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「やっと帰ったか。遅かったな。なんでドレスなんだ?」


 家の前についたのでリモコンで門を開けていると、音に気付いたのかアンドレが自宅から出てきた。

 もちろん、ハンスも一緒だった。もう一緒に住めばいいのに……


「ただいま~。ランチをご馳走になるのに着替えたんだよ」


 へ~、わざわざ着替える必要ないのにとかなんとか言ってるけど聞こえな~い。

 着替えたいから、先にトライクで家まで戻った。門から家まで歩きのアンドレ達の出迎えはライアンに任せ、寝室でドレスを脱ぐ……ぬ、脱ぐ……っく、背中の紐が……ふー、やっとほどけた。

 うーん、汗かいたしシャワー浴びたいな……ダッシュで浴びよう!7分でシャワーを浴びて、髪も急いで乾かす。半乾きだけどもういいかな。

 黒の厚手のダボッとしたTシャツに、気持ちいい素材のアラジンみたいなズボンを履いて、髪を緩く結んで1階に下りる。

 相変わらずアンドレがソファーでくつろいでいた……っち!


「麻衣様、今日の売上です。普通のが5枚で組み合わせが10枚の計15枚の金貨55枚でした。

 こちらがデータです。初めは表情も固かったですが、最後の方はこの笑顔で、大変ご満足いただけたと思います。サービスで、アンドレ様と一緒に写した写真も渡してきました。

 騎士団長様はどうでしたか?」


 やっぱり15枚なのね。暗黙の了解ってやつなのかな?てかアンドレとの写真……喜んだのかな?なんかみんな笑顔がひきつってない?


「ふはははは、どうしてもと言われたから一緒に撮ってやったぞ!」


「そ、そうだったんだね……それはきっと喜んだだろうね~……

 えっと、こっちも普通のが4枚、組み合わせが11枚の15枚だったよ。

 それとは別に、ちょっと違うものをどうしても買いたいって言われて、転売出来ないなら写真をもう1枚買うからその代金ってことでって言われて組み合わせのが1枚増えたの。

 その分を合わせて、金貨60枚だったよ。その後ランチに誘われて、食後は男女で別れてお話しして来たからすっかり遅くなっちゃったよ」


 ハンスの55枚と60枚を合わせて、ライアンのアイテムボックスに保管して貰っている金庫に入れて、またしまっておいて貰う。

 パソコンでデータを管理し、今日の売上データを入力する。今月だけでかなりの売上になった。また明日、ハンスは別の侯爵家へ行くことになっている。

 だいたい週末で、時には平日にも予約が入っている。今のところ18件ほど予約が入っているが、今後どんどん増えるだろう。


「騎士団長宅ではランチに誘われたのか……宰相と違って気が利くな。

 あ、そう言えば俺の家の前に1軒建てることになったから、間取り図よろしく~」


 いや、あえて誘わなかったんだと……


「え?誰の家?」


「イリーナ=ワルイナ事件の被害者である未亡人。だいぶ健康は取り戻したようなんだけどな~……元の家は色々思い出すから帰りたくないそうだ。

 まぁ国の判断が甘かった事によって起こった事件だったからな……賠償として住んでいた家を国で買取り、新しい家を建てることにしたそうだ。

 もちろん、取られた金は分かる範囲で返済したし、賠償金も出たんだが……色々思い出すから、どうしても派手な女や厳つい男が怖いらしい。

 出来るだけ静かであまり人に会わない安全な場所に住みたいと言うことでな、そこはどうかとなったんだ」


「あれ?でもライアン厳ついよね?」


「ライアン殿は勇者だからな、大丈夫らしい。むしろ守ってくれる存在だと認識しているようだ。

 ああ、あとこれを預かって来たぞ。お礼だと言っていた」


 アンドレから渡されたのは、お見舞いにと未亡人に渡して貰ったシルクのハンカチに、見事なバラの刺繍が施された物だった。

 え?これ手で刺繍したんだよね?凄すぎる!売れるんじゃない!?なんてすぐ商売に結びつけちゃダメだよね。

 新しいご近所さんか~。どんな人なんだろう?大商人の元現地妻って言うからには、綺麗なおばあちゃんなのかな?


「あれ?そう言えば1人で生活できるの?」


「そこなんだよな~……家事は使用人に任せていたから、自分でしたことがないらしい。元々子爵令嬢だったから、実家でも全部使用人に任せていたとか。

 当面の間は城から派遣する予定だが、あまり家の中に他人が入って欲しくないようなんだよな~。

 そうは言ってもな……家族はいないし、元使用人に会うとパニックになるから悩みどころだ。

 まぁ、麻衣殿の世界の家電を使えば、掃除もロボットがしてくれるし洗濯もボタンひとつだし、食事はカフェに来れば食べられるから何とかなるんじゃないか?」


 え~、なんか不安しかないんですけど……まぁちょこちょこ私が様子見に行けば大丈夫かな?

 

「平屋と2階建て、どっちがいいですか?広さは?お庭を広くして花に囲まれて生活すると癒されそうですよね~」


「そうだな~、2階建てがいいと思う。念のため1階にも寝室を作って、使用人を雇ったときのための部屋とバストイレを2階に作ったらいいんじゃないか?」


 了解っと。台所も部屋を分けたが良さそうだね。お店の間取り図と未亡人の家の間取り図……Tシャツも試作したいし……やることが多いな。


「今日奥様方と話したんですけど、貴族女性向けのサロンが欲しいと言うので作ろうと思うんですけど、どうですか?

 場所はお店の2階で、図書館は行きにくいみたいなんで本を置く予定です。あと私の世界の下着をこちらで作って貰って売りたいんですけど、Tシャツと合わせて作ってくれそうなお針子さんとかいないですかね?」


「お針子は知らんが、デザイナーなら知ってる。俺がいつも作って貰ってる所だ。変わってて面白い男だから聞いてみる」


 え?また変わってるの?たまには普通の人がいいんですけど……

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