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警察不信  作者: 山本正純
Episode 5 銀の弾丸
101/106

Side.101 乱入 Intrusion

 午後11時10分。東京クラウドホテル20階のとある客室。その部屋の机の上にはデジタル時計が二つあった。デジタル時計は一つあれば十分である。


 20階を警備していた警察官はこの客室からデジタル時計のアラーム音が鳴り響いていることに気が付いた。

「おかしいな。確かパーティーの参加者はカジノかパーティー会場にいるはずなのに」

 警察官が突然ドアを開けようと思い部屋に近づいた時だった。客室のドアが消し飛び、中から爆風が流れたのは。間一髪で爆死を免れた警察官は携帯電話で千間刑事部長に連絡する。

「千間刑事部長。爆弾です。20階の客室が爆破されました。死傷者はいません」


 レミエルは20階の客室から流れている白煙をライフルのスコープで確認した。

「そろそろ本番か」

 ラグエルからメールを受け取ったサラフィエルとハニエルはホテルへ向かい歩き出した。

「ハニエルはん。ターゲットをどっちが殺すか決めとこか」

「そうですね。サラフィエルさんに任せます」

 サラフィエルは頷くと、東京クラウドホテルから20メートル離れた位置に待機した。


 その頃千間刑事部長はマイクを持ち、パーティー参加者に呼びかける。

「先ほどホテル20階の客室が爆破されました。おそらく退屈な天使たちが仕掛けたものであると思います。他にも爆弾が仕掛けられている可能性もあります。殺人事件が解決しましたので、早急に避難してください」

 千間刑事部長の話を聞き神部首相補佐官はぶっきらぼうに呟いた。

「まだホテル内に鬼頭が隠れているのでしょう。堂々と避難できるはずがない」


 パーティー会場のドアが突然突き破られた。ドアは防音対策がされているためそう簡単には破壊できないだろう。こんな芸当ができる人物は一人しかいない。まさかと思い大野は侵入してきた男の顔を見る。その男は紛れもなく連続強盗殺人犯の鬼頭だった。

「これで避難しやすくなっただろう。俺は耳がいいからな。声はドアの外からも聞こえたぜ」

 鬼頭はワルサーの銃口を神部首相補佐官に向ける。

「動くな。こいつ以外は避難しても構わない。俺に殺されたくなければ避難しやがれ」

 鬼頭の発言によりパニックは起きた。パーティー参加者たちは急いでパーティー会場から逃げていく。今パーティー会場内に残っているのは警察関係者10名。

 千間刑事部長はパーティー会場内にいる9名の警察官に指示を出す。

「お前らはパーティー参加者の保護と被疑者の護送に集中しろ。この籠城事件は搖動作戦の可能性が高い。パーティー参加者の命が危ない」

 大野たちは千間の指示に従い、被疑者である大塚と共にパーティー会場内から避難した。

(これでどさくさに紛れてあいつを暗殺できる)

 9名の警察官に紛れている透明人間は心の中でガッツポーズをとった。


 その頃流星会幹部勝部将太を護送したパトカーがホテルの前に路上駐車した。護衛をしている警察官は十万枚の一円玉の入ったアタッシュケースを持っている。警察官たちはアタッシュケースを持っている警察官を先頭にして、勝部将太を囲むように歩いている。

 ホテルの玄関に入った警察官はエレベーターに乗り込もうとする。だがエレベーターの前には赤い眼鏡の茶髪の男性が腕組みをして立っていた。その男は突然先頭に立っている警察官の右足を蹴る。警察官の体は床に叩きつけられた。

 護送をしている警察官は、拳銃を構え男に警告する。

「公務執行妨害で逮捕・・」

 突然この警察官は床に倒れている警察官に覆いかぶさるように倒れた。

 残った3人の警察官の背後には名刀黒薔薇を構えている女性が立っていた。

「大丈夫。峰打ちだから」

 ハニエルは小さな声で呟くと、残った3人の警察官も峰打ちで気絶させた。


 一人取り残されている勝部将太は二人の男女の顔を見る。

「まさかあんたらか。小野田を殺したのも」

 二人は首を横に振る。

「いいえ。違います。小野田さんを殺したのは鬼頭さんですよ。私たちはあなたを殺しに来ました」

 勝部は女が言っていることが理解できなかった。

「ちょっと待て。俺が何をした。大体お前ら退屈な天使たちと俺たち流星会は協力関係だっただろう。そう簡単に暗殺なんてしたらドンが黙っていないぜ」

「そのドンからの指令やったらどうする。あんたらのボスからの命令や。邪魔やから殺せってなぁ。地獄で小野田と仲良くしろや」

 サラフィエルの手刀が勝部の首を襲う。これで勝部の首の骨は折れた。完全な複雑骨折。勝部は呼吸を絶たれ絶命した。

 

 ハニエルはスマホを取り出し、ラグエルに電話する。

「勝部将太の暗殺を完了しました」

『ご苦労様です。ここからは自由行動で構いません。アジトに戻るもよし。レミエルの所に戻るもよし。好きにしてください。ホテルに留まることだけは止めてくださいね』

「分かりました」

 仕事が終わった二人は相談しながらホテルから出ていく。

「サラフィエルさん。これからどうしますか」

「ほんならレミエルはんの所でも行こか。あそこからなら、暗殺の瞬間が見られるやろ」

 二人はカップルのふりをしてホテルの玄関から堂々と出て行った。


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