実の監禁場所にいた。サマエルは眠そうな顔をしているラジエルに話しかける。

「ラジエル。後一時間の辛抱だ。一時間後にレミエルと鴉が来る。彼らが来たら交代だぜ」

「不眠症になりそう。いっそのこと彼女を殺せばいいのに」

 

 するとラグエルがコンビニのレジ袋を持って現れた。レジ袋の中にはおにぎりが入っている。

「朝食を買ってきました」

 

 ラジエルはラグエルからレジ袋を受け取ろうとする。だが彼女は突然顔を白くして倒れた。倒れた彼女は自分の頭を右手で触る。頭痛に苦しんでいるのだろう。

 サマエルは突然の出来事に驚く。ラグエルはこんな出来事どうでもいいというように冷静な表情をする。


 頭痛に苦しんでいるラジエルはある言葉を呟くと失神した。

「豪華客船。爆弾。二人」

 

 ラグエルは気絶した彼女を仮眠室へ運び、ベッドに寝かせる。その後で彼は無線で仲間に連絡した。

「仮眠室にもう一人増員してください」


 仮眠室から帰ってきたラグエルにサマエルは質問する。

「なぜラジエルは気絶した。あの苦しみ方尋常じゃなかった。答えろ」

「記憶喪失ですよ。あの発作は記憶が戻ろうとしている時の予兆みたいなもの。それこそが彼女が我々の組織のメンバーになった理由」


 事情が呑み込めないサマエルは質問を続ける。

「どういうことだ。記憶喪失って」

「7年前の豪華客船ファンタジア号シージャック事件。彼女はその事件の人質の一人です」

 サマエルはこの事件の概要を思い出す。


 2004年7月14日。ある大企業の社長は豪華客船ファンタジア号を貸し切って会社設立記念船上パーティーを開催した。そのパーティーの参加者は200人を軽く超えていたそうだ。その豪華客船にテロ組織黄色いあざらしが侵入。彼らはパーティー参加者200人以上を人質にシージャック事件を起こした。彼らの要求は刑務所に捕まった仲間3人の釈放。警察は要求に従い、順番に人質を解放するように交渉した。

 人質が10人にまで減った時事件は起きた。突然彼らが仕掛けた爆弾が爆破。人質救出のために着陸態勢に入ってヘリコプターは爆風に巻き込まれ海に墜落してしまう。爆破された豪華客船は沈没。こうして事件は4人のテロリストと10人の人質の命が犠牲になって幕を閉じた。


「確かこのまえウリエルが黄色いあざらしの残党を捕まえて尋問したと聞いたが」

「何も手がかりは掴めず。ラジエルは最後まで残った10人の人質の一人です。シージャック事件で爆破に巻き込まれたものの命は助かりました。ただし記憶喪失になっていましたが。彼女を僕の近くに置いたのは、この事件の真相が知りたいから。最後まで残った10人の人質の中には僕の幼馴染の双子もいました。なぜ彼女たちが死んだのかを知らないと、彼女たちの死は浮かばれないでしょう」

 

 ラグエルのもう一つの心の闇を知ったサマエル。するとレミエルと鴉が監禁場所にやってきた。彼らの到着を確認したラグエルたちは彼らを交代して、監禁場所から帰宅した。


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