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「鍵~?なんか漫画の所に置いてあったから貰った~」
は?まさかパントリーに置いてたスペアキーを取ったの?家から出ないから気付かなかった……ってさすがにそれは泥棒です!自分の家に帰れ!
めんどくさいから門の鍵だけ渡して家の鍵は回収した。一応新婚だからね?イチャイチャタイムに突入とかなったら、まじでしゃれにならないから!
「まあまあ、そんな怒らなくていいじゃ~ん。勇者殿がいない時は来ないからさ~。
それより体育館なんだけど、場所変更になったから~。あと予算も国から出すって~。コートも2面作れるサイズで作る予定だからよろしく~」
「は?どう言うこと?」
「個人の持ち物だと色々使いにくいじゃん?国が管理した方がみんな気兼ね無く使えるし便利なんじゃないかってなったんだ。
あと、体育館で使えるくらい大きなスクリーンにプロジェクターってある?
棟梁達が見たいって言ってるし、他にも非番の騎士とか王都の人達とか見れたら喜ぶと思う」
あ~なるほどね。確かにみんな喜びそうだよね。体育館と言うより多目的ホールな感じかな。てかまじでしゃべり方がウザくなったな……
「じゃぁ1面は窓を作らずに壁にして、スクリーンの壁紙にすればどうかな?まぁ1面まるまるじゃなくて良いんですけどね。あと窓に暗幕つけなきゃですね~。
あ、スピーカーも設置しなきゃじゃん!ちょっとした遊び場のつもりが……まぁいいけど。
てか広すぎて映画だと音響とかあまり良くないと思うけど、良いんですか?」
「見れるだけで十分だろ。まぁ、その辺は俺の専門分野かな~。良い感じに出来るように、魔道具作ってみるわ。くはぁ~あ、眠い。ご飯まだ?」
っち!なんで赤の他人にご飯を催促されなきゃいけないんだよ!眠いなら帰れ!もうめんどくさいから今日はカフェご飯で!ああ、贅沢しないようにって思ったばっかりなのに……
てか確かに音響やらなんかはこいつの得意分野だったね。まぁ良い感じに仕上げてくれるだろう。椅子とかいるかな~?って国の管轄になったんなら私には関係無いか。
「場所は何処になったんだ?」
「ここから王都までの道の途中らへん。歩いてこれる距離が良いんじゃないかってことで、王都から歩いて20分くらいのところ。
もっとこっち寄りにしたかったんだけど、そこが限界だった~」
「そうか……まぁいいんじゃないか?騎士達にもバスケを広めればチームを作って対戦できそうだな」
「だろ?大工達もやりたいって言ってたし、街の奴らにも声かけるって」
なんか普通に試合とか出来るくらい大きくなりそうだな。数人で部活な感じでやるんだとばかり思ってたよ……
「そう言えば、麻衣が誰でも利用出来る無料の図書館を作りたいって言ってるんだ。体育館の近くに作ったらどうだ?」
「え!?無料?」
「そうですよ~。日本の本は1冊銅貨1枚とか2枚だから、貸し出し料なんて取れないですよ。それに、私のスキルで買ったものは転売できないから商売は出来ないんですよね~」
「なるほど、それは面白いな!あ、あと写真を撮って欲しいって言う貴族が結構いるって言ってたな。
大工達はあまりばれないようにした方がいいと話し合って、人に見せないようにしたそうなんだがな~……うちの親が城のエントランスに飾って自慢しるようだ……」
おうふ、あの写真をそんな目立つところに……私も写ってるし、おじさんズ酔っぱらって顔赤かったけどいいの?
「写真ね~……いっそのこと写真屋さんも一緒に作っちゃいます?あ~でも人雇うにしてもお金取れないし、お給料何処から出そうかな?」
「それは物自体の販売が出来ないってことだよな?だったら人件費として貰ったらいいじゃん。それなら大丈夫なんじゃね?」
「なるほど……とりあえず検証してみないとわからないから、今度してみよう!」
「あ~あと貴族は店に来るんじゃなくて訪問する方が受け入れられやすいと思うぞ~」
めんどくさっ!撮りたいなら来ればいいのに……
「麻衣、貴族と平民が同じ店で撮るのはトラブルにもなるかもしれん。並んでいる平民がいるのに、堂々と先に撮らせろと言うのが家に来いと言うタイプの貴族だ。
悪気は無いんだが、貴族が優先されて当たり前だと思っている。その代わり、平民より高く支払うのも当たり前だと思っている。その辺は上手くやれる奴を雇うといいだろう」
なるほどね~、貴族が身近にいなかったからその辺の感覚はよく分からないから2人に任せよう。
とりあえずお店は置いといて、写真撮って欲しいって人が結構いるみたいだし、先に誰か対応できる人を探して貰ったがいいかな?
金額も考えなきゃな~……
「写真っていくらくらいが妥当だと思う?」
「金貨1枚」
「いや、5枚?」
「たっか!大きい方の紙でも青銅貨1枚位だからね?インク代だってそんなにかからないし……人件費は1日いくらが相場かな?」
いくらなんでもぼったくりすぎてて驚いた。
「拘束時間にもよるが、銅貨4枚から銀貨1枚って所だな」
「じゃぁ銀貨1枚でいいんじゃない?」
「それだと安すぎてダメだ。プレミアム感も出ないし、安過ぎて無理難題を吹っ掛けてきそうだ」
うん、貴族の世界は難しいみたいだ。そう言えば日本でも子供の写真ってスタジオなんちゃらで撮って貰ったら結構高いのよね……でも特別な日の贅沢って感じでよかったな……
「よし、じゃぁお店ではこの小さいのは銀貨1枚で、大きいのは銀貨2枚!何種類かの写真を組み合わせて大きいのに印刷するのは銀貨3枚!
出張サービスは金貨1枚からで、写真の枚数や距離によって変えよう。移動にかかる宿代や馬車代に食費は出して貰って、金貨1枚だと大きいサイズを1枚と組み合わせたのを1枚。枚数をプラスする度に銀貨5枚追加でどう?」
「「いや、だから安すぎだ!」」
これでもかなりぼったくりなのに……商売って難しい




