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「ただいま~」
「おかえり~ってタチアナさん、違うからね!いかにもこの家の主みたいに帰ってきてソファーにどかっと座ってるのは、たんなるお隣さんだからね!
本当、図々しいんだから……てか早かったね?」
「ただいま麻衣。みんな明日から通常勤務だからな、遅くならないうちに帰らせた」
隣に来て私の腰を抱いて、ちゅっと額にキスしながらライアンが教えてくれた。
そっか、確かに体育館も完成して、しれっと工房も完成してるから、もう急いで建てるものは無いもんね……そう言えばうちのプールってどうなったんだろう?
まあ、もう夏も終わるし急がなくていいけど……なんとなく土地が空いてるからどうかなって思っただけで、どうしても欲しいものでもないしね。
「あ、そう言えばアンドレ様……近年魔獣が増えたのって……」
「ん?ああ、たぶん麻衣殿が思ってるのとは違うぞ。まあ、勇者殿が全く関係無いとは言えないけどな。
そもそもが勇者殿の溢れ出る力を恐れて、この国に近付かなかった魔獣が、少し力が弱った隙に入り込んできたんだ。
今は麻衣殿のおかげで以前よりさらに力が増してるからな……さらに広範囲で減ってるんじゃないか?」
う~ん……垂れ流しのバリア?結界?みたいな感じってことかな?ライアンが魔王になりかけてるから、魔物が増えたとかではないのね。
結界が弱ったから入ったって事か……どっちみちライアンのせいなのでは……?
「まあ、勇者殿がいなかった頃はそれが普通だったんだから、元に戻った……ほどでもないな。弱っていたときでさえ、通常の3倍は守られていた感じだったな。
まあいつ何があっても対応できるように、騎士達も日々訓練をしている。ハンスは……残念だがたまたま運が悪かったとしか言いようがないな。
商隊を見捨てることも出来たが、自分の命の危険もかえりみずに突っ込んでいく辺り、ハンスらしいと言えばハンスらしいけどな。後悔はいしていないんだろう?」
「はい、もし過去に戻ってやり直せたとしても、やっぱり同じことをするでしょうね」
「ははは、ほらな。だから気にするな、これは誰のせいでもないんだ。むしろ勇者殿のおかげで、たくさんの命が救われている」
っく……アンドレ……様……!悔しいけど、様をつけたくなるほどいいやつに思えるじゃないか。
そうだよね、誰のせいでもないよね。うん、ハンスだってわかってて突っ込んで行ったんだし、後悔してないって言ってるのを私がうじうじ思い悩むのはおかしいよね!
「それより酒飲みて~!なんで置いてってくれなかったんだよ」
「は?体育館でお酒は禁止です!酔ってバスケしたら危ないでしょう?ああ、そう言えば、明後日はどうしようかな。上映中は飲食禁止にする?大丈夫にする?」
そう、その辺を1人じゃ決めきれずにいるんだよね。体育館で何か食べるって言うのはちょっと微妙だけど、映画館だと食べるしね……
でも、音とか匂いとか考えたらどうなのかな~?って思ったりして……
「え?映画見ながら食べれないんっすか?」
「いや、そこを悩んでるんだよね。匂いとか音とか他の人が気にならにかな?って思って」
「う~ん、でも小さい子がいると、何か食べれた方が助かると思うわ~。ほら、パンとかお菓子とか売ってるじゃない?それを買っといて、子供が飽きてきたタイミングであげたりしたくならない?」
た、確かに……甥っ子も3歳になったしそろそろと思って兄夫婦が1回だけ映画館に連れていったことがあるけど、パンフレットとかグッズを売ってるところで量り売りのお菓子を色々買ってて助かったって言ってたな~。子ども達ははしゃいでたけど、兄夫婦はぐったりしてたな~…
「それに、貴族の連中はテーブルも持参して、映画見ながらお茶を飲むと思うぞ。
そのために、ケーキ屋で従者を朝早くから並ばせるとかうちの親が言ってたぞ」
な、なるほど……別世界だわ。てかそんな早くから並ばなくても……ああ、でも映画の開始が10時半だから、オープン後すぐ買って行かなきゃ間に合わないのか。
一応映画館はアンドレとライアン、ハンスに任せてるけど大丈夫かな?ハンスは写真館と兼任な感じだけどね。
あと、なんか体育館は国の管轄だから、管理人的な感じで人が常にいるんだって。その人も手伝ってくれるって話だし、まあ大丈夫か。
最初は無理だけど、2回目の入場の時は私も手伝いに行こうかな。
「じゃあ、飲食オッケーと言うことで、片付けがちょっと大変かもだけど、頑張ろう!
ああ、そう言えばタチアナさんに帰ったらテレビ見せる約束でしたね。これですこれ」
そう、気軽に見たくなった時用に、和室にもテレビを買ったのだ。バラエティーとか、ご飯作りながら見たくなるじゃん?
「何がいいかな?あ、かっこいい雰囲気が似てるからこれにしよう」
ジブリの名作の虫が出てくるやつにした。他のメンバーもまだ見てないから、楽しめるしね。
テレビの向きをリビングに向くように変えて再生っと。
「う、ううう……生きてた……金色の草原……綺麗……」
だね~。は~楽しそう……私も飛んでみたいな~……ハングライダー……落ち着いたら買おうかな……




