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「これをね、回しながらいい感じのところでこれを押すんです。そう、いい感じですね。ちょっと君達こっち向いて笑って~、どう?撮れました?」
おじちゃんに教えながら画面を覗くと、若者達がいい感じに写っていた。これは面白いですね~と言いながら数枚写していた。
若者達も興味津々だ。パソコンを起動して教えながら1枚プリントしてみた。意外にもすぐ覚えてくれた。
「ほ~……これはすごいですね……そのまんまじゃないですか。いや~、長く生きて来ましたが、こんなすごい魔道具は始めてですよ……
これに木の額縁をつけたらもっとよくなりそうですね……どんな柄を掘ったら合いますかね~……」
「え?そう言うのも作れるんですか?いいですねいいですね!作って売りましょうよ!売り上げはそのまま納めちゃっていいですよ」
「いや、さすがにそれは……せめて委託料として2割はお店に納めないといけません。脱税とかなっちゃいますからね?」
「え?そうなんですね!ちょっとその辺の知識が疎くて……よかったら色々教えて貰えると助かります!
みんなも家は通えるところにあるのかな?もし独り暮らしなら社宅を建てる予定だから言ってね?」
とりあえず変なご令嬢の1人以外はみんな雇う感じで良さそうだね~……てか男性が2人しかいない?おじちゃんと少年だけじゃ何かあったとき心配だな……
まぁパン職人さんと軽食担当の人もいるけど……なんで女性しかいないんだろう?
「男性から仕事は決まっていくので、どうしても女性ばかりが職を探してるんですよ。不安でしたら警備担当の人を雇ってもいいかもしれませんね」
なるほど……てか誰よりも強い警備員がここにいたわ。でも、私達も毎日出勤するわけでもないしな~……妊娠とかしたらそれこそ来れなくなるし、ちゃんと考えたがいいよね……とりあえずその辺は今度ギルドに行った時に聞こうかな。
「えっと、とりあえずみんな来て貰いたいけど業種はちょっと待って貰ってもいいかな?もう少し人数欲しいし、揃ったら振り分け考えてみるね。
また社宅が出来た頃にギルド経由で連絡しますね!とりあえず今日はありがとうございました!」
いい人材ばっかりでよかったな~……くふふ。とりあえずあと5人くらい欲しいな~、出来れば男性も欲しいけど中々いないみたいだね。
って凄い!いつの間にかカフェと図書館と写真屋さんと託児所の基礎が出来ていた!人数いるからめちゃくちゃ早い!
今は木材をそれぞれ加工中のようだ。いいねいいね~!この調子で社宅も早く作ってね!ってその前に社宅の間取りを考えなきゃだった!
「お疲れ様です。さっきの騒いでいた女性は、元ワルイナ男爵家のご令嬢ですね」
「元?ワルイナ……?」
ワルイナって名前からしていかにも悪そうだし!やば、笑いそう。
「はい、色々あくどいことをしていたようで、去年爵位剥奪の上、魔力制御の腕輪をはめられて強制労働になったと聞きました。
夫人と娘も魔力制御の腕輪をはめられ、平民に落とされたとか……さっきの様子を見る限り、全く反省はしていなかったようですね」
うん、確かに全く反省してなかったよねあれ……てか私は貴族なんだからって言ってたけど、貴族じゃないじゃん!本当、向こうから断ってくれてよかった~。てかさすが社交的なハンス、情報ありがとう!
「みんなドリル出来た~?」
「「「はい、出来ました!」」」
元気でいいね~、どれどれ……赤ペンを出して先生みたいに○をつけていく。小1のドリルだから何も見なくても余裕で答えが分かるんだよね~……うん、みんな合ってる!って簡単すぎた?でも、これが出来れば大丈夫じゃない?
小銅貨がメインみたいだから、パン屋さんは全部小銅貨1枚にする?あ~、これも市場調査が必要だな。あんまり安くても高くてもよくないもんね。
さてと、そろそろお昼だね。騎士団や魔法団の方達はいつもお城の使用人食堂で食べてるらしく、いったん帰ると言うので大工さん達の分と一緒に出してあげた。
明日からも出すから食堂に言っといてね~。残ってたドリルをしていた少年と女の子4人とおじちゃんの分もパンを出して、王都ではいくら位で売られているか聞いてみる。
「いや~、正直こんな色々入ってて柔らかいパンは初めて食べました!王都のパン屋では同じようなのが売られてないんで分かりませんが、パンはだいたい1個小銅貨1枚です。何も入ってないので1枚なんで、これだと5枚位っすかね~?」
「そうだね、これだと食堂とかで食べるご飯と同じくらいだから5枚はしそう」
ちょっと高すぎじゃないかい?でも安くしすぎて王都のパン屋さんが売れなくなっても困るしな……
惣菜パンは小銅貨3枚均一にしようかな。ロールパンとかクルミパンとか干し葡萄パンは小銅貨1枚でいいんじゃないかな?
とりあえずパン屋さんが来たら相談してみようかな。あ、働き初めの月ってみんなお金無いよねきっと……保護施設からの人達は支度金として少し出すようにしようかな?
でも……他の人からしたら微妙?悩むな……常識が分からないから、ギルドのおじちゃんに聞いてみよう。
「あなた達はどこに住んでるの?保護施設じゃないんでしょう?」
ドリルをしていた4人の女の子達に聞くと、2人は王都の実家に住んでいて、2人はちょっと離れた領から王都に職探しに来ているようだった。
思ったより早く仕事が決まり、家も社宅に入れることが決まったので、社宅が出来るまでゆっくり王都を散策して遊ぶそうだ。
狭くていいならうちに泊まりなよ~等とすっかり仲良くなった様子で安心した。




