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警察不信  作者: 山本正純
Episode 2  信賞必罰
50/106

Side.050 不審者との再会 Reunion with a suspicious person

 午前11時合田と月影は池袋チャイルドクロウビルの前に到着した。そのビルには木原と神津が立っている。木原たちと合流した合田は彼らに質問する。

「バスの方はあやしい奴はいなかったか」

「はい。いませんでしたよ」

 木原からの報告を聞き合田はため息を吐く。

「そうか。公共交通機関を使ってウイルスを運ぶというのは見当違いだったわけか」

 そして木原は合田たちに写真を見せる。

「合田警部。バイオテロ事件の犯人は久保田花子という国立微生物研究所の研究員らしいですよ。彼女は午前8時に研究所からウイルスを盗んだそうです。千間刑事部長は彼女の行方を追っているそうです」


 その頃大野警部補はビルの周辺をパトロールしていた。その最中彼の前を電車で会った怪しい女が通り過ぎる。その女は電車の時と同様のアタッシュケースを持っていた。

 疑惑が晴れなかった大野は彼女に刑事手帳を掲示してから職務質問する。

「また会いましたね。少しお話を伺ってもよろしいですか」

 女の顔は電車で出会った怪しい女と同じ顔だった。女は刑事の顔を見て電車で会ったことを思いだす。

「あの時の刑事さんですか。また会いましたね。それで今度は何でしょう」

「おかしいと思っただけです。あなたは後楽園駅で降りた。それなのにあなたは今池袋にいる。あれから一時間しか経過していませんが」

「ああ。池袋にいるのは、プレゼンが終わったからですよ。この近くにおいしい店があると聞いてやってきたわけです」


 大野は説得力がある答えだと思った。その様子を物陰からフードを被った男は見ていた。

 仕方なく大野はアタッシュケースの中身を質問する。

「電車内でも気になりましたが、そのアタッシュケースの中身を見せていただきませんか。最近知らない内に麻薬の運び屋をさせられていたという事件が発生しています。スリを装い麻薬を回収するのが彼らの手口で・・」

 

 すると大野たちの前にフードを被った男が現れた。彼はナイフを取り出し、女を突き飛ばす。アタッシュケースは突き飛ばされたショックで空中を飛ぶ。通り魔だと思った大野は拳銃を取り出し男と対峙する。

「警察です。あなたを緊急逮捕します」

 

 男は舌打ちすると、近くに転がっているアタッシュケースを盗み逃走した。

 大野は女に手を差し伸べる。

「今から仲間の刑事にスリを逮捕してもらうよう要請します。すぐに捕まります。あなたの名前は何ですか。窃盗事件として処理するためにはあなたの名前が必要です」

「佐藤真実です」

 


 その頃池袋の路地裏に窃盗犯は現れた。路地裏と言ったが、ゴミ箱しかない。そのゴミ箱の中には男が盗んだアタッシュケースと同じものが捨ててあった。男がゴミ箱に捨ててあったアタッシュケースに手を伸ばすと、背後から女が声をかけた。

「ご苦労様」

 男は背後を振り返る。そこにはウリエルが立っていた。

「俺の相棒を殺したウリエルか。今回収した所だ。回収したアタッシュケースは公園のごみ箱にでも捨てればいいのでしょう」

「はい。よろしくおねがいします」


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