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警察不信  作者: 山本正純
Episode 2  信賞必罰
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Side.045 江角千穂の日常 Chiho Esumi's every day

お察しのように最近出番がない江角千穂回です。

 10月22日午前7時江角千穂は目を覚ました。ここは彼女の自宅ではない。宮本栞の自宅だ。昨日江角は宮本栞の自宅に泊まった。だがどこにも宮本栞の姿はなかった。リビングの机には書置きが置いてある。

『午前8時には大学に行って。遅刻厳禁』

 


 この手紙を読み江角はため息を吐いた。

「私の仕事はアリバイ工作ですか。バイオテロに関わりたかったのに」

 

 江角はクローゼットから宮本栞の私服を取り出す。

「これでいいかな」

 江角は選んだ私服の写真をメールでウリエルに送る。それから一分後返信メールが届いた。

『OK』


 メールを読み彼女は洗面所へと向かう。洗面所には変装道具が隠されている。

 

 五分後宮本栞に変装した江角千穂がリビングルームに戻って来た。

 なぜ彼女が宮本栞に変装しなければならなかったのか。ウリエルの正体である宮本栞は大学に通っている。普通の大学生である彼女は平日勉学に励んでいる。そうすることで裏の顔のテロリストという顔を隠している。退屈な天使たちがテロをしている時毎回のようにアリバイがないとテロリストとして疑われる可能性が高い。だからウリエルは平日にテロ活動ができないのだ。



 しかし今回のバイオテロは、あらかじめ平日に行うことが決まっていた。本来なら人が多く集まりやすい日曜日にバイオテロをするのがセオリーだが、前日である10月21日に行うと、ガブリエルの計算が狂ってしまう。さらにガブリエルが行ったタロット占いが導いた曜日が月曜日だったことから、今日10月22日月曜日がバイオテロの決行日となった。


 ここである問題が浮上する。ウイルスの運び屋ができるメンバーがウリエルしかいなかったことだ。ある程度のリーダーシップがあり、判断力が高い人物。さらに臨機応変に行動でき、運び屋経験がある人。以上の条件にあてはまる人物はウリエルしかいなかった。

 

 しかしウリエルは平日テロ活動をすることはできない。そこでガブリエルは変装能力があるハニエルに宮本栞に変装してもらい、アリバイを作ってもらうことに決めた。

 ハニエルは最後にマスクを取り出し、口を覆った。ハニエルは声まで模写することはできないため、組織が開発したマスク型変声器を使う。

「あー」

 

 ハニエルは声の調子を確かめる。その声はまさしく風邪声の宮本栞だった。そうして彼女は自宅を出ていく。

 



 その頃本物の宮本栞は浅草駅にいた。そこで彼女は牧田誠と落ち合う。本来なら来る必要がない場所だったが、宮本は牧田に呼び出されていた。

「牧田君がいきなり会いたいと言ったから来てあげたけど、用って何。忙しいので手短にお願いします」

「本当にやるのか・・」

「はい。やりますよ。それがあの人との約束ですから」

 その答えに牧田は納得した。

「そうか。お前賢いもんな。それならいい。こんなくだらない質問に答えるために態々上京させて悪かったな」

 


 牧田と宮本栞が仲良さそうに会話している様子をサマエルは青いジャガー・Eタイプの運転席から見ていた。

 サマエルは煙草にライターで火をつける。

「まさか男と会うために予定より一時間早く来たのか。それも運転手を俺に頼んで」


江角千穂さんの出番は終了。


次の彼女の出番はepsoid 3 序盤。



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