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今までは王都の外れの小さなお店にいたので大丈夫だったそうだ。貧乏子爵家なので、王宮でのデビュタントにも出れなかったらしく、領地の近くの家のパーティーに2回ほど出たことがあるだけらしいので、貴族の知り合いもほぼいないそうだ。
服装や化粧もずいぶん変わっているし、15歳で家から逃げ出したので、家族以外は見た目アラサーのミーナさんを見ても、どこかで見たことあるような……位じゃないかな?と本人は言っている。
でもな~……ミーナさん美人だから、印象に残ってそうでちょっと心配だな~。
まあ、勘当されているので見つかったところで何もないと思いたいけど……お金がないから、金持ちに売ろうとするかもとか恐ろしいことをサマンサさんが言ってるし……
「安心してくださいっす!自分が守るっす!」
まあ、確かに送り迎えもしてくれる予定だし、ちょっとは安心かな……でもな~……サミーヒョロいからな~。
とりあえず2人に防犯グッズを……
「あら~?でもミーナ、あなたが家を出たのって何十年前なの?」
「えっと~……50年前くらいかな~?」
「肖像画なんて無いんでしょう?人違いですで通りそうじゃな~い?」
た、確かに……50年前だったら記憶もおぼろげだよね……てかミーナさん……15歳で家を出て……
「計算しないでくださいね?うふふ」
あ、はいすみません!
「確かに50年前なら誤魔化せそうですね。念のため、催涙スプレーを持っててください」
「あらあら大丈夫ですよ~?ユニークスキルで隠れるのは得意なんです。追いかけられても、相手に見失わさせることが出来るんですよ~、うふふ」
なんか分からないけど、凄いスキルだな。確かに路地裏に連れ込まれそうになったりしそうなタイプだもんね……今まで無事だったってことは、魔法のお陰なのね。
「とりあえずこれを持っとけ。こっちは麻衣殿が持っとくといい。アイテムボックスに入れずに、普段身に付けるものにつけておけ。
これを持っていると、いなくなってもこっちのを通して居場所が分かるんだ。
まあ、貴族のペット用だけどな、無いよりはましだろう。ふははははははは」
あ~……GPSね。てかペット用って……ミーナさんを見ると、目が笑っていない笑顔で固まっている。
「まあ、ペット用かどうかはさておき、私の世界にもありましたよ~、普通に人間用でしたけど……。
てかなぜアイテムボックスじゃダメなんですか?」
「む?捕まった時にアイテムボックスは1番狙われやすいんだ。しかも物の名前も出るだろう?だから居場所探知機などと言う物騒なものは、すぐに捨てられるんだ。
価値が有りそうな宝飾類もすぐに取られるからな、出来れば落とさず取られず、肌身離さず付けとけ」
ええ……!?何気にめちゃくちゃ難しいこと言ってない?アクセサリーだと取られやすいってことは……ええ、何?
服は毎日着替えるし、着替えさせられたら終わりだしな……靴とか?でも、脱げたらおしまいだよね……
ええ!無くない?サイズ的には本に付けたmicroSDサイズの魔石の半分位で、薄さは同じくらいか……体に埋め込む?ひ~!無理!
体にくっつける……?あ、ネイルに埋め込む?あ~でも剥がす時傷むよねきっと?綺麗に剥がれないかもだしね……何かでコーティングする?
例えば薄いビニールとかゴムで覆って、ジェルネイルで埋め込んじゃったらどうだろう?足の親指の爪だったら行けそうな気がする。
「足の爪に貼りましょう!このジェルネイルってやつで埋め込んだらいいと思うんですけど、問題はネイルを剥がす時に魔石を傷つけちゃいそうなところなんですよね~……
何かの膜で覆ってしまって埋め込んだら、綺麗に取れるかなと思うんですけどね~……」
「それならバリアで覆えばいいんじゃないか?薄い膜が出来るぞ」
おお、さすが魔法ばんざい!じゃあそれでやってみよう。今日は遅いし、また明日でいいね。
ちょうどミーナさんのお店の準備もあるし、一緒にやってみようかな。
てかやり方がよくわからないから、ネイルの本を買って、道具を揃えなきゃな~……そう言えばこの世界マニキュアって無いのかな?してる人見たこと無いかも……
この世界に来て治ったけど、元々アトピーだからマニキュア苦手だったんだよね。掻いちゃった時悲惨なことになるから、爪の伸ばせなかったしね~。
だから気付かなかったけど、爪に色が付いた人はいなかったと思う。これは……新しい商売の予感?くふふ
「ではミーナさん、明日はいよいよ開店準備ですね!よろしくお願いします」
「あらあら、面白そうだから私も行くわ~、うふふ」
え?サマンサさんも来るの?大丈夫かな?
「おば様、せっかく家が出来たんですから、明日はゆっくりお庭を愛でたり、応接間を整えたり、やることが多いんじゃない?」
「そう言えばそうね。じゃあ、ミーナのお店にはまた今度行くことにするわ~、うふふ」
あ、ミーナさんが上手くあしらった。やっぱり邪魔だと思ったんだ。まあね、サマンサさんがいると仕事が増えそうだもんね。
別に何かする訳じゃないんだけど……まず手伝いには絶対なら無いし、サマンサさんが来ることでアンドレやデザイナーの坊やが突撃してきそうでめんどくさそうなんだよね~……
うん、明日は家でゆっくりしていてください。




