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 とりあえず私に出来ることはないので、お見舞いに高級チョコを渡して貰うようにした。

 

「家も少し大きな平民の家くらいのサイズでしたし、見た目も金遣いも派手ではない普通のご婦人でしたので、どこで大金をもっていると知られたのかは現在調査中です。

 近所の住人も金持ちの現地妻だったのは知っていましたが、遺産まで貰っていたとは知らなかったようです。

 イリーナ達はその大金を半年で使いきって、次のターゲットを探すために職探しを装っていたようです。

 我々もこの様な服装ですし、昨日は騎士団がいるとは思いもしなかったようで、あっさり居場所が分かってよかったです」


 え?こっわ!もし雇ってたら次はうちがターゲットになってたってこと……?いや待てよ……ライアン勇者だし、来てもやられるのあっちだよね?

 

「まぁそっちのことは兄上に任せるということで。今日は社宅の建築も始めようと思う。麻衣殿は社宅から建てたいんだろう?

 ってことで託児所の人員を社宅の方に回すか~……って人数増えてね?」


「はい……非番の騎士達も手伝いたいと集まりました」


「ええ!休みはちゃんと休まなきゃいい仕事できませんよ?」


「まぁやりたいって言ってるから手伝って貰っていいんじゃね?でも、明日の仕事に響かないように、早く帰るようにしろよ」


「「はい!」」


 まぁそれならいいけど……そんなにみんな完成を楽しみにしてるの?どんだけバスケにはまったんだよ……

 とりあえず託児所は一旦中止して、体育館とカフェとアパート2棟に別れて作業を開始した。

 それぞれ魔法が得意だったり手先が器用だったり力持ちだったり色々だが、棟梁が上手いこと力を発揮できるポジションに配置してくれたようだ。

 ちなみにライアンは体育館の建設を頑張ってくれている。大きい木材がたくさんあるから助かるそうだ。

 カフェの屋根にオレンジ色の瓦が敷かれ、白いレンガ調の外壁が貼られていく。可愛い!大きなガラスのはめ込まれたナチュラルな木のドアが最高に可愛い!

 パン屋さんスペースはガレージのように空いているだけだ。完成後ショーケースとレジカウンターを置く感じになる。

 シャッターの色は木目調にしたので、閉まっていても可愛いのだ!悩みに悩んだオーニングテントは、オレンジとクリーム色の太めのストライプにした。

 赤も捨てがたかったけど、まぁ日に当たるしどのくらい長持ちするか分からないし、何年か先にダメになったら次は赤でもいいかな~と思っている。


 外壁がついて一気に家っぽくなったのを見て、騎士団や魔法団の皆さんが達成感に浸っている……うん、分かるけどね、まだ中は全然なのよ?

 でもどうやら明後日にはカフェは完成するようだ!嬉しい!アパートは基礎と木材の加工までは出来たから、あと4日後くらいに完成しそうとの事だった。

 さすが、人数が多い上に魔法があると早いね!しかもトイレや水回りなどは全部こっちのやり方だから、慣れてて早いんだそうだ。くふふ、楽しみ。





 2日後、ついにカフェが完成した!オーブンはアンドレの指示で入手していたそうだ。どこに置くかはパン職人とカレンちゃんに確認しなきゃいけないので、とりあえずライアンのアイテムボックスに移動しておく。

 カレンちゃんの旦那さんにお願いして、早速明日から来て貰おう。子供達は私が見ててもいいしね!

 と思ったら、大工さん達は交代で休みをとってるらしく、明日は旦那さんが休みだから自分が見ますって言われてしまった……とりあえずカレンちゃんの厨房の隣の休憩室に、プレイマットでも敷いてこの前出した積み木と絵本でも数冊出しとこうかな。託児所が完成したらそっちに移せばいいしね!

 アパートもカフェの作業をしてた人達を回せば明日の夕方か明後日の午前中には完成すると思うとのことだった。

 明後日の夕方から入居出来るのかな?家具とか入れなきゃだし、明明後日からゆっくりがいいかな?でも明日完成したら明後日から大丈夫だしな……とりあえずギルドのおじさんに明後日か明明後日には入居できるって言って貰おう。


 ちなみに男爵家で保護された男性3人はこっちに向かっているらしい。教育もこっちでするし、ある程度字が読めたら仕事も出来ると伝えたらギルドのお偉いさん達も喜んでくれたとか。

 こんな自分達をまともな仕事に雇って貰ったからには、一生懸命働きますとヤル気満々らしい。よかったよかった。


 ……良くないこともあった。イリーナ達に乗っ取られた家の使用人夫婦の夫の方が亡くなったそうだ……

 でも、意識は取り戻していて、死ぬ前に奥さんや子供達や孫に会えて、安全で温かいベッドの上で穏やかに亡くなったそうだ。

 もしあの時助け出されなければ、あの夜にでも1人寂しく床の上で亡くなったのではないかと医師達が言っていたそうなので、最後に家族とお別れする時間が持ててよかったんだと思う。

 チョコも喜んでくれたらしい。大商人が生きていた頃は家に来る度にお土産として未亡人に持ってきてくれて、未亡人がいつも使用人夫婦にもお裾分けしてくれたので子供達共々楽しみにしていたのだとか。

 大商人が亡くなってからは食べる機会がなく、死ぬまでにまたみんなで食べたいな~といつも言っていたので、今回家族みんなで最後に食べることが出来て、本当に喜んでいたそうだ。

 みんなでチョコを食べて笑いあった日の夕方、家族みんなに看取られて眠るように亡くなったそうだ。

 奥さんはショックを受けたがある程度の覚悟は出来ていたらしく、穏やかな最後でよかったと言っているそうだが、未亡人が自分のせいだとかなり取り乱しているらしい。

 悪いのはイリーナ達だと言っても、最初に殴られたのは未亡人が大金なんて持ってないと嘘をついたせいだったらしく、私が最初から素直に渡していれば……と聞く耳を持たないらしい。

 妻の方は今後も未亡人の世話をしたかったようだが、妻を見ると自分のせいで夫を亡くしてしまってごめんなさいごめんなさいと謝り続けて、とてもじゃないが会わせることが出来ないのだとか……

 未亡人だって立派な被害者なのに……いつか心穏やかに過ごせる日が来ますように……

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