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騎士様の下働き  作者: みなみ
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因縁の人。

「なんか、エルサさんはすごいね。」



「この前の慰労会でぐいぐいいったけど効果なかったからさらにいくっ!って意気込んでたよ。」



エルサからのサンドイッチの入ったバスケットはけっこう重くて、アイリとメリッサの二人でヨイショヨイショと運んでいる。

エルサの勤め先からレンドリックが居る騎士舎は15分程度だがなかなかきつかった。

段々と無口になりお腹のすき具合もピークになってきた頃、ようやく門が見えてくる。



「あれ、メリッサちゃんどうしたの?

あと、アイリちゃんだよね。こんにちは。

とりあえず持つよ、おやけっこう重めだね。大丈夫だったかい?

応接室あいてるから休んでいくといいよ。」



門を守っていた一人が駆け寄ってくると、しゃがんで二人に目を合わせた後にバスケットを優しく受け取り微笑んだ。



「そういえば、ちゃんと名乗ってなかったね俺はルノー。

レンドリック隊長の副官。ユナカイト様の騎士団に所属してるよ。」



穏やかな声と微笑み。

レンドリック隊長と並ぶと天国と地獄の使者揃い踏みといった風情になるだろう。

これといって特徴はない、いわゆるふつめんであるが良い人さがビシビシ伝わってくる。



「いつもユナカイト様がご迷惑をお掛けしてます。」



「はは、否定はできないな。でも、こちらもお世話になってます。」



子どものアイリにも礼儀正しいその態度。

アイリのルノーへの人としての好感度はうなぎ登りである。

以前来た時のバスケット分取り未遂の門番と大違いだ。

そんなことを思っていると、門のところに残っていた門番は件の門番その1だった。



「うわ…」



「あっ!こないだの!!

ごめんな、出来心だったんだ!この通り!許してくれ!!」



アイリが気付くのとその1が気付いたのは同時で、すぐさま頭を下げる。

内心眉をひそめる。

出来心ってなんだ。アイリは自分よりはるかに背も高くガタイの良い男達に囲まれたあげく、大事なバスケットを奪い取られ擦りむいて出血する位だったが怪我もしたのだ。

怖かったし、悔しかったし、悲しかった。

ごめんなさいひとつで済むものでもないのだ。



「出来心ってなんですか?」



いつもより更に低い声で言ったのはメリッサだった。



「うちのお父さんが増えたとして、それに囲まれたあげく荷物をとられて怪我しても出来心だったから許してね、ゴメーンで済むと思ってるんですか?」



ギッと珍しく睨み付けてメリッサが言う。

けれどアイリと繋いだ手は少し震えていた。



「大人で、しかも力の強い兵士さんに囲まれたり、強く言われたりするのはすごく怖いんです。

なんでそんなことも分からないんですか、大人なのに!!」



「その通り。」



バスケットを持たない方の手でメリッサの頭を撫でてルノーが言った。



「今の謝罪は自己満足だ。

なぁ、自分より幼い女の子に言われなきゃそんなことも気づかないのか?

ちょっとは考えろ。」



黙りこむその1をどかしてルノーは困ったように笑った。



「許さなくていいよ、アイリちゃん。

けど、忘れられるなら忘れて。罰はこちらできっちり与えておくから、ね。

メリッサちゃんも、今のところはそれで納得してくれるかい?」



「はい、絶対許しません。なるべく不愉快な記憶は忘れます。」



「アイリちゃんがそういうなら…」



「二人とも偉いぞ、じゃ、行こうか。

レンドリック隊長に用があるんだよね。」



去っていく三人を見送りその1が呟く。



「その通りなんだけどさぁ…

俺がなんでこんな目に…」



それまで黙っていた他の門番が冷たい目をして言った。



「自業自得って知ってるか?今のお前みたいなことを言う。

いっとくが、お前のせいで騎士全体の評価下がるところだったんだ。」



その冷たい視線と内容に、今更ながら自分のしたことの重大さに青くなるその1だった。








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