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警察不信  作者: 山本正純
Episode 2  信賞必罰
48/106

Side.048 方程式の答え The answer of an equation

 午前9時50分合田と月影は車の中で暗号解読に励んでいた。だが時間が過ぎるだけで暗号は中々解読されない。


 合田は暗号をメモした紙とにらめっこしながら呟く。

「1958を見下ろす古いノッポと2012の大木の間。どこだ」

 

 月影はこの暗号文を聞き、16年前の国会議員失踪事件の被疑者が自首してきたあの事件のことを思い出した。あの事件も今回のような文章形式の暗号文が自首してきた犯人が残した。あの事件の暗号は今回の暗号より長い文章だったが。

「東京都内のどこかでしょう。この前の暗号文も解読できたのです。今回も解読できるでしょう」

 

 楽観的な月影の言葉を聞き、合田は肩の荷が落ちた気がした。合田は暗号文を何度もつぶやく。それはまるで念仏のようだった。

 何度も暗号文を聞かされた月影は暗号文の言い回しを変えてみる。

「見下ろす古いノッポ。古いノッポが見下ろす。古いノッポは高い場所から見下ろしている」

 それを聞いた合田はひらめく。

「そうか。古いノッポは高い場所から見下ろしているのか。つまり古いノッポが示すものはタワー。そして1958が年号だとしたら前半部分の暗号が示すのは東京タワー」


 合田の推理を聞いた月影は後半部分の暗号を解読した。

「ということは2012の大木というのは、東京スカイツリーのことですか。大木が示すものはツリーですから」

 

 暗号の八割は解読に成功した。しかしまだ解読できていない暗号がある。

 それは東京タワーと東京スカイツリーの間だ。合田はダッシュポートから地図を取り出し、東京タワーと東京スカイツリーを線で結ぶ。それを見て月影はあざ笑った。

「そんな簡単な暗号を奴らが用意するはずがないでしょう。奴が残したa=b(1/2c)というヒントから間も暗号の一部であると推理すると、暗号が示す場所はスカイタワー西東京の可能性が高い。1/2は足して割れということ。bというのは二つのタワーの共通項である東京のこと。残ったタワーとスカイツリーを足して2で割れば、スカイタワー。東京でスカイタワーと言えばスカイタワー西東京しかないでしょう」


 月影の推理を聞き合田は納得した。そして月影が運転する車はスカイタワー西東京へと向かう。

 車内で合田は千間刑事部長に電話する。

「スカイタワー西東京周辺に検問を張ってくれ。そこに退屈な天使たちの仲間が現れる。奴らは犯行声明の示す神社に携帯電話を送り、警察が来たら渡すように指示した。その携帯電話に奴らの仲間と思われる男性から暗号文を掲示された。その暗号を解読すると、スカイタワー西東京。その場所に行けばバイオテロを実行する場所を教えるらしい。我々警察がスカイタワー西東京に来たのかを確認するために奴らは必ず現れます。これは奴らを逮捕するチャンスだ」

 

 合田の意見を聞き千間は失笑した。

『馬鹿か。お前らはテロリストの言うことを信じるのか。警察がスカイタワー西東京に来たことを確認するために現れるだと。あいつらがそんなことすると思うか。その携帯電話には発信機が付いていると考えた方がいい。そうすれば現地に行かなくても到着を確認することができるからな。その暗号文は検問をさせて警察の捜査網を手薄にし、捜査を撹乱することかもしれない。だから検問をすることはできない』

 

 電話は切れて、合田は千間に激怒した。これで合田たちは単身で犯人と対決することになった。


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