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「あ、そうだった!カレンちゃんの旦那さん、今度カレンちゃんに会いたいんですけど」


 あれ?何やら苦笑い?


「カレンちゃんの旦那さんはあっちね。俺はカレンちゃんの旦那さんのお兄さんだよ。似てるとは言われるけど間違われたのは初めてだな」


 あれ?間違えた?……確かに並べばちょっと違うかも。あれだな、日本人あるあるだな。外人さんはみんな同じ顔に見えるって言うあれね。

 え?さすがにみんな同じには見えないよ?でもさ、同じくらいの身長に体型で、髪の色も髪型もほぼ同じ。目も同じ色ってなったら見分け付かなくない?兄弟だから顔が似てるんだよ~。

 え?目の色違うの……?う~ん……言われてみれば色が少し濃いような……ってまじでヘムズワース兄弟レベルで似てるんだよ~。間違えても仕方無いじゃんなんて言い訳してみたりして。


「すみません……いや~、よく似てますよね?間違えちゃいました。ははははは~」


「いえいえ、カレンに会いたいんですか?では近々行くように言っときますね」


「いえ、赤ちゃんもいるしこっちからうかがいますよ。王都にも行ってみたかったんで、都合のいい日を教えて貰えれば嬉しいです」


「いつでも暇してるんで大丈夫と思いますけど、帰ったら聞いてみますね」


 カレンちゃんありきで考えてたけど、ビックリするだろうな……オッケーしてくれますように!

 あれ?なんか馬が来る?何だろう?ここに用事?この先はうちしか無いけど……


「あ、アンドレ様に勇者様。今から勇者様のところへお伺いする予定でした。もしやこちらの方が勇者様の奥方様ですか?」


 奥方様!凄い、なんかいいところの奥様になった気分!


「誰だ?」


「あ、失礼しました。城の財務室より派遣されてきましたトーマス=ゼニーです。税金などの話をしに来させていただきました」


 なるほど、そう言えばそんな話を昨日の夜したんだった。ってレスポンス良すぎじゃない!?ビックリだよ!

 とりあえずお馴染みのタープテントに案内して、ゆっくり座って冷たいものでも飲みながら話しましょう。


「まずお店を始めたいとのことですが、通常ですと税金がかかりますが奥方様の場合は貴族年金を寄付してくださるとのことですので、そちらから税金を引かせていただこうと思います。

 ですので、その辺はお気になさらず大丈夫です。

 あと、王都の平均的な時給ですが、昼の接客業と言うことですので、小銅貨8枚位です。

 週休2日以上で、労働時間は休憩を1時間入れて8時間まででお願いします。休憩無しの場合は4時間までとなっております」


 なるほど、その辺は日本と同じような感じなのね。分かりやすくてすごくいい。


「社員登録となりますと、週休2日で労働時間は休憩を1時間入れて9時間までとなっております。

 月給は月に平均銀貨15枚、退職金は3年以上働くと月給の3ヶ月分です。

 求人は王都の総合ギルドの求人担当の者にお出しください。既に決まられている求人も、そちらを通していただくようになります。

 ギルドを通すことで税金や給料の誤魔化しはもちろんですが、雇う側も雇われる側も何かトラブルがありましたらギルドに相談していただくと、ギルドの方から調査が入るようになります。

 調査の結果次第でギルドの方から指導や解雇をさせていただきます。指導された店舗も解雇された従業員も記録が残りますので、今後の評判に繋がりますのでご注意ください」


 なるほど、職安みたいな感じなのね。とりあえずギルドを通すことで信頼できる人を雇うことが出来ると言うわけね。


「その……これは個人的なことなのですが、障害がある者でも出来る仕事はありませんか?」


「障害ですか?どのような障害かにもよりますけど、図書館の受付なんかは座って出来ますよ」


「実は……1年前弟が魔獣に襲われて片足を失い、片手が不自由になってしまったんです。

 怪我も治って生活も落ち着いたので私の家を出て保護施設でお世話になりつつ職を探すと言いだしまして……出ていく必要はないと言ってるんですけどね……私の妻や子供達に迷惑をかけるわけのはいかないと頑なでして……

 ですが不自由な体では中々雇ってくれるところも無く、怪我のせいで結婚もなくなった上に仕事も見つからず、社交的で明るかった弟がどんどん暗くなっていって心配で心配で……

 何か出来る仕事がないかと藁にも縋る思いで聞いてしまいました。すみません」


「いえいえ、大変でしたね。命が助かって良かったですね。社交的で明るい方なんですね……ちなみにゼニーさんは貴族なんですか?」


「ありがとうございます。本当に私としては生きていてくれただけで嬉しいんですけどね……

 一応子爵家当主をしております。弟も怪我がなければ男爵家へ婿入りする予定だったんですけどね……本当に残念です」


「なるほど……と言うことは貴族の相手は慣れていると言うことですよね?例えば依頼があった貴族の家へ行って仕事をすることは出来ますか?」


「え?仕事ですか?片手で出来ることであれば可能だと思いますが……社交的で顔も広く知り合いも多いので、仕事内容以外は問題無いかと思います。

 男爵家当主になる予定でしたので、礼儀作法も問題無いかと……」


 いいかもしれない!写真を撮る時は三脚を使えば問題無いし、タブレットも片手使えれば十分操作できるもんね。

 印刷したものをフレームに入れたりするのが出来なければ、その家のメイドさんとかに頼んでもいいしね!

 貴族相手だから接客が心配だったけど、同じ貴族で社交的な性格の人なら安心して任せられそう!


「出来るだけ早く会いたいんですけど、いつなら会えますか?」


「明日でも大丈夫です!あ、ですが無理に雇わなくても大丈夫ですので。その、同情されることに最近では敏感でして……」


「たぶん大丈夫です。とりあえず試してみないと分からないので、明日の午前中ここに来てください」


「分かりました。よろしくお願いします」

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[一言] おお、ちょうど探していた人材が!
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