共通の話題は大切です。
「ふふふっ」
たまらずというように吹き出したメリッサに、アイリは赤面してうつむいた。
普段噛まないのに!噛まないのに!
そんな思いがぐるぐる回る。
「あ…笑ってごめんなさい。
私、とても緊張していたんだけとアイリちゃんのお陰で緊張がどこかにいっちゃった。
ありがとう」
顔を上げるとメリッサがふんわりと笑っていた。
なんの含みもない笑顔。
不意に御者の人の言葉がよみがえった。
本当だ、お互い様だったんだと、アイリもホッとした。
「メ…メリッサ…ちゃんが優しい人で、私もホッとしたよ。
ありがとう。」
ちゃん付けで誰かと呼びあえる日が来るなんて思わなかった。
呼び掛けるのもなんだか気恥ずかしかったけれども、それすらも嬉しかった。
「これからよろしくね!」
「うん、よろしくね!」
自然と握手をしあい、笑い合う。
それだけで嬉しさがじんわりと胸の奥から広がっていった。
それからアイリとメリッサ二人は時々仲良くビュッフェや飲み物を取りに行きながら、お喋りを楽しんだ。
主に話題はユナカイトの元魔境の屋敷の掃除の話。
メリッサ一家も時々ユナカイトの屋敷掃除を手伝った事があると言うことで大変盛り上がったのだった。
まだまだ話足りないけれど、お開きの時間になってしまった。
メリッサの通学路の途中にユナカイトの屋敷があるので、明日から一緒に登下校する約束をしてさよならとなった。
「二人とも仲良くなってよかったね~」
手を繋いでなかなか離れない少女二人に癒されながらユナカイトが言うと、二人は笑顔で言った。
「ユナカイト様の魔境だった屋敷おかげです!」
「ユナカイト様が片付けに対してどうしよもないおかげです!」
キラキラ笑顔でどうしよもない人扱いされたユナカイトは固まった。
「はっはっは、よかったですねユナ。
貴方がどうしようもないおかげで二人の友情は深まったようですね。」
「あらあら、たまには顔面詐欺野郎も役に立ちますのね。
よかったですわ。」
アルベイルとエリザベールがいい笑顔でとどめを刺して会はお開きとなったのだった。




