表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
警察不信  作者: 山本正純
Episode 2  信賞必罰
49/106

Side.049 深刻な状況 A serious situation

 合田からの電話を対策本部で受けた千間刑事部長。それから一分も経たないうちに対策本部に一本の電話が入る。また合田だろうと思い千間は受話器を取る。だがその電話は新たなる事件の幕開けだった。

『千間刑事部長ですね。私は国立微生物研究所所長の天井竜彦と申します。バイオテロの捜査で大変な所すみませんが、聞いてください。事態がさらに深刻になりそうです』


 天井は衝撃的な事実を千間に伝える。千間は顔を青くした。

「捜査員たちにも伝えよう。それとこのことはマスコミに公表しないでください」

 千間の隣にいた喜田は千間に声をかける。「どうしましたか」

「どうやら事態はさらに深刻になったようだ。国立微生物研究所に保管されていたブラッディティアのアンプルが一本盗まれたそうだ」

 

 冗談だと喜田は思った。

「そんなはずがないでしょう。だって国立微生物研究所のセキュリティは厳重。株式会社センタースペード人質籠城事件のように、コンピュータにハッキングしたって侵入できるはずがありません」

「奴らには仲間がいたんだ」


 千間がそういうとファックスが届いた。国立微生物研究所から届いたファックスには一人の女性の写真がプリントされていた。それを確認した千間は喜田にファックスを見せる。

「奴らの仲間の名前は久保田花子。奴らは久保田花子を使い堂々と研究所内に侵入してウイルスを盗み出した。その問題の久保田花子は現在失踪している。つまり奴らはブラッディティアを完成しておらず、国立微生物研究所から堂々と危険な細菌を盗み出したということだ」

 

 喜田は無線でパトロール中の警察官たちに呼びかける。

『バイオテロ事件の被疑者は久保田花子だ。彼女を緊急逮捕しろ』

 


 午前10時20分合田と月影はスカイタワー西東京に到着した。すると犯人から電話が届いた。

『約束通りバイオテロを実行する場所を教えよう。バイオテロが起きるのは池袋チャイルドクロウビル。我々の仲間はその屋上からウイルスをばら撒くだろう』

 電話は切れ、その後で合田は木原たちに電話する。

「合田だ。バイオテロが発生するのは、池袋チャイルドクロウビルだ。現場に急行しろ」

 

 丁度その頃ウリエルはサマエルが運転する青いジャガー・Eタイプの中にいた。彼らは池袋チャイルドクロウビルに向かっている。ウリエルの隣には白衣姿の一人の女性が座っている。

 彼女の名前は久保田花子。国立微生物研究所の研究員の一人だ。


 サマエルは運転をしながらウリエルに話しかける。

「まさかプランが変わるとは思わなかった。俺の仕事は彼女を現場に送迎することだ。

ウリエルとは池袋駅で合流するはずだったがまさか送迎するメンバーが二人になるとは」

 ウリエルは頬を膨らませる。

「仕方ないでしょう。頭が切れる刑事が電車内にいたのだから」

 そんな彼女に久保田は話しかける。

「約束は守ってくれるよね」

「もちろん。十分で現場に到着します。上手くやってくださいね。それとサマエル。あまり飛ばさないでください。警察に捕まったらアウトですし、急カーブの衝撃でアンプルが割れたら確実に感染しますから」

「了解」

 サマエルは法定速度を守るスピードで池袋へと向かう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ