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 カレンちゃんの家を出て、ライアンの案内でギルドへ向かった。ゆっくり街を見たいけど、なんだか視線を感じて居心地が悪いし、ギルドの営業時間も分からないからとりあえず寄り道せずに向かう。

 思ったより大きくて立派な建物で、人で賑わっていた。入ってすぐに受付っぽい物があってお姉さんがいたから求人をお願いしに来たと言うと、少し待つように言われ、人の良さそうなおじちゃんがやってきた。


「これはこれは勇者様……結婚したと噂で聞きましたが、こちらが奥方様で?いや~、お美しい方ですな。さあさあこちらでお伺いしますのでどうぞ」


 ペコペコとお世辞を言いながら個室へ案内された。結構立派な応接間のようだけど……とキョロキョロしていると、ライアンがこそっと教えてくれた。


「ここは貴族専用の部屋なんだ。俺が一緒だったから気を使われたのかもしれん」


 なるほどね~……美人なお姉さんがお茶とお菓子まで持ってきたよ。なんかVIPになった気分……


「それで、本日はどのような案件ですか?」


「あ、私の方からお願いがあって来ました。今度お店を出すので求人と、そこまで循環してくれる辻馬車を紹介していただけたらなと思いまして……」


「なるほど、求人と辻馬車ですね。まずは求人ですが、どのようなお店でどのような人材をお求めですか?」


 図書館とカフェ、写真屋、託児所の説明をして、こういう人たちが欲しい等と説明をした。

 休日や託児所、洗濯場に社宅に賄いなどの福利厚生の説明もして、営業時間や店の宣伝などの相談もここぞとばかりにしてみた。


「なるほどなるほど……いや~、無料の図書館とは……素晴らしいですな~……私が読むような本もありますでしょうか?是非完成したら行かせてください。

 営業時間は仕事の後でも行けるように18時頃までしていただけると嬉しいですが、従業員の労働時間もありますからな~……

 宣伝は王都に8ヶ所ギルドの掲示板を設置していますので、そこに貼るようにしましょう。辻馬車の時間や休日なども載せるといいでしょう。

 大きい求人や急ぎの求人等を載せているのですが、スペースも空いているのでちょうどいいです。みんな喜びますよ。


 そうですね……レジに良さそうな人材が数人登録してるようですけど、どのような人物がいいとかありますか?

 子守りはよければ孤児院を出たばかりの子が保護施設にいますので、雇っていただけるとありがたいです。

 掃除等でも本人はいいようですが、孤児院の子達は下の子のお世話をして育っていますので、必然的に子守りが得意になるようです。ですので出来るだけそう言う仕事に回すようにしてるんです。ああ、もちろん他の仕事も一生懸命すると思います。

 掃除は仕事をリタイアした後の世代はダメですか?短時間の契約でしたら保護施設から出る必要もありませんし……数人いるんですが中々仕事がありませんでな~……


 お、パン屋によさそうな人材の登録がありました!ここから2日かかる伯爵領で兄のパン屋を手伝っているようですが、兄の子供を上の学校へ行かせてやりたいから、何処かいい仕事先はないかと登録したようですな。

 あちらの職員が詳しく付け加えた情報によりますと、真面目でとてもいい夫婦のようです。子供が1人いて、妻の方は兄の子供達と我が子の子守り担当のようです。

 ですが、子供達も大きくなって来て、小さなパン屋では2家族食べるのがやっとだとか……お会いしてみますか?」


 なんかすごい情報量で頭が追い付かないけど、とりあえずこの人がいい人なのはわかった。

 とりあえずパン職人には社宅も用意するから是非来て欲しいと伝えて貰うことにした。

 会わなくていいのか聞かれたけど、わざわざ向こうの職員が情報を付け足すくらいいい人なんでしょう?それにパン職人なんて早々見つかるものでもないしね!

 託児所も孤児院出身の女の子が3人いるらしいので、お願いした。男の子もいると聞いたので、とりあえず明日現場に来て貰って面接することにした。図書館かホールスタッフか、何かしら仕事はあるだろう。

 レジ係に良さそうな人材も数人いるそうなので、そちらも明日面接する事にした。

 女性大歓迎ですと言うと、喜んで探してくれた。


「ちなみになんですけど、お店を任せられそうなおじちゃんかおじいちゃんはいませんか?」


「それならいい人がいますよ!雑貨屋を営んでいたのですが、ライバル店に客を取られましてな……いい職人だったんですけど、時代と合っていなかったと言いますかなんと言いますか……

 結局店をたたんで、それからはやる気がでないようで今では保護施設で暮らしていますよ」


 とりあえずその人にも会ってみたいと言うと、行くかは分かりませんが、とりあえず行くように言ってみますとのことだった。

 どんなおじいちゃんかな~?頑固タイプだとちょっと怖いけど……いい感じのおじいちゃんだったら写真屋さんの看板おじいちゃんになって欲しいんだよね~……

 とりあえず明日は面接がたくさん入った!頑張ろう!

 辻馬車は辻馬車屋に確認してみますと言うことで、後日返事を貰うことになった。よろしくお願いします!


「ふあ~、なんか疲れたね……今日はもう帰ろうか……」


 気付けば夕方になっていた。もう歩く気力もなかったので、ライアンにトライクを出して貰って馬車道をトライクで帰ることにした。

 うん、なんか注目されてるけど、もう気にする気力もない……眠いけどさすがに寝たら恥ずかしいかも。

 現場につくと、作業が終わってちょうど帰るところだった。ハンスが戻ってきており、大工さん達とアンドレと楽しそうに談笑していた。

 やっぱりこの人選に間違いはなかったな~……今から離れに来るんだよね?アンドレのは1人乗りだし、これに乗せる?となるともう1つローソファーを出さなきゃな。

 さあ帰るよと言う段階で、ライアンが渋りに渋った。まぁ後部座席に私とハンスの2人だけで乗せたくないよね~……でもライアンとハンスだとちょっとライアンが大きすぎて無理があるよね?

 ってことで、何故か荷台にハンスとアンドレが乗り、私はアンドレのトライクで帰ることになった……まぁ……仕方無い……仕方無い……なんかイラッとするけど仕方無い……

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