女の子の友情は刃となる。
「メリッサちゃんお待たせ!」
「いえいえどういたしまして。
あの、あのね、アイリちゃん今日良ければ私のお姉ちゃんの勤めるお店に帰りよって昼ごはん買わない?
お気に入りの場所、案内したくて。」
段々と小さな声になっていくメリッサは真っ赤だった。
アイリも嬉しくなって赤くなった。
「いいの?!あのね、私…友達できるのはじめてなの。
だから一緒にご飯とか憧れだったの。」
「そうなの?
じゃあこれからは一緒に食べよう!
私もね、同い年の女の子のはじめてなの。すごくうれしいよ。」
嬉しくなって二人で手を繋ぎ笑い合って歩く。
なんとも可愛らしい光景だった。
あと少しで学校につくという所で二人は足止めされる。
「よぉ、がらがら声の大女。
朝からはしゃいで見苦しいぞ!オカマみたいな声しやがって!」
「やーい、がらがら声!」
同じ年ぐらいの少年たちがゲラゲラ笑いながらメリッサに声をかける。
メリッサはすらりと背も高く、ハスキーボイスだった。
アイリはかっこいいし可愛いなぁと思ったが、男子たちにとっては丁度良いからかいの材料なようであった。
握っているメリッサの手に僅かだが力がこもる。
「アイリちゃん、行こうか…」
「おい、無視すんなよ!がらがら声!!」
「きゃっ!」
視線を反らし、進もうとした二人の前に男子が立ちふさがりメリッサを押した。
いきなりの事にメリッサはよろけて尻餅をつく。
アイリはバランスを崩したが倒れることはなかった。
「ふんっ!どんくせーやつ!!
大体、生意気なんだよおまべふぁ!?」
更に言いつのろうとした男子の顔めがけアイリは躊躇い無く握っていた砂をぶちまけた。
あまりの事に呆然となっている他の仲間たちにも砂をお見舞いする。
突然の事に三人とも痛みと驚きでしゃがみこんだ。
「ねぇ、あなた達ばかじゃないの?
そんなことしてもメリッサちゃんの気は引けないし、嫌われるだけだって分からないの?
見ていて恥ずかしいし、こんな程度の低いやつらと机を並べて勉強かと思ったら気が滅入るわ。」
そこに淡々とアイリが追い討ちをかける。
三人組のうち二人はそれで意気消沈したが、はじめに絡んできた男子は立ち上がって怒鳴ってきた。
「ふざけんなテメェ!
ちっ、違うからな!そんながらがら声女好きでもなんともねぇよ!
目について邪魔だから隅によって小さくなってろって教えてやってんだよ!
それよりテメェこんなことしてただで済むと思ってんのか?!俺の親父はこの辺の取り纏めやってるんだぜ!
謝るなら、蹴り三発で勘弁してやる!ほら謝れよ!」
尊大なバカ野郎のもの言いにアイリもキレた。
これはもう、戦争するしかないだろう。
奥様の教えを思い出す。
まずはそう…
アイリはにっこり微笑んで向きあった。
「あなたのお父さんがいくら偉くてもそれを自分の手柄みたいにいうのはおかしいです。
親のことを持ち出してはいけません。拗れますよ?
そちらがそういう態度をとるならば、メリッサちゃんはお父さんの隊長さんを出してもいいはず。
メリッサちゃんは優しいからお父さんに言ったりはしないでしょう。ですが私が報告します。そうなったら隊長さんは怒り心頭になることでしょう。
なおかつ、私の保護者兼雇い主を引っ張ってきますよ。
そうなるともう、子どものけんかで収まらなくなりますね。
法廷で争うことになっても良いのですか?
困るのはあなたのお父さんですけど、よろしいですか?
そうなればあなたも今のように暮らせなくなり、大変なことになりますけど。
謝るなら今ですよ?
ほら早く。先生がこちらに向かってます。」
止まること無く捲し立てるアイリの勢いにのまれ、バカ野郎は口をポカンと開けたままだ。
そうしているうちに先生がやって来た。
アイリ達が説明を聞きに訪れた時に居た職員の一人だった。
「ようこそ、アイリさん。
メリッサさんが一緒なら大丈夫ですね。」
ふわりと微笑んだ後にくるりとバカ野郎達の方に向き直り、怒声をあげた。
「また貴方方ですか!
今日という今日は許しませんよ!!!」
そう言って器用に三人を引き摺っていく。
「アイリちゃんすごいね!
あんな風にすらすら意見を言えるなんて!うらやましいなぁ…」
「そ、そっかなぁ?」
正直言って脅ししかしてなかったが、キラキラとしたメリッサの眼差しに照れてちょっと得意になってしまったアイリだった。




