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「まだ起きてたのか?……すまない、麻衣の国の文化は恐ろしいな……つい時間を忘れてしまう」


「ふふふ、初めて見たし仕方無いよ。もっと色々あるから、ゆっくり教えていくね。でも、はまりすぎて私を蔑ろにするのはやめてよね~、寂しかったんだから~」


「ああ、悪かった。風呂はもう入ったのか?」


 椅子に座る私を後ろから抱き締めて、首筋に唇が触れそうな距離で話しかけられゾクッとした。


「んっ……入ったよ。これもう少しで終わるからお風呂入ってきて。一緒に寝よう」


「わかった」


 そう言ってライアンは首にちゅっとキスしてお風呂へ向かった。は~、何日経ってもあの色気には慣れないわ……

 400年女性とお付き合いししたことも触れたこともないとか絶対嘘でしょう?

 ちなみに麻衣も、精神的には結婚の経験もあるのだが、体は19歳に戻っていたのでまっ白だった。

 若くて細い体に喜んだのもつかの間、あまりの痛さに驚いたものだ……さて、そんなことより早く仕上げなくては……何をって?秘密。くふふ




 翌朝ライアンと一緒にトライクでアンドレの家の建築現場へ行き、必要な資材を出した。

 出してしまえばすることがないので、私だけ家に戻り作業を再開した。どうやら平屋で複雑な構造も無いから今日中にある程度完成するらしく、明日は来る人数が少なくなるそうだ。

 せっせと作業をして、休憩時間とお昼には差し入れをして、何とか大工さん達の帰宅時間ギリギリに終わった。

 急いで現場まで行き、可愛くラッピングされた包みをみんなに渡した。

 実はせっせとアルバムを作っていたのだ。最初のページには完成時の集合写真、最後のページにはみんなでバーベキューした時の集合写真を入れた。

 間には建築作業中の写真をまんべんなくみんなが入るように選び、バーベキューの時の写真も選んでちゃんと全員まんべんなく写っているか確認し、いろんなサイズにして可愛くレイアウトしてA4の光沢用紙にプリントしてアルバムに閉じた。

 そう、卒業アルバムのような感じだ。それとは別に、バーベキューの時に家族や恋人と写した写真をA4に印刷してフレームに入れてまとめてラッピングした。


「これはお世話になったお礼です。帰ってから家族や恋人と一緒に見てください。本当にお世話になりました。また何か作って欲しいものが出てきたらお願いしますね」


 毎日毎日色々貰ってしまって……と恐縮していたが、大工さん達がいなかったら今でも私はトイレを他人に流して貰う生活だったのだ。

 それを思うと感謝してもしきれないくらいだ。ただ買ったものを渡すだけではなく、何か手作りしたくてアルバムになったと言うわけだ。

 センスのある人なら切ったり貼ったり飾り付けたりと出来るんだろうが、私には画面上で加工するだけで精一杯だったので手作り感はちょっと薄いかもしれない……

 毎年、年賀状を作るのは私の役目だったので、筆ま○での作業は慣れている。今回も、お気に入りだった年賀状用の本を買って作業した。

 

「はいアンドレ様、これラッピングしてないけどどうぞ」


 みんなを見送り、離れに着いた時にアンドレにもアルバムを渡した。みんなに何を渡したのか気になるようで、そわそわと私が持っている紙袋を見てたもんね。くふふ

 あれ?ちょっとしょんぼりしてる?


「麻衣殿……棟梁達に渡した包み紙も……」


 めんどくさっ!欲しいならどうぞ。包まないけどね~。とりあえずいろんな柄のラッピング用紙を20枚ほど出してあげた。

 ついでに柄のついた折り紙も数種類出して、紙が高いとカレンちゃんが言っていたのを思い出したので、おしゃれなノートを数冊とボールペンの12色セットを出してこれでいいだろうとばかりにテーブルにバンッと置いた。


「な、何だこれは……?紙か?こんなに種類があるのか?なんと美しい……これはどうやって使うんだ?」


 なんかちょっと思った反応と違った。なげやりにバンッと置いたから怒るかと思ったのに……喜ばれ過ぎてさっきの行動がちょっと恥ずかしい。


「これはここを押すとペン先が出てくるからこうやって書くんですよ~。色が色々あって綺麗でしょう?1本あたり小銅貨1枚くらいかな。

 このノートは小銅貨7枚くらいだけど、1枚から買えますよ。あ、このノートはどうですか?」


 気を取り直して使い方を教え、ふと思い付いた物を探し出してみた。ライアンの分と2冊。


「こ、これは……悟空っ!」


 そう、ボールを集めるやつの自由帳だ。反応が2人とも可愛い。くふふ


「この四角い紙は折り紙って言って、こうやって遊ぶんですよ」


 鶴を折って見せた。この前子供達には柄無しのものだったし、もっと簡単な形の物しか折っていなかったからビックリしたようだ。

 アンドレは子供苦手なのか全然近寄らなかったので気付いてなかったのかもしれない。


「こ、こ、これは……天才なのか!?どうやったらこの四角い紙からこんな立体の物が出来るんだ!?」


 とりあえず折り紙の本も渡した。ペラペラ夢中で見てるけど……メインはこっちだからね?


「あの~、これの存在忘れてませんか?」


「ああ、そうだった!どれどれ……ふおっ、建築風景!これはぜひ詳しい資料に残したいから、もっとあるなら別で欲しいんだが!

 それにしても……やっぱり俺が1番輝いているな。おお、この配線の工事をしている俺……めちゃくちゃかっこいいっ!」


 うん、ほっといて帰ろう。とりあえずご飯と飲み物を補充して、自分に夢中の男はほっといて帰ることにした。は~めんどくさい。

 てかこいつ自分の家にキッチンつけなかったんだよね……正確にはシンクと棚だけある状態。

 ご飯はどうするつもりなのか……まさかと思うが……いや、まさかね……

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